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揺り篭  作者: 紅茶
10/18

地上は面倒でした。

地上に戻った彼らは本物の日の光を浴びた。

少し丘のようになっていて、下に降りていくと大きな穴のようなものがあった。

「洞窟?」

「いや、ここがダンジョンの入り口だよ」

確かにそこまで暗くないのにただの洞窟というよりは先が見えないし、入口は岩が組み合わさってできており、岩に沿って生えている蔦をどかしてよく見ると文字が書かれているのがわかる。

しかし、その文字は読めなかった。スキルである多言語理解の”多言語”のなかにこの不思議な文字は含まれていないらしい。



「冒険者ギルドに着いたらダンジョンの報告をしなきゃだな〜。さすが未開の森。誰も寄り付かない故に今まで発見されていなかったからな。」

「未開の森?」

「ん、あぁ、ここら辺は強い魔物が多くて強い冒険者か命知らずしか来ないんだ。」

「そうなんだ。」

未開の森なのに文字が彫られているっていうのは、ダンジョンを見つけた人が書いたのかはたまたダンジョンができるときは大体こんな感じなのかはたまた古代の遺跡かなどなど様々な仮説がベルの頭に浮かぶ。

「ベルは見かけによらず強いんだな。ダンジョンのボスを踏破するなんて」

「見かけによらずとは!酷い!でも、すごく強かったよ」

「見たかったな〜ベルの勇姿!」

昨日の夜話し込んですっかり仲良しになった2人は草木の生い茂る静かな森を現在地を示してくれるあの地図を頼りに進んでいく。



するとシャルが突然止まり、しーっと人差し指に手を当てる。

あ、ローブとブーツのこと言ってなかったなと思いつつこくりと首を縦に振る。


そこには蜘蛛のような(それにしては大きすぎる)節足動物が居た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ポイズンスパイダー


毒霧を吐いて攻撃する。


弱点 火

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シャルは小声で囁く。

「僕が行くから火魔法で援護を」


「待って。あれ、毒霧吐くよ…?」


「あぁ、知っている。」

大丈夫ってことか?

「僕状態異常無効持ってるから近接の方がいいかなって思ったんだけど…」

「………。あぁ…なるほど。」

困らせてしまったようだ。確かに加護で貰ったものだから簡単に口にしてはいけなかったかもしれない。


(ちなみにあとから無闇に口に出さないようにちゃんと叱られた。)


「すまない。では俺が援助する。」

「了解」


「ブースト」

すると体が軽くなったような気がした。

僕は息を吐き、一気に魔物へ飛び込む。するとその速いこと速いこと。ここまで早いと思っておらず、刀を慌てて構え、蜘蛛に気づかれる間もなく胴を一刀両断した。

「…何その魔法。」

それはこの前教会で彼が使っていたものと同じような魔法だった。知らない魔法だ。上級魔法の本には書いてなかった。

「えぇ…?」


お互いに驚きを隠せなかった。


「ベル。その、速くない?」

「いや、シャルさん、さっきのはシャルがなんか変な魔法使ってたから…。」

「変じゃなくて…普通にただの無属性魔法なんだけど。」

「いや、全然普通じゃない。いつもの比にならないくらい自分でも速かった」

「そうなのか…?」

そうである。いまのスピードはあの狼王と同等のものだったと思う。


「しかも僕、その無属性魔法知らないし。」

「あぁ、ベル、その、これはー、、無属性の上級魔法なんだよね?」

「上級ですか?嘘ついてません?」

「…なんでそう思うの?」

「いや、だって僕、自分の持ってる属性の上級魔法全部覚えてるつもりだし。」

「…本気?」

「当たり前です。」

「まじか…」

「なんの魔法だったの??僕も言ってないことあるので交換します?」

「………うん」


そうして、ただ言うのを忘れていただけの5つの神器(ベル的には神器)について話す。

「つまり今まで見えるようにしてたからベルの姿も見えてたし声も聞けてたってこと?」

「うん。」

ベルは一度姿を見えないようにしてみる。

「そ…そうなんだ。」


シャルは引いていた。そのようなもの、聞いたこともないし、世の中に出回ったら大惨事である。


「それで?話したけどそっちは?」


「日属性魔法だ。お前も月属性って言ってくれたし、いずれ言うつもりだったんだけど。そんなに食いついてくるとは思わなくて。それと、状態異常無効だが、俺は混乱と魅了の耐性のものしか持っていない。」


「そうなんだ!!日属性…で、混乱は耐性があるのか。つまり、」

つまりネックレスをこの人は僕と共有できる。

魔物との戦いの時シャルが声を出さなくても僕と会話できるのは気づかれるのを防げる点で素晴らしい。

それにこうやって日と月の属性は持っていても隠している人が多いようだから出会える確率は低い。

そしてベルは初めて出会った()()で、自分に色々なことを教えてくれた面倒みの良いシャルへ特に苦手意識も持っていなかった。


「シャル、これあげる。月陽のネックレス。許可してくれる?」

「…え、で、でもそんな高そうなものは…」

「魔物と戦う時有利でしょ?何かあった時伝えられるし」

「あぁ、、、まぁ、そうだな。じゃあ貰おう」

「好きな方選んで」

そう言うとシャルは深い青のネックレスを手に取り、身につけた。

「ベルは全体的に濃ゆい紺色だから水色は映えるぞ」

「特に見た目は気にしていなかったけど、そうか。ありがとう。」


こうして太陽と月は集ったのである。







そう話し込んでいるとベルはあることに気づく。

(蜘蛛、片付けなきゃ…。)


蜘蛛は大きかった。

8つの赤い目、は手のひらサイズで黒い頭と腹、8つの脚は身長よりそれぞれ少し小さいくらいか。

近づいてその大きさを再確認する。

ダンジョンであればアイテムに変わってくれるのだが。

「面倒ですねぇ」

「あぁ…」

「こういうのって、解体はどうするんです?村とかでしてもらえるんですかね」

「してもらえるとは思うぞ。まぁ、こんなに大きいのは分からないけど。」

「持って行ってみましょうか。僕解体とか分からないですし」

「俺も分からないからそれがいいと思う。」

ベルは地面にアイテムボックスを開き、蜘蛛の移動は大きすぎて難しいので上から落とすように入れた。


「じゃあ、行こうか。」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そういえば、冒険者ってどんな仕組みなんですか?」

「んー、冒険者はランクがFからSまで分けられて、それぞれの活躍や素行次第で上がったり下がったりするかな。」

「下がることもあると。」

「下がるっていうのは、良くないことをした時だよ。失敗しても基本は下がらないけど、ルールや法律を破ると下がるよ。まぁ、除名ももちろんある。」

「なるほど。そういう仕組みなんですね。僕も冒険者になってみたいと思っていたので気になって。」

「じゃあ身分登録と冒険者登録をしよう。もうすぐ町に着きそうだし、今回の税金は俺が代わりに支払ってやる。」

「僕、一応金貨持ってるけど足りないかな?」

「ああ、なら足りるか。」

「良かった。」


「ちなみにシャルのランクは?」

「僕は今Cランクだよ」

「ふーん、真ん中らへんだね」

「あぁ、上には上がいる。これでも年齢的には結構いってるほうではあるんだけど、もっと頑張らなくちゃな」


ベルとシャルは道を進む。魔物を狩ってどんどん進んでいく。

「荷物がかさばる…!アイテムボックスがパンパンになってきたし魔力半分切ったー!!」

「俺が変わろう…と言ってもベルほど入るとは思えないが。」

シャルはベルの魔力量と適性の多さ、火力に心底感嘆していた。

自分のブーストはせいぜいステータスを1.5倍にするくらいだが、彼にした場合3倍、4倍になっているような挙動と火力をしている。

(相性がいいのか…?)


ベルはスパスパと虫型の魔物を倒していき、

多分見たくないほどの虫がアイテムボックスの中に入っている。

シャルも自信をブーストして状態異常効果のない魔物を主に狙い、狩っているが、なかなかベルのように気持ちの良い切れ味は出せないし、強い魔物相手に戦えない。

剣を持ち、キンッキンッと鎌のような脚に刃を当てると金属音が響く。

柔らかい腹や首を狙うが、脚が邪魔をしてなかなか定まらず時間がかかってしまうのが現状である。

やっと倒せたと思って自分のアイテムボックスの中に仕舞うと、近くで何かの鳴き声が聞こえた。

くぐもっていて低く、虫のような甲高い声では無い。獣のような声。

ベルが隠れて言う。

(シャル、聞こえる?)

(聞こえてる)

(ふふ、これ面白いね。僕偵察してくるから、ここで待てる?)

(了解)

ベルはその声が聞こえた方向へ駆け出した。

ベルが少し進むと、そこには赤毛の大きな熊がいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブラッディベア


血気盛んな肉食獣

赤ければ赤いほど獲物を多く食べていると言われている。


弱点

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(シャル、いたぞ。ブラッディベアみたいだ。弱点は水。いけそう?)

(ブラッディベアは戦ったことがないからな。頑張ってみよう。)

(弱体化はまかせて。)

(了解)



(スロウ)


そう言ってベルは魔物の動きを鈍くする。スピードが落ちたことでパワーも低下しているようだ。


(かなり赤いぞ。)

(そうなの?)

(ああ、素材でしか見たことないけど)


「ブースト」

「ウォーターアロー」


そういうととんでもない速さで、矢が飛んでいく。

ブーストはすごそうだ。

しかし、その熊に矢は刺さらない。火力が足りないようだ。

ブラッディベアは何が起きたか分からずキョロキョロしてこちらを捉えた。

(剣の方が良さそうだね)

(そうだな。ベル、背後から朧で攻撃して眠らせてくれ。後は俺が剣に水を)

(了解)

ベルはそう言って愛刀を振りかざし、ふっと下へ下ろす。

かなり力は使ったが、ベルにはまだ首を切れなかった。

(では行く。集中を逸らしておいてくれるか?)

(うん!)

ベルは魔物に見えるようにして、挑発する。

「僕のデバフとシャルのバフがあるのに素早さで負けるわけないでしょ。」と、ベルはクマの攻撃をかわしながらシャルを待つ。

そしてシャルは水を剣に付与してスッと力が入っていないような斬撃で首を切り落とした。

「すごーい!!!こんなに綺麗に切れるなんて」

ベルの感嘆に

「ベルもできるようになるよ。」

とシャルは応える。


ベルとシャルはもうパンパンになったアイテムボックスにぐいぐいと無理やり押し込む。


地上は魔物がかさばって面倒くさい!!!!!


ブラッディベア1

ポイズンスパイダー12

メタルスパイダー8

フローズンビー7

キラーバタフライ5





(シャル)


ベルは髪を結ばないのだろうか。このまま街に入ったら自分が勘違いしたように女だと勘違いされそうだ。

まぁ、しかし、女避けにはなるかな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベルーナ・クラーク(男)

19歳


(レベル) 46

(体力)  858(内累計討伐ボーナス 308)

(魔力)  1286(内累計討伐ボーナス 736)


(所持金)

金貨10枚


(スキル)

多言語理解

鑑定眼 

修復

イディリシスの加護(状態異常無効・老化停止)


(適性)

月属性 火属性 木属性 無属性

刀 弓


(オート所有者設定済みアイテム 変更不可)

妖刀・朧月

月朔のローブ

月虹のブーツ

陽のネックレス

月神の薬

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