目が覚めたら庭に何かが
翌朝彼が目を覚まし、外を見ると
(え、なにあれ)
そこには銀色の円盤にまるで転移陣のような魔法陣が描かれたものがあった。
彼は恐る恐る近づく。
すると何やら文字が書いていて
『全てのボス討伐済みによる地上への転移装置。魔力を込め、帰還可能』
なるほど。地上へ戻れるのか!
魔物寄せの鐘でたくさんの素材を手に入れられたしそろそろ街へ向かっても良いのかもしれない。
でも、外のことあんまり知らないんだよね。
変動しやすいのでいえば物価とかかな。
あと街へはいる時の税金とかも取られるだろうし金貨10枚で足りるのだろうか。
出自などもどう説明すればいいのか…
神様にまた今度って言われたし、教会に挨拶に行った後で考えよう。
そう思って教会の前へベルは転移する。
そして教会の中に入って像の前で手を合わせる。
するとまた秀麗な金の眼と黒髪の白い衣をまとった男性、イディリシス様が現れる。
「やぁ、昨日ぶりですね。今日は覚えているのかな?」
「はい、イディリシス様」
「帰還装置の発現おめでとう。これで地上へいけますね。」
「ご存知だったんですね」
「もちろんですよ。して、ベルーナ君。人間世界について聞きたいということであっていますか?」
「はい。それとご挨拶に。庭で家庭菜園をしているので戻ってくるとは思うのですが。」
「あぁ、私を模したものがあればこのように会話可能なのでここに来なくても大丈夫なのですけどね。」
なるほど。
その日イディリシス様の時間が許す限り質問した。
答えてくれないこともあったが。
なんとなくは掴めたと思う。
税金は身分証がなければやはり取られるようで大体
銀貨1枚。
物価としては食品は大体銅貨1枚で買えるが、宿泊費などは身分証がなければ金貨1枚、身分証があれば銀貨5枚程度かかるらしい。
早急に身分証を作る必要がありそうだ。
出身はそのまま記憶喪失ということにしておけばいいと言われた。
確かにそうしておけば基礎的なことが分かっていなくても記憶喪失だからで通せるだろう。
手紙は、地上でも握れば使えるらしいが、あまり遠くへ行くと使えなくなる可能性があるらしい。
仕方ない。それは転移魔法と同じだろう。手紙の方が圧倒的に魔力消費が少ないが。
様々なことを話してイディリシス様がまた今度と行って去っていった。
転移しようとすると教会の外からキンっキンっと剣を振るう音がするような気がして、扉の方へ向かい、少しだけ開ける。
すると昨日の狼と戦う青年が立っている。
イディリシス様ほどでは無いが、金髪碧眼の彼はまるで太陽を️思わせる出で立ちである。
彼は魔物に襲われたのか服はぼろぼろで赤い血が滴り今でさえ美しいのに洗ったらより麗しいであろう髪や顔は土埃ですすけていた。
(鑑定)
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ーーーー(男)(非公開情報です)
ー歳(非公開情報です)
冒険者
(レベル)21
(体力)残り210
(魔力) 残り12
(ーー)0/0
(適性)
ーー(非公開情報です)
剣
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ここに来て初めてみた他人のステータスは、今まで魔物で見てきたものとも自分のものとも異なっている。
非公開にできるというのも初耳である。
と考えていたらよく見ると魔力が残り12。
もう一度魔法を使ったらとても危険である。
彼が押されているように見えて助けに入ろうとしたが、彼の目は諦めていなかった。
「ブースト」
刹那彼の動きが早くなり、ベビーウルフの胴を断ち切った。
(凄い。ブーストと言っていたがあれは魔法か?魔力があと2しか無くなってしまったじゃないか…)
しかし彼はそこで息絶えるようにふらりと倒れそうになっている。
(やっぱり魔力切れ。仕方ない。まだ早いから今日地上に出るつもりだったけど彼の治療の方が先かな。)
そう思ってベルはこのダンジョンに来て初めて出会った、意識のない人間を抱える。
彼は別にそこまで重くはなかったのだが、転移を使おうとしたのに出来なかった。
重量オーバー?それとも体積か。
そう思って次に持ってきていたイディリシス様の手紙を握る。
しかし戻れなかった。
うーん、やっぱり何かがオーバーしているのかまたは生きた人を連れて行けないのかもしれない。
仕方ないと思い、ベルは彼を抱えて魔物に会わないようにブーツを使って空に浮かんで帰ろうとする。
一瞬これも無理かもと思ったがこれはいけたらしい。
ベルは空を駆けて安全に家へ到着した。
そして彼を寝台へ横たわらせる。
魔力切れとは凄く体が冷たくなるのか、まるで氷のようである。
(この前僕も魔力切れになりそうになった時頭が朦朧としていたような気がするけど低体温のせいなのかもしれない。)
ベルは水の魔道具と火魔法でお風呂にお湯を貯め、布をお湯に浸して暖かくし、髪の毛や顔を拭いてやる。気化熱で逆に熱が奪われないように火魔法で熱を保存し、布を通して体を温める。
なるべく暖かくしてやろうと思い、ファイヤーボール体から離して3つ程あかりのように灯す。
そうして満足し、ベルは昼ごはんの準備に取り掛かる。
彼が起きたとき用に沢山作っておこうと思ったが、1人用に作ったものでも大体余ってしまうので普通に作って余り物の消費もしようと思った。
ベルが料理を終え、庭で植物の育種改良実験をしている時、その彼は目を覚ました。
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【倒れた彼視点】
(ここは…?)
目を覚ました彼は辺りを見渡し、誰かの家であることを認識する。そしてはたと腕に填めた貴重な魔道具を見て、誰かに盗まれていなかったということと、魔力が十分に溜まっていたこと、そして特に拘束などもされていない安心する。
(大丈夫だ。大丈夫…。ダンジョンにいたはずなんだが…。)
彼は頭の上にあった何かを触る。
(あたたかい。これはタオルか…?)
そして近くにあった3つのあかりをみてそれがファイヤーボールだということを認識する。
「うわぁ!?」
襲ってくると思って身構えた彼であったがそれは襲ってこず、ただらんらんと輝きあたたかい明かりを灯しているだけであった。
「これは、あたたかいな」
「大丈夫ですか!?」
多分この家の主であろう人が先程の悲鳴を聞いたのか家の中へ駆け込んできた。
「あ、いや、すまない、驚いただけなんだ」
聞かれていたことに恥ずかしくなる。
「教会の中にいたのですが、戦う音が聞こえて。貴方がベビーウルフを倒したと思ったら倒れられたのでここまで連れてきました。」
「あ、魔力が切れて…。助けていただき感謝します。」
「いえ。構いませんよ。僕の名前はベルーナ。ベルと呼んでください。よろしく。」
僕?女ではないのか?
長い黒髪を垂らしてるその人は星空のような質のいい服を身につけ、まるで女のようであった。あぁ多分一人称が僕なだけだろう。
彼は勘違いをした。
「まさか若い女性が一人でダンジョンにいるなんて。」
「え?女性?」
「???ベルーナさん…、ベルさんは女性では…?」
「違いますよ?」
「男性…これが?」
「これは失礼じゃないですか!?!?」
口にでていた…!?
「申し訳ない。ベルさん…。」
流石に失礼すぎた…女性に見間違うなど。
確かによく見たら体格は男だ。顔が中性的で髪が長い、というか、男性にしてはかなり長いだけで。
「別にいいですけど。あと、ベルって呼び捨てで大丈夫ですし、ため口でもかまいませんよ?」
「あ、あぁ、分かりました。ベル。」
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【ベル視点】
「俺の名前はシャルです。冒険者をしています。」
「僕、ここに来てから初めて人に会ったので嬉しいです。今日丁度地上に戻るつもりだったんですよ。貴方を助けられてよかったです。」
「えっと…?ここは地上では無い…ということですか?」
「はい。ダンジョンの中です。」
「ダンジョンの中に…家を??」
「あー、まぁー、えーと。そういうことですね。僕、記憶喪失で。目が覚めたらここにいたんです。」
「…それは。大変でしたでしょう。」
「そうですねぇ。なんとか生きていますね。」
「しかし、申し訳ない。今日地上へ戻る予定だったようで。」
「いえ。全く問題ありませんよ。僕、ここに来て初めて人間にあったので嬉しいですね。」
「ここに迷い込んでしまったんだ。そうしたら、強い魔物ばかりで。」
「あぁ、なるほど。じゃあ一緒に地上へ帰りましょうか。」
確かにここの魔物は最初戦った時最後のボスは特に苦戦したもんな。
誰かと一緒に街に行くなら身分保障もできるだろうし。
「いいのか?」
「僕、探したんですけど、この家に身分証がなくて。誰かと一緒に帰りたいなと思っていたのです。」
「そうなのか。わかった。俺も早く地上へ戻らなくてはと思っていたので助かる。」
そうして明日、地上へ出発することにした。
彼、シャルは、水と無の属性と剣、騎馬に適性があると教えてもらった。
僕の適性を教えたら、驚いて、地上では月属性は言わない方がいいということと、無属性が使えるなら、他の属性は一つだけ人に教えるようにした方がいいと教わった。
そのため、ベルは地上では攻撃力の高い火と無属性の魔法が使えるということにした。
多くの属性が使えることと月属性は珍しいので人攫いにあい、奴隷になってしまう可能性があるようだ。この国では奴隷の売買は禁止されているが所持は禁止されていない。法律を掻い潜って力を求め、奴隷にしようとするか、逆に力を恐れて犯罪者に仕立て上げられる可能性があると話してくれた。
ステータスの非表示方法も彼に教えてもらった。ただ単に非表示にしてとイメージするだけであったが他人に見られなくなるというのは大きな収穫であった。
そして次の日 彼らは地上へ転移した。
(シャル)
さすがに危なっかしすぎるだろ。俺も、途中で魔力切れで倒れるようなヘマをしたが。見ず知らずの人にほいほいそのようなことを伝えて。しかも、その重要性や希少さに全く気づいていなかった。
シャルは思った。守らねばと思った。
自分が助けられたように自分も助けたいと思った。
過去に自分がそうされたように。
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ベルーナ・クラーク(男)
19歳
(レベル) 41
(体力) 742(内累計討伐ボーナス 242)
(魔力) 1136(内累計討伐ボーナス 636)
(所持金)
金貨10枚
(スキル)(非公開)
多言語理解
鑑定眼
修復
イディリシスの加護(状態異常無効・老化停止)
(適性)(非公開登録)
月属性 火属性 木属性 無属性
刀 弓
(オート所有者設定済みアイテム 変更不可)
妖刀・朧月
月朔のローブ
月虹のブーツ
月陽のネックレス
月神の薬




