ダンジョン探検
()心の声
「」実際の声
しばらく経ったある日
彼はまた外へ向かった。
ダンジョンなら、罠や宝箱があるのだろうが、中々見つからない。
今回は死ぬと思ったら手紙を握って逃げるということをちゃんと頭に入れて行動する。
早く無属性の転移魔法を覚えないと時間が足りない。
帰る時に少しやってみようかな。
先日とは別の方向に足を向けると、川が流れていた。
川は苔むした岩と岩の間を流れていて
下流というよりも上流のようである。
より上流の方へ歩いてみようと思い、川の流れに逆らって横道を歩いていく。かなりの急坂に至ったところで見えない壁にぶち当たり、そこがダンジョンの端だということを感覚的に理解した。
そのあたりには特に魔物はいなかった。
見えない壁に沿い、家から遠い方角へ向かって森の中を歩いていると2匹の鹿から翼が生えたのような生き物が遠くに見えた。木々の間や上を見るが、その辺りに2匹しか居ないことを確認して鑑定を行う。
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ペリュトン(雄)
虫食(特に土中の虫を捕食する。)
体力300
魔力800
ーー1000
5匹程度の少数の群れで行動する。
弱点 弓、日属性、木属性
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どちらも同じようなステータスであった。
1000の横に書いてある文字が読めない。もしかしたら先日は自分もそれに加算されたのかもしれない。しかし1000はいささか多すぎる。今の自分に出来るかどうかが分からないがいざとなれば逃げられる環境下であるために攻撃準備に移った。
弓と木属性が苦手なようなので木属性魔法で弓矢を作り首に狙いを定めて2匹同時に打ち込む。
「ウッドアロー2連」
それはしっかりとその首に突き刺さり貫通する。しかしその鹿は倒れずに踏ん張り、こちらに睨みを効かせてフィヨーフィヨーと鳴きわめき、その二匹はぱたりと倒れた。
特に反撃もされず倒すことが出来たため、良かったと思いドロップ品を回収しようと近づくと地面がゴゴゴと鳴り、揺れ始め、3匹の鹿が地面の中から現れた。
あの鳴き声は仲間を呼ぶ声だったようだ。さすがに地面から出てくるとは思っていなかった彼は驚いて
「土の中の虫を食べるって、土の中に入って虫を食べるって意味だったの!?」と変な反応をしてしまう。
まずいと思って一旦後ろへ引き下がり、
先程同様マジックアローを3匹へ向かって打ち込む。
しかしこちらを認識している鹿達はそれをふいと避けて一際大きい鹿がこちらへ威嚇をして今にも飛び込みそうな姿勢をしている。
蔓で周りを取り囲み、認識されているなら言葉を発さないように鹿の上に念の為3つではなくいくつもの弓矢を空中に浮かべて発射する。
(マジックアロー9)
一際大きい鹿以外はそれに気づかず脳天を貫かれてはたりと倒れて光り、ドロップ品を出して消えた。
大きい鹿は間一髪で体をそらし、一つだけしか刺さっておらず、ほかの鹿と違ってそのひとつも刺さったものの貫いてはいなかった。
(数を出したせいで魔力が低出力だったか。)
その鹿は金色だった目を赤く血走らせ、白いたてがみを揺らして突進してくる。
ベルは反射的に木の壁を作る。鹿はその勢いに飲まれて止まることができず、勢いよく壁にぶつかり、脳震盪を起こしたようにふらふらとよろめく。
そこでベルは高出力で弓矢を弾いた。
大きい鹿は尚踏ん張っていたが、目が虚ろになってふらりと倒れた。
ドロップ品
ペリュトンの羽
ペリュトンの肉
ペリュトンの毛皮
ペリュトンの魔石
キングペリュトンの双角
が1つずつであった。
一際大きいあのペリュトンはこの群れのボスだったらしい。
アイテムをアイテムボックスにしまって再びベルは歩き出す。
ふとお腹が空いて近くに座って家を出る前に作っておいたベーコンとレタスの入ったサンドイッチを一つ取り出してもぐもぐと咀嚼する。
アイテムボックスはそのままの状態で保存されるので、作ったままの暖かいご飯を食べることが出来た。
それにダンジョンの中だからか、暑すぎず寒すぎずの良い気候で1人だがサバイバル兼ピクニックのような感覚で食べることが出来た。
食事をとったことで魔力や体力は回復し、再び歩み始める。
しばらく見えない壁に沿って歩いているとまた急な坂になり、再び壁にぶつかる。すると壁と壁の間から先程のようなゴゴゴという音がして、また鹿なのではないかと思い木の影に隠れる。
すると音が止まり、そこには宝箱が置いてあった。
(宝箱だ!)
この場所に来て初めての宝箱である。
喜んで開けようと思ったが、ふと、仕掛けがあるかもしれないと思い鑑定にかける。
(鑑定)
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辺境の宝箱1/4
仕掛け、罠なし。
解放条件・森の端に辿り着く。
1度しか開かない。
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(よかった。罠は無かった。1/4ということはまだ他に3つあるのかもしれないな)
そう思って彼は宝箱を開ける。
宝箱の中には黒い刀が入っていた。
(鑑定)
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妖刀 朧月
特殊効果
状態異常 :催眠(触れた者を眠らせる)
月の無い時のステータス値20%上昇
月属性の者のみ使用可能
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ベルは状態異常効果を受けないので妖刀の妖の部分は関係がなく、使い勝手の良い刀である。(盗まれにくいのも利点だな)
次魔物に会ったら使おうと思い、とりあえずはアイテムボックスに収納する。
すると宝箱はキラキラと輝いて消えていった。
(消えるんだ)
ベルはその角をまがり、見えない壁を伝って歩き始める。
10分くらいあるいただろうか。
異様に植物が枯れはじめている場所にたどり着いた。
木々の葉は落ちかけ、秋のように黄色くなっている。
背の低い草は特に萎れているように見える。
するとガサガサと音がして彼は心もとない木の影に隠れて音の方へ向かう。
するとそこには小さな植物の魔物がいた。
(鑑定)
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ウムドレビ
周囲に致死量の猛毒を撒き散らし攻撃する。
果実は希少な薬の原料
体力 267
魔力 469
ーー 253
単体行動をし、個体数も少ないため非常に希少であるが運良くみつけても毒により死亡する。
弱点 火魔法 鎌
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彼は朧月をアイテムボックスから取りだし、気付かれないようにゆっくりと近づいた。
そして前傾姿勢をとって素早く駆け抜けベルの長髪がベルの動きに合わせて月弧を描くようにゆらめいた。するとその魔物はそれを避けてぶわぁと毒霧を放出する。それにベルは一瞬怯んだが効かないことを思い出して足を前へと運ぶ。それに魔物は驚いて背を向けて逃げ出すが、ベルは再び駆けて朧月の剣先が魔物を掠めた。
するとその魔物は朧月の催眠効果により、フラフラと速度が遅くなり、へたりと倒れて眠ってしまった。それは光ってアイテムへ変化しなかったので死んでいないのかと思って調べた。
確かに死んでいないようだったので、付いている果実をもいで収納したら死んだ後どうなるのか気になって付いている4つの果実をむしり取り、1つは地面においてアイテムボックスに3つ、入れてからその魔物を朧月で突き刺した。
すると地面に置いた果実と魔物の体は光ってアイテムを落とした。
地面に置いたものは1個体として認識されたらしい。
アイテムボックスに入れた果実はまだアイテムボックスに入っていた。
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ウムドレビの果実(3つ)
所有者変更により保存。
不治の病と呼ばれる強力な病気の薬の原料に使用される。
毒成分は含まれない。
ウムドレビは群れず、個体数も少ないためとても希少である。
果実はそのまま種になるが、育てるのは困難である。
果実を狙って強盗や殺人が起こることもある。
金貨1枚が蟻に見える。
ウムドレビの樹液
猛毒
薄めると強い解毒作用の効果がある。
原液は甘い香りで非常に美味であるが、その後死に至る。
暗殺に使われるため、薬としての流通時には薄める。
希少かつ効果も高く危険な側面をもつため非常に高価
金貨1枚が蟻に見える。
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(封印である。永久封印。こんなの怖すぎて売れない。どっちにしろ人が死ぬのが本当に怖すぎる。売るのは死ねと言っているようなものである。自分のために使おう。)
と思い、ベルはそっとアイテムボックスの奥深くへ眠らせた。
そうしてまた再び彼は壁の方へ戻って歩み始める。
30分くらい歩いていると森の終わりが見え始め、背の低い芝生のような草が匍匐して生えていた。
背が低いと影に隠れられないのだがかれは開けた場所を壁を伝って進んでいった。遠くの方に家が見えて、こんな所まで歩いてきたのだなということを知った。
そうやって歩いていると日が反対側へ傾いていて夕方のように赤く揺らめいていた。ダンジョンの中でも、夕焼けのように太陽や月のような存在があるのは不思議だ。
そう思って進んでいるとがんっと頭をぶつける。
どうやら端に来たようだ。今度は高い坂のようなものはなかったので、全く気付かずに歩いてしまった。
するとあの時のようなゴゴゴと音がして宝箱が現れる。
(鑑定)
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辺境の宝箱2/4
罠・仕掛け:毒霧
解放条件:草原の端へ辿り着く。
1度しか現れない
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毒霧があるようだ。
関係ないのでベルはその宝箱を開けた。
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月朔のローブ
不可視のローブ
着ている者は許可された相手や無効の相手以外に見えなくなるが、
状態異常(毒)を受ける。
月または日属性の適正をもつ者のみ使える。
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月朔、月の終わりの新月のことである。
先程の朧もそうだが、月のない夜とはまた恐ろしい。
暗殺に使われていそうなローブである。
何かと物が物騒になってきた。
ところで宝箱には1度しか現れないと書いてあるが、ここに来た人が誰もいないということだろうか。
確かに、ダンジョンは色んな冒険者がこぞって来て、お金になるものを手に入れるイメージがどうしてもある。それなのにここに来てから人に全く会っていないのだ。
不思議だなと思いつつまたそのローブを手に取り、羽織ると宝箱は霧散するように消えた。
内も外も紺色のローブには所々小さな白や金の刺繍が施され、まるで月のない夜に一際目立つ星のようで美しい。
日が落ちてきたのでそろそろ帰ろうと思い、ベルは転移魔法の練習をしながら帰ることにした。
「転移」といいながら家の方へ向かって唱えるとふわっと押されたような感覚になったが、家ではなく、少し家の方に近付いただけだった。
それから家の方に行こうと何度も何度も練習を重ねて
半分くらい来たかなというところで家へ一気に転移することに成功した。
魔力も底を尽きかけていて頭がふわふわとしてきたので夕ご飯を食べることも忘れて寝台についた。
ベルーナ・クラーク(男)
19歳
(レベル) 26
(体力) 492(内累計討伐ボーナス 142)
(魔力) 582(内累計討伐ボーナス 232)
(所持金)
金貨10枚
(スキル)
多言語理解
鑑定眼
修復
イディリシスの加護(状態異常無効・老化停止)
(適性)
月属性 火属性 木属性 無属性
刀 弓
(オート所有者設定済みアイテム 変更不可)
妖刀・朧月
月朔のローブ




