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最終日 暴食
それは音では無く、始まりの合図だっだ。
数え切れぬ程の黒点が森から一斉に浮かび上がり、風によって形を変える旗のように波打ちながら空の彼方へと逃れてゆく…鳥達の逃走と巨人達が動き出すのは同時だった。行進はそのまま森に穴を空けていった…三体の巨人はそれぞれがバラバラな方角へ歩き出し、そこにある物すべてを貪り始める…足が踏み潰したもの、振るった腕に触れたもの、手が握り潰したもの…その歩みの先に有ったものは軒並み消滅した。逃げ遅れた獣たち、虫達、土や岩や木々…草の一本に至るまで透明な巨体の中へと取り込まれていった…油漬けの標本の様に透明な人形の中に揺蕩う、森の構成物だった生命たちは瞬時に溶けて消え、また次の獲物たちが吸収される、その繰り返し…風が破壊される轟音と共に繰り出される脚と腕が、そこに世界の果てを…剥き出しの土、以外は何も残らない世界を作り出していった…その時、風に舞う一枚の羽根が巨人の内の一体の頭上に差し掛かった。




