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最終日 午前6時27分
交通の動脈である街道沿いは、服屋、薬屋、医院、酒場など色とりどりの店が立ち並ぶ。その、本来なら人が集まる価値の有る大通りの一角に、何も建てられていない空白の土地がある。石畳すら敷かれていない地面には、鉄格子が埋め込まれており、隙間から地下を覗くと不揃いでゴツゴツした石の階段が暗がりへと消えている。
「閉まってる…何で…」
鉄格子の上部には鉄のプレートが掛けられており、そこには〘十王線 凡町駅〙と彫られている。
「…合ってる。昨日の夜はここから出て、酒場で飲んで、それから宿に」
今は閉じられた駅の入り口前で、頭を掻き、首を傾げる女は
「考えてる時間ないし、他を当たるか…隣の駅は近い筈だし」
街道を、向って東へ歩き出す。




