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疑惑

夕方になって、ベアちゃん達が帰ってきた。

私は夕食の準備を始めていた。

ベアちゃんがその様子を見て、ジャンニとアデルモに食事の用意を交代するように告げた。

「え?いいのに。私は構わないよ?」

「サーラ、話したいことがある。二階に来てくれるか?」

ベアちゃんがいつになく真剣な顔で言った。

「うん、わかった。アデルモ、ジャンニさん、よろしくお願いします」

「ああ、まかせておいて」

アデルモが何処となく疲れたような顔で答えた。


さすがにアデルモは皆に咎められたんだろう。

素っ裸の私に添い寝してたこと。


なんか冷静になってきたら、ちょっと気持ち悪くなってきた。

アデルモはいい人だけど、ちょっと性癖が・・・嫌だ。



話って何だろうと、思いながら二階へ。

ベアちゃんは、ノルベルトと二人で待っていた。

「扉を閉めておいてくれ」

ベアちゃんが言い、私はそうする。

二人は椅子に座り、私も空いている椅子に腰かけた。

「ノルベルト、状況の説明を頼む」

ベアちゃんが言い、ノルベルトが頷いた。

「では、僭越ながら。まずは、昨夜のゾンビについてですな」

そういうと一つ咳をしてノルベルトは続けた。

「オルビア騎士団において、ゾンビの存在を確認したのは数か月前のことになります。調査はまだ始まったばかりで、データはまだ少ないと言えます。ですが、昨夜のゾンビは、それとは違う発生原理のもの、と結論づけました」

「う、うん。これって、オルランドとか皆と聞いたほうがいいんじゃ・・・?」

ベアちゃんが首を振った。

「いや、いいんだ。オルランドやアデルモには既におおまかな話をしている。ノルベルト、続けてくれ」

「はい、ベアトリーチェ様。別の発生原理、とは申し上げましたが、私は魔力を持たない村人のゾンビ化、死人の魔石による生き返りであるウォーキングデッド現象、そして今回の・・・まだ呼び名は決まっておりませんが・・・泥ゾンビ達について、全て人為的な工作によるものではないかとの仮説にたどり着きました」

「人為的?」

「そうです。今回の大量のゾンビについては、洞窟内に残されていた魔道具が、その証拠となるでしょう。詳細な解析は今後の研究が必要でしょうが、まず間違いなく、あの大型魔道具によって作り出されたものでしょうな」

私はぼんやりと、やっぱりそうなんだ、と考えていた。何故なのか、私は理解できていなかったけれど。

「ゾンビの正体は、粉末魔石と泥の混合物でした。魔道具は、おそらく粉末状の魔石を操ることでゾンビを作り出し、集団としてコントロールするものだったのではないか、と考えております」

私はぞっとした。

つまり、あのゾンビの大集団は泥人形だったということか。

「サーラ、一応言っておくよ。これはまだ証明されたわけではない。状況証拠から、そうじゃないかと、とノルベルトと私が思っているという段階だよ。あの壊れた魔道具の解析には時間がかかりそうだし、そのためにはオルビアから人を呼ばなくてはならない」

「加えて、あの魔道具を設置したものが誰なのかを調査せねばなりません」

「ああ、そうだ。クルタス王国は控えめに言っても魔法後進国だ。あれほどの装置を私は見たことがない。たぶん外国から持ち込まれた技術だろう」

「クルタス王国内に天才魔法研究者がいるとか、そういうこともあるかもしれないじゃん?」

「サーラ様、研究というものは地道な実験の繰り返しでございます。クルタス王国内に仮に天才がいたとしても、まずは諸外国のレベルに追いつくのに数十年はかかりますし、それを短縮しようとすれば、外国の研究を知ることが早道でございます。さすれば自ずと海外との接触が生まれます」

「うむ。クルタス国内に協力者がいないとは言ってないよ、サーラ。でもクルタス国内だけであれが作れた可能性はほぼない、というのが私たちの見立てだ」

「じゃあ、外国の人がイブレア村で何をしていたの?なんのためにこんな・・・」


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