22/65
最終日 次は、変転鳥、変転鳥ぅ〜
いつもはここから乗って[ヒートデナシーヒートデナシー]
駅近だし、家賃も安かったから、最初は[ロークデナシーロークデナシー]
最近は始発でも満員で大変[ツーミツクリーツーミツクリー]
うるさくてスミマセン、と周囲に頭を下げ、女は車内の隅へ、運転席の後ろまで移動した。ポケットから丸鏡を取り出す手の甲には、青筋が浮き上がっている。
「…ナメたマネしてくれるじゃ無いの…車内ではマナーを守ら無くちゃ…そうそう、知ってる?この近くの崖の上に温泉が有るんですって…そこで週に一回、辻斬り事件の犯人が、探偵に追い詰められるらしいわ…不思議ねぇ…今日あたり{狐の毛皮剥ぎ取り事件}とか、面白そうよね…キツネマフラー…クククッ、独り言だから気にしないでね…それじゃ、門を潜った後で、ね」
女の視線は丸鏡から、狐円盤を握り締めてギリギリと音を発している左手へと移る。稲穂色だった筈の円盤は、何故か青褪めている様に見える…




