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夕食の時間

雨音が激しくなった。

さっきまで小降りだったのに。


突然のベアちゃんの告白に脳内処理能力が不足気味。


でも・・・。


言われてみれば、ベアちゃんの雰囲気や言葉に転生者らしいことがあったかな・・・。


まさかの告白だったけど、そこでグルグル悩んでも仕方ない。

というか、むしろこれは・・・。


「これ喜んだほうがいいよね」

「そうだよな。サーラが転生者なら、私達は目標を同じにする仲間だ」

「うん。これまで何したらいいか分からなかったけど、ベアちゃんと一緒なら何か出来るような気がする」

「うん。私も」

ベアちゃんもにっこり微笑む。

私は嬉しくなった。少し顔が熱い。誤魔化すようにお茶をすすった。


アデルモとノルベルトが帰ってきた。

「随分と魔素濃度が高いよ。プーラと同じくらいです」

アデルモが雨の雫を落としながらレインコートを脱いだ。

そういえば、傘って見ないよね。今回も誰も傘を持っていないし、そもそもあまり傘っていうのを見た記憶がない。

私自身、そういえば生まれ変わってから傘を使ったこと無かったなあ・・・。ポンチョみたいな革のローブみたいなのとかが多かったかなあ・・・。

「それにしても雨が強くなってきましたな」

ノルベルトもレインコートを壁のフックに掛けて部屋へ入ってきた。

「アデルモ、ノルベルトさん。お茶でもいかがですか?」

私はポットを持ち上げて二人に尋ねた。

「ありがとう、サーラ。頂くよ」

「では、私にも」

二人の返事に頷いて、お湯を沸かし直す。

「ねえ、そういえばオルランド達は?」

アデルモが首を振る。

「村中を見回っているはずだからねえ。もう少し時間が掛かると思うよ」

「そっか・・・。雨の中、大変だね」

「ええ。ですが、我々の安全がかかっていますからね」

確かに。

盗賊と一緒に一晩過ごしたいとは思わないからね。


アデルモ達にお茶を出し、夕飯の用意に取り掛かった。

ベアちゃんも何故か一緒に野菜を切ってる。

「ねえ、ベアちゃん、お料理できるの?」

「な、なにを言う。私だって・・・」

口籠ったところを見ると怪しいな。

「そ、そんな目で見るな、サーラ。前世の料理みたいに化学調味料は無いし、そもそも材料が違うだろう?転生してからは料理をしなくてはならないような身分では無かったし・・・。騎士団には料理人が付いているし・・・」

「え?騎士団って料理人がいるの?」

「ああ。移動先でも自分たちで料理をすることは無いぞ。現地調達できちんとした料理を作ってくれるのだ。これがな、なかなか旨いんだ。私が好きだったのは鶏のマレンゴ風っていう料理ね」

「マレンゴ風?」

「そうよ。ナポレオンがマレンゴっていう所で勝利した時、手に入った材料で彼の料理人が作ったんだって」

「ナポレオンって・・・それ、こっちの世界にもいたの?」

「いるわけないでしょ。私が騎士団の料理人に教えたの」

「へえ・・・。でも、そんなの良く知ってたね」

「うん。漫画で読んだからね。ニンニクとトマトでソテーするの」


けど、今日はトマトも鶏肉も無いので。


干し肉のシチューを作った。

玉ねぎやジャガイモは持ってきているし、オルビアで売られていたシチューの元みたいな粉末を入れたら、かなりおいしく出来た。

なんか、普通にクリームシチューに見える。味は少し淡泊だけど、まあ、あり合わせの材料で作った割にはおいしく出来たよ。


オルランド、まだかなあ・・・。


火を弱火にして待つこと1時間。


オルランドとジャンニが帰ってきた。

二人とも寒そうだった。

夏の終わりとはいえ、雨の中を歩き回っていたのだ。体も冷えるだろう。


まだ日は落ちていなかったけれど、皆で夕食にしようということになった。今夜は早めに寝て、明日の朝、天気が良くなっていれば早くから調査を開始する。


シチューを配る。

みんな、好きな場所でシチューを食べる。


皿やスプーンは教会にあったものを使った。

鍋や調理道具もだ。かつては、村の行事のために使っていたものだ。

少し、寂しい気持ちになったけれど、せっかくあるのだから・・・。使った方がいい。

 

シチューを食べて一息ついた頃、オルランドが「少しいいか?」と話を始めた。


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