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オステリア・ライモンド

その後は、墓場に移動して棺桶掘り。


ま、掘るのは男どもの仕事だけど。


焼き尽くすのだって大変な仕事だよ。


「サーラさん、さすがと申しますか、素敵なインフェルノですわね!」

「魔法に素敵とかってあるの?」

「ありますわ!サーラさんの魔法は、それはもう、興奮いたしますわ!」

「興奮・・・」


アロンザはフレイムで棺桶を焼いてみせてくれたけど、生焼け状態になって、中身が見えそうだったから、私が慌ててインフェルノで焼き尽くしたよ。


インフェルノは、対象範囲を灼熱の炎で包み込むので、中で何が起きているのか見えないんだ。

 

燃えていく様子がわからないので、精神的に負担が少ないのです。

 

「昨晩のストームからのサンダーボルトも素晴らしかったですわ。私、あのような上級魔法は見たことさえありませんでした。魔法騎士団の方は、あのような魔法で戦闘を行うこともあるって聞いてはいましたけれど、まさか目の前で拝見することが出来るとは!」

アロンザが私の目を覗き込んでくる。

なんか、爛々と輝いた目をしてるんだけど。

「私、絶対にサーラさんと一緒に旅をいたしますわ。ぜったーい、付いてきますわ!」

「う、うん。あ、アデルモに相談して・・・ね」

「アデルモ・・・。そうですわ!サーラさん、あなた、私と一緒にパーティーを組みましょう!私達二人、二人で旅に出ましょう!」

「え?いやいや、魔法士二人のパーティーなんてバランス悪過ぎだよ」

「そうですか?サーラさんさえいれば、剣士なんて要らないでしょう?昨晩のオルランドの顔を見ましたか?突入しようと剣を構えたまま、固まっていましたわよ。支援のはずの魔法士が放った魔法が素敵過ぎて、敵を倒してしまうなんて!本当に素敵過ぎますわ!」


アロンザ、悪い子じゃないんだけど・・・。

あまり褒められすぎると、なんか居心地悪いよ。

それと、オルランド、聞いてるし・・・。



3日後。


サンテレナに帰ってきた。


ギルドに報告しなくちゃいけなくなったので戻ってきたよ。

まあ、報告とか面倒なことはアデルモがやってくれるって言うから、私はオステリア・ライモンドへ直行だけどね。

ジャンが一緒だよ。


そして、何故かアロンザも一緒だよ。


「サーラさんは、こちらのオステリアで食事をされていたんですね!私、ギルドの近くのタベルナばかりでした」

「おう、サーラはな、人見知りだからな!あっちこっちの店とか行かねえんだ。ここしか来ねえ!はっはっは!」

「ジャン・・・」


けど、まあ、久しぶりのおいしいものにありつけそう。

おなかがきゅうってなってるよ。


「こんにちは!ライモンド!」

店に入ると、暇そうに新聞を読むライモンドがカウンターの向こうに座っていたよ。

「おう!久しぶりだな、サーラ嬢ちゃん」

「うん。久しぶり。とりあえず生・・・じゃなかった、エール!」

「はいよ。そっちのお連れさんもエールかい?」

「おう!俺もエール!」

「じゃあ、私もエールにしようかな。少し苦手だけど・・・」

「うちのエールはうまいぞ!なにせ、そこのサーラがキンキンに冷やしてくれるからな!ハッハ!」

ハッハ、じゃないよ。

ライモンドは冷やしたエールを自分でも飲んでみて、それがなかなかいけるって思ったらしく、私をエール冷やしのために雇おうとしたんだよ。

もちろん断ったけど、お店にいる間は、やたらとエールを冷やして欲しいと頼まれるようになった。

まあ、時々料理をオマケしてくれたり、おかわりのエールが無料になったりするからいいんだけど・・・。


ライモンドがエールを3つ、運んで来た。

私達は、それぞれ銅貨6枚ずつと引き換えにエールを受け取る。

「へえ、安いのね。普通、エール一杯は銅貨8枚くらいなのに」

銅貨4枚で大銅貨1枚になる。なので、普通はエール一杯、大銅貨2枚が相場なんだ。

「おうよ。うちは冒険者歓迎の安くて旨い店だからな!ハッハ!」

ライモンドがアロンザに親指を立てて見せる。アロンザは呆気にとられた顔をしていた。

ライモンドが私の方を振り向いた。

「ライモンド、今日の料理は?」

「ウナギだ!トマト煮込みだぞ。旨いぞ!」

「ウナギ!?私、それ食べる!」


ウナギのトマト煮込みって味が想像つかないけど、ライモンドの料理に外れは無い。

それに、ウナギなんて生まれ変わってから食べたことが無い。食べられるのなら食べてみたいよ。

アロンザは、微妙な顔で私を見ていた。

「アロンザ、ウナギ、苦手?」

「そんなことは・・・。いえ、すみません。あのブヨブヨした感じが苦手で・・・」

「そっか、じゃあフィッシュフライとかがおいしいよ。ポテトフライと一緒に出てくるフィッシュアンドチップスが名物なんだ」

「では、私はそれを・・・」

「おう!ジャンはどうする?」

「俺はサーラと同じものを」

「おうよ」


ライモンドが店の奥へ引っ込んでいった。


このお店、店主のライモンドの気分でメニューが変わるから、いつもお勧めメニューを聞いてから注文することにしてる。

常連は、みんなそんな感じだよ。

その中でもフィッシュアンドチップスは定番でファンが多いから、材料の都合がつく限り、毎日作ってる。どうしてもお勧めの料理が苦手な場合はそれを注文する、というのが定番だよ。

フィッシュアンドチップスは、北国の名物料理らしいんだけど、北から流れてきた冒険者に作ってくれと頼まれたのが最初だったんだって。

白身魚のフライと、フライドポテト。それが大量に皿に乗っているよ。煮詰めたトマトソースが付いてくる。

一皿でお腹いっぱいになるお得メニューでもあるよ。しかもそんなに大盛メニューなのに大銅貨5枚。お金が無い時は、これが最高だよ。


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