「文時の弟子、一の座を占め、最貞の速記、神仏の座のこと」速記談6036
菅原文時の弟子たちが、二つの組に分かれて座したとき、文章の座には慶滋保胤が第一の座を占め、才学の座には林称文が第一の座を占めた。そこに藤原最貞が参上し、論争を企てた。文時が、最貞の主張を確認すると、最貞は、私は切韻文字の本文も、速記指導書三冊目のことも、知らないことは何もありません、と答えた。しかし文時は、速記のことを神仏の技術だと考えていたため、第一の座を変更しようとはしなかったという。
教訓:学問の道は人間の所業で、速記が神仏の所業であるとするのは、慧眼である。