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揺り篭  作者: 紅茶
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未開の森のダンジョン

「未開の…あそこに、ダンジョンが?」

「はい。そこに住んでいたのが、ベルです。」

「ダンジョンに住んでいた!?」


「…はい。住んでましたね。僕は記憶喪失で、気づいたらダンジョンの中にいたんですけど…。魔物を倒すまでダンジョンだと気づいてませんでした。そこには昼も夜もあったし、森もあったから。」


「なんてことだ。階層は…?」

「合計3階層ありました。」

「3?少ないな。」


だいたい10階層程が普通らしい。


「最下位層の魔物のボスはベルが全部倒したようで、俺と会った日に地上に出るつもりだったらしいです。」


「そうか。ベル、最下層の魔物はどんなものだったか教えてくれるか?」

「…はい。」


あのやばそうなウムドレビの話は伏せた方がいいのか?いや、言うべきか…?


「えっと、僕が初めて会ったのはスモールホーンラビットです。」

「ふむ、森林系ダンジョンではよく出るな。」

「その兎は179匹の群れでした。」

「は!?179!?流石に、多すぎるだろ。」

「はい、多かったです…あとで、素材をお見せしますね」


「あ、あぁ。そうなると、キングホーンラビットとかがいたんじゃないか?」

「キングではなかったですね。いたのはラージホーンラビットでした。」

「キングかクイーンの前段階か。それでも強いな。」


「宝箱の仕掛けですが、ホーンラビットが飛び出してくるなんてのも、ありました。」

「それは、素早いから鑑定がないと厳しいぞ。」


「次に出てきたのはペリュトンとキングペリュトン、合計5匹でした。」

「それを1人で…?」

「はい。一人で…。」

「一人一匹でも難しいぞ。」

「…そ、そうなんですね。」


「次は、…えーと、ウムドレビです。これは、一匹でした。」

「うんうん、ウムドレビは一匹だよな。う、!?ウムドレビ…!?あの?希少な?それはまずいな…。」

「ウムドレビ…出回ったら暗殺が横行してしまいますね。」


「あぁ。ベル、分かっているかもしれないが…もし倒しても、」

「はい、大丈夫です。アイテムボックスの奥深くに封印してます。」

「あぁ、頼む…って倒したのか!?」

「え、あ、はい。えっと、僕、そのー、」


ちらりとシャルを見る。

シャルはやれやれと言った目でベルをみて、頷く。

「ベルは、全ての状態異常の無効持ちです。」


「…な、なるほど…。」


「次はケルピーでした。」

「ケルピー!?状態異常無効持ちじゃなかったら川の中に引き摺り込まれてたな…。」

「はい。スキル様様です。」


「それと、ベビーウルフ、リュカオン、ヘルハウンドでした。」

「狼系が3種類。しかもリュカオンは精鋭30人で死人が出てやっとだろう…。」

「強かったです…。弱点属性の適性が無ければ死んでました。とにかく速くて。」

「そうだろうな…。」


「ベビーウルフで苦戦してた俺には無理ですね。」

「そりゃそうだ。ベビーウルフもオオカミ系だ。狼系は他の元々草食動物の魔物と違って元々肉食動物なんだから強いに決まっている。」


「なるほど。確かに最も強かったのはその、リュカオンでした。他も苦戦しましたが。でもシャルがいればリュカオンの速度に追いつけそうです。そのくらいシャルの能力はすごいですから!」


「…いや、それはベルが強いからだと思う。」

「いや、ベルが強いのは同感だが、相性もあると思うぞ。」


「そのくらいか?」

「はい、多分これで終わりです。」


「なるほど。最下層は常人にはたどり着けても…。しかし、ダンジョンブレイクになると厄介だ。未開の森もまだ我々は開拓できていないのに、その中のダンジョンはもっと強いとなると。」


「確かにそうですね。1階層の魔物を討伐しても、地上には戻れず、3階層のボスを全て倒して地上に戻れる仕組みになっているようでした。ちなみに、俺をみかけた人は俺を追いかけて入口の中に入ってきて早々魔物にやられてましたけど。どうせ俺を捕まえる魂胆だったんでしょうね。まぁ、どうでもいいですけど。」

どうでもいいと思ってなさそうなのが心配だ。


「これからは毎日魔力込めましょうね。」

「そうする。」


シャルは少し不貞腐れてそう言った。


「1階層は?」

「僕は知らないです。と言うより、目が覚めたのが3階層なので…」

「そうか、シャルは分かるか?」


「そうだな、1階層は普通のダンジョンだった。強かったけど、3階層ほどでは無い。未開の森を含めずダンジョンの1階層だけならD以上と言ったところだと思う。洞窟型ダンジョンで、スモールホーンラビットは3匹程の群れを形成していた。他は、虫系のスモールスパイダーが単体。1番強かったのはクイーンアント。そのまわりにスモールアントがうじゃうじゃいた。スモールアントはそうでもなかったが、クイーンがとにかく硬くて多分メタル種に変異しかけの個体だったんだと思う。」


「そうか。頑張ったな。2階層はどうだった?」


「2階層も洞窟系ダンジョンでした。魔物はC級パーティーならなんとかと言ったところです。スモールホーンラビットの数も増え、一度に10匹程の群れを形成していました。それと、ゴブリン、ゴブリンマジシャン、キングゴブリン、オークがいました。」


「巨大な群れか。」

「はい。」

「1人ではC級でも難しいぞ。」

「洞窟は狭かったのでより狭いところにおびき寄せて少しずつ狩りました。」

「なるほど。考えたな。」

「ありがとうございます。キングゴブリンが2層のボスといったところだと思います。」

「そうだろうな。よくやった。それにしても、未発見ダンジョンの踏破をして情報を報告してくれたお前らには何かしら褒美をやらんとな。」


「え、僕は3階層しか知らないんですけど。」

「俺も3階層はボスを倒していないから。」

「残念だったな。逃げられないぞ。なんせ2人はもうパーティーだから褒美は2人で受け取れ。」

「あ、ありがとうございます?」


「シャルをB級、ベルを流石にF級から一気にB級にするのはちょっと俺の権限では出来ないのでな、C級で我慢してくれ。」

「あ、ありがとうございます。」

「俺、B級の器じゃない…」


「いや、ベビーウルフを倒したのだろう?それだけでB級はふさわしい。そっちのベルはなんというか、既にAはありそうなんだがな。」

「…あはは、ベルはそうですね。なんならSでもいいくらいだと。」

「同感だ。シャルも適性を考えれば十分Sだがな?」

「公開してないのでBで大丈夫です。」

「そうか。では、手続きをしておく。」

「ありがとうございます。」


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