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最強魔王、引退したい。でも勇者がだめすぎるので、育成はじめました。  作者: 冬木ゆあ


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第38話 魔王城突入

 リリトヴェールたちは、とうとう旅の目的地までたどり着いた。魔王城は堅牢で、何人たりとも受け付けない雰囲気を漂わせている。

 アランが魔王城を見上げて喉を鳴らした。


「とうとうここまで来たんだね……」


 一方、リリトヴェールはと言うと、同じく魔王城を見上げていた。


 ――とうとうここまで来てしまった……。


 リリトヴェールたちは魔王城に足を踏み入れたが、エントランスは薄暗く、誰一人としていない。

 そこへ声が聞こえた。


「あーあ。めんどくさいなぁ。でも、侵入者がいたら対応しないと怒られちゃうよね……」


 アランが辺りを見回すと、階段の踊り場にふよふよと浮いている紺の髪で枕を抱えた男の子が現れた。


「怠惰のミシェ、ここに参上」


 ミシェはリリトヴェールたちの前に立ちふさがり、アラン、ニコル、シャルルはそれぞれ構えた。ミシェは気だるそうに首を傾げた。


「それで、君たちは何者? ご用件は?」


 アランは剣を構えたまま緊張の面持ちで答えた。


「勇者アラン。魔王に会いに来た」


 ミシェはぽんと手を叩いた。


「ああ。勇者か。たしか勇者は殺さずに、魔王様に跪かせるんだっけ? なら、戦う必要はないよね。――だって、おれ、めんどくさくて手加減とかできないし」


 そう言って、ミシェがにやりと笑うと、アランの背筋にぞっとしたものが走った。

 ミシェはまたふよふよと浮いて、階段を上って行く。


「じゃあ、魔王様にはおれがちゃんと対応したことだけ伝えておいてね。あーあ。めんどくさい……」


 ミシェはどこかに行ってしまった。

 拍子抜けしたアラン、ニコル、シャルルは構えを解いた。アランは息を吐き、額の汗を拭った。


「戦いにならなくてよかった。あいつ、たぶん魔王軍幹部の中でも一番強いやつだ」


 リリトヴェールはその一連やりとりを呆れた顔で眺めていた。


 ――ミシェのやつ……。いや、一応対応しているし、私の命令通りだけれども……。なんだか腑に落ちない。



 リリトヴェールたちは先に進み、大きな扉の前に立った。アランはリリトヴェール、ニコル、シャルルの顔を確認するように見た。


「……開けるよ?」


 ニコル、シャルルは真剣な表情でうなずいた。

 リリトヴェールは、


 ――とうとうみんなに私が魔王だと明かすときが来てしまった。


 そう覚悟を決めて、うなずいた。重い音を立てて、扉は開かれていく。

 室内は謁見室のようで、赤い絨毯が敷かれ、階段の上には玉座が置かれていた。

 その横に、獣人の女性――ケルべベスが立っていた。ケルべベスは恭しくお辞儀をする。


「お帰りなさいませ、我らが魔王、リリトヴェール様」

「……ああ。今、戻った」


 リリトヴェールは歩きながらリリーの姿から魔王の姿へと戻る。黒く長い髪をなびかせながら階段を上り、ドレスをひるがえして玉座に座った。


「ようこそ、魔王城へ。ようやくこの日が来たね。アラン」


 リリトヴェールは艶やかに笑みを浮かべた。

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