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最強魔王、引退したい。でも勇者がだめすぎるので、育成はじめました。  作者: 冬木ゆあ


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第8話 魔王、はじめてのダンジョン②

 リリトヴェール、アラン、ジャンの三人は再びダンジョンに潜った。

 さっそくまた新しい宝箱を見つけ、アランは期待の瞳でリリトヴェールを振り返る。

 リリトヴェールはやれやれといった様子で頷いた。


「これは大丈夫なやつだよ。開けてごらん」


 アランが笑みをこぼしながら宝箱を開けると、銅の剣が入っていた。


「わぁ! 本当に大丈夫だった。宝物ゲットだぜ!」


 喜んでいるアランを横目にリリトヴェールは銅の剣を取り出し、アランが持っている鞄に入れた。


「私たちが預かっておくよ。帰ったら山分けしよう」


 ジャンは興味深そうにアランが斜め掛けにしている鞄を見た。


「その鞄、すごいな。俺も欲しいぞ」


 リリトヴェールは自慢げに言った。


「私が開発したんだよ。魔法がかかっていて、たくさん入るよ」


 ジャンは感心したようにリリトヴェールを見た。


「リリーには感心させられてばかりだな。その鞄、販売したら売れると思うぞ」


 リリトヴェールの耳がぴくぴくとした。


 ――いいことを聞いた。魔王城に戻ったら、検討してみるか。



 三人は順調に宝箱を見つけては中身を回収していった。

 リリトヴェールは感心したように言った。


「たしかにダンジョンはいい収入源になりそうだね」


 ジャンはそれを聞いて苦笑した。


「そう言えるのは今だけだ。地下二階からはさすがに魔獣も襲ってくるぞ」


 ジャンの言った通り、地下二階に下りた途端、骸骨の魔獣スケルトンに襲われた。

 スケルトンは剣を振りかざし、骨がこすれる音を立てながらこちらに駆けてきた。

 アランが慌ててスケルトンの剣を受け止めた。


 「おし! アラン、ナイスだ!」


 ジャンがそう声かけをして、余裕の表情でスケルトンを叩き切った。

 戦闘が終わり、ほっとしている間もなく、新たにスケルトンが襲ってきた。

 今度はリリトヴェールが呪文を唱えた。


「サンダーボルト!」


 雷がスケルトンに当たり、魔石に変わった。

 二体分の魔石を回収して、先に進んで行く。


 どうやらこのダンジョンはスケルトンの住処のようで、さきほどから襲ってくるのはそればかりだ。

 戦いを終えて、アランが手をぐっと握った。


「新しい魔法を覚えたかもしれない」


 アランはそう言って、次の戦いでさっそく唱えてみた。


「ホーリーボール!」


 淡い白い光の球状のものが、勇者の剣から放たれてスケルトンに当たった。

 魔石に変わり、地面に落ちたものをジャンが拾った。


「光魔法か。初めて見たな。魔獣に対して強力な魔法だな」



 各階には結界が張られた安全地帯が設置されており、三人はそこで昼食を取ることにした。

 リリトヴェールは鞄からパンと干し肉を取り出し、アランに渡した。

 ジャンも自分の鞄からパンを取り出して食べはじめた。


「どうだ? ダンジョンは」


 アランは干し肉を齧りながら言った。


「楽しいね。宝箱を開ける時がわくわくする」


 ジャンは髭に覆われた口元に笑みを浮かべた。


「そうだろう。それがやみつきになるんだ」



 しばらく休んだ後、三人はまたダンジョンを進みはじめた。

 地下三階に下りて、スケルトンと戦うと、地下二階のより強くなっているようだ。

 一撃で倒せなくなってきたので、リリトヴェールが魔法で弱らせて、そのあとジャンとアランが剣で倒した。

 ジャンはリリトヴェールを気遣ってそっと尋ねた。


「魔力量は大丈夫か? その……、無理はするなよ? 戻るのも考えて使わないといけないぞ」


 ジャンの心配をよそにリリトヴェールはぴんぴんとしていた。


「うん、大丈夫。今のところ問題ないよ」


 ――そんなにまだ魔力を使っていないけど、どうしてそんなことを聞いてきたのだろう?


 リリトヴェールが不思議そうな顔でジャンを見ると、驚いた顔をしていた。


「ほぉ。リリーは魔力量が豊富なのだな。俺は魔力が少ないから羨ましい」


 ジャンはまたリリトヴェールに感心していた。



 地下四階まで来て、ジャンは唸った。


「俺がついているとはいえ、初ダンジョンでここまで来られるとは。すごいことだぞ、二人とも」


 褒められたアランは嬉しそうに笑った。


「俺たちダンジョン攻略できるかな?」


 ジャンは顎の髭を擦った。


「そうだなぁ。このダンジョンは、魔獣はそんなに強くないんだが、なにせ数が多い。それは階を下りれば、下りるほどだ。魔法使いや、ヒーラーの魔力が先に尽きてしまう。しかし、リリーの魔力量は多いようだし、アランも光魔法が使える。これはもしかしたらいけるかもしれないぞ」


 それを聞いたアランは茶色の瞳を輝かせた。


「本当? 目指そうよ、ダンジョン攻略!」

「これより先に進むならヒーラーは必須だな。心当たりがある。声をかけてみよう。それから、最下層が何階か分からないから食料ももっと必要だ。今回は一度戻って、明日挑戦してみよう。リリーもそれでいいか?」


 リリトヴェールはもともとダンジョン攻略の報奨金である大銀貨八枚を狙っていたので、迷いなく頷いた。

 三人は地下四階を巡って、宝箱をすべて開けてから地上を目指して戻りはじめた。



 地上に戻ると夕方だった。

 ダンジョンの受付で腕輪を返し、近くの武器や防具の店で宝箱から出した品を換金した。


 それから王都に戻り、冒険者ギルドで魔石の換金をし、そこの酒場でジャンはビール、リリトヴェールとアランはジュースを飲みながらお金を三等分にした。

 ひとり大銅貨四枚ずつだった。

 リリトヴェールは茶色の瞳を輝かせ、ガッツポーズをした。


「赤字脱出だぁ! これで宿代の支払いが滞る心配はなくなったね!」


 アランは喜ぶリリトヴェールを嬉しそうに見ていた。


「よかったね、リリー」


 ジャンはそのやり取りを見て、ビール片手に盛大に笑った。


「ダンジョンは夢があるだろう。宝箱の中身は不思議なことにしばらく経つと自動的に新しくなる。運が良ければレアな品に当たることもある」


 明日は攻略を目標にダンジョンに潜る。

 それを前にして三人は気持ちの高まりが抑えきれず、しばらく明日に向けての話し合いを続けていた。

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