ベアトリーチェの秘密
「サーラ。クルタス王国では獣人が迫害されていることは知っているよね?」
「・・・」
「だが・・・。私は猫耳は大好きだよ。何故だかわかるか?」
「・・・。アデルモと同じ・・・?」
ベアちゃんは、にっこりと笑う。そしてゆっくりと首を振った。
「いや、私もな、サーラと同じで、転生者だからだよ」
・・・聞き間違いかと思った。
ベアちゃんが転生者・・・。
え?まじで?
うそ?まじで?
「あの、それって、日本からってことですよね?ジャパン、わかる?醤油、味噌・・・」
ベアちゃんの目が細くなる。
「サーラ、お前、馬鹿にしてるのか?」
「え?だって、急に転生者って言われても!」
「いや、ごめん。けど、言い出しにくくてさ。きっとサーラも転生者だろうと思ったんだけど。仲間がいるって聞いてたしさ」
「え?誰に?」
「ん?神?あー、あの創世伝説のアメデーオとかじゃなくて、なんて言ってわからんけど、イメージの落ち着かない神みたいなやつ」
「う、うん。なんとなくわかるよ・・・」
「サンテレナからの報告書を読んでピーンときたんだ。いや、これ、絶対チートな能力者だよね?と。それは自分も同じだからさ」
「そっか・・・。ベアちゃんは・・・」
「私は、前世で17歳まで生きてたよ。で、通り魔に刺されてね。秋葉原で買い物をした帰りでさあ・・・せっかく買った漫画とか読めず仕舞いだよ」
「う、うん・・・」
「サーラは?なんか予想では、私より年上でしょう?25くらい?前世で死んだの」
嬉しそうに話すベアちゃん。
さっきまでと雰囲気が全然違う。
旅先で出会った同郷の人と話すのりだ。
ふう・・・。思い出せない前世だけど、自分がオバちゃんと呼ばれてしまう年齢まで生きたっていう実感は何故だかあるんだよね・・・。
「私は・・・その、えっと・・・前世の人生を覚えてないんだ・・・。どうやら夢の中では思い出すみたいなんだけど・・・起きたら忘れてる?みたいな?」
「へえ・・・そんなんもあるんだ・・・」
「けど、なんかね、私、死んではいなかったらしいよ?人生の途中で連れてこられたらしくて・・・」
「え?なにそれ?死ななくても転生できるもんなの?え?まじで?私、死に損?痛いやつ、やられ損?」
「いや、それは・・・私に言われても困るけど・・・」
ベアちゃんは前世で転生物を読みまくっていたらしい。
なので、こっちで生まれ変わった時は、すぐに順応した。神だとかいう存在にも拒否感は無く、世界を救えとか言われても、ああ、そうですか、そういうわけね?的な反応だったらしい。
ただ、私と違って、前世への生き返りは提案されなかったみたい。
まあ、そうだよね。
前世できっちり死んでるもんね。
むしろ、私のケースで死ぬまで待ってもらえなかったのが不思議だ。
神とやらが言うには、私は前世で中途人生退社させられた2年後に死ぬ予定だったらしいし・・・。
まあ・・・どっちしても記憶が無いからいいんだけどさ・・・。
「でも良かった、サーラに話が出来て。まあ、そういうわけだからさ、これからよろしくね。私、世界を救いたいとは思ってるからさ。協力してくれるよね?」
「う、うん。むしろ私一人でどうしようって思ってたから・・・相談に乗ってくれるだけでも嬉しい」




