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最終日 午前6時33分

「何処の誰かは知らないけれど、水売りのおばさんありがとう、無事に駅にうぐうっ!」

構内から吹いてくる、臭気を含む風…地下に籠る黴臭さとは違う何かが混じっている…

「何回目でも変わらない、嫌な臭い…最初の頃はこれだけでも、怖くて入れなかったっけ…」

石壁に掛けられた、カンテラに照らされた薄暗い通路を行くと直ぐに階段に着く。そこを降ると空間が開がり、木造の改札が見える。壁龕の燭台には灯りが揺らめき、暗さは薄らいでいる。そこで切符切りをする駅員が待機している。

「いかにも地獄だもんね、駅員が悪い訳じゃ無いけど…」

縮れた金髪から覗く角に、爛々と輝く金眼の、赤鬼や青鬼が黄色と黒のストライプスーツに身を包み、切符鋏片手に、待ち構えている。

「でも、それよりも…」

「平鏡、もしくは丸鏡をお持ちのお客様はこちらへお越し下さい。通行印を読み取らせて頂きます。」

天井に達するほど巨大な、道服に書かれた文字が拡がって読めないほど太った、冠を被った髭面の、血走った目でこちらを睨みつけている、赤ら顔の巨大なおっさんが、改札前で笏を突き出して、足を組んで座り込んでいた。



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