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ゴブリン討伐と魔石回収

説明回が続きます。


小説に作者自身が補足するのはスカートの丈が短すぎるくらいのルール違反ですが、

スカートの丈は自由に本人が決めればいいと思います。

ちなみに本作の主人公サーラには、尻尾を隠さなくてはならないという命にも関わりかねない切実な大問題のせいで、膝下は長めです。


本作主人公は、前世の記憶が微かにしかありません。

知識は比較的思い出せるのですが、エピソード記憶が思い出せません。


故に、性格や人格については今生の14歳のレベル感です。

しかし知識として知っている記憶が膨大であるため、妙に達観しているような部分もあります。


一人称で物語を遂行しているために、言葉足らずな弊害が発生しています。

随時、他者からの視点で物語を挟んでいくことにしましょう。

状況を整理しようと思う。


いやね、かなり前からね、時々、夢では見てたんだよ。

なんだかすごく便利な世界のこと。二ホンっていう世界のこと。

なんだかネガティブ思考の女の目線でさ、こう、受験勉強が辛かったとかさ、就職氷河期がどうとかさ。

一つ一つの言葉の意味はわからないんだけど、その時の気持ちはわかるっていうか、そういう夢だよ。

だから、薄々感じてはいたんだよ。ひょっとして、私って前世で全然別の世界にいたんじゃないかって。


でも、それが、さっき、繋がった。

前世でどんな人生を歩んだのか、全然思い出せないけれど、夢の中ではそれを思い出しそうになっている。

ほんとついてない人生。そしてつまんない人生。

それが前世の私。


でも、たった一つだけ、後悔していることがある。

それが何かさえ思い出せないんだけど。


まあ、今の私が運のいい人生かっていうと、残念ながらそうじゃないけどさ。

うん、前世も今世も運は悪いみたいだよ。



で、肝心なところ。


神は・・・。あ、もうあれは神って結論、それで良いよね?


神が言うには、私は前世で死んでなかったけど、残り二年の命だった、と。


けどね、私、うっすらした記憶でさえも、

20歳を過ぎたくらいまでの記憶しかないんですけど・・・。


なんか短大、かな。そんなようなものを卒業したけど、就職氷河期?っていうので仕事に就けず、アルバイト?っていう臨時雇い的な仕事で暮らしてた。


最初はコンビニのバイトとか、なんかの店員とか・・・。けど接客が向いていないみたいで、倉庫の整理とか、運送関係の仕事とか・・・派遣で。

それで唯一の趣味が本を読むこと。その頃はファンタジーとかあんまり好きでは無かったみたい。

けど、その後の人生で好きになったんだろうなあ・・・。割と知識あるよ、魔法とか中世ヨーロッパの生活とか、さ。


ぼんやりとした人生の記憶としては20歳前半くらいまで。

最後の方はかなり曖昧だけど。


でも人生以外の知識は、もっとある。


なんだろうなあ、このおかしな感じは・・・。

意味わかんねえなあ・・・。



言葉遣いが悪くなってるなあ・・・。

これ、絶対に前世の記憶に引っ張られてるよ。


私、今世では、あんなにひねくれてないと思うんだ。


あ、いえ、素直だと思うのです。

素直だよ。

絶対に、前世よりもいい子だし。


うん。

おちつこ?

落ち着いて、今、何をしたらいいのか、ちゃんと考えよう?



うん。

今は、冒険者をしてる。

それで、素材回収の仕事を受けてる。


今は、依頼を達成して帰る途中だった。

日帰りコースの依頼で、仕事は午前中に完了。

昼過ぎの、のんびりした田舎を歩き、携帯食で昼ご飯を食べて、少し休んでいた。

まあ、安全な場所だよ。魔物がいるようなところじゃないし、街道からも離れているしね。原っぱの草は柔らかくて気持ちもいいし。


あ、こんなことしている場合じゃない。


冒険者ギルドに行かなくちゃ。


今日中に持って帰らないと、依頼失敗ってことになってしまうから。

え?何を集めているかって?

魔石集めだよ。魔道具のコアになるんだ。


魔石は自然界にも存在するけど、魔物を倒し、火属性魔法で焼くと残る。

魔石は高温にも耐えるから焼いてしまうのが一番早いんだよ、私みたいに魔法が出来る者にとってはね。


それに、今日行ったとこ。

 

そこは、死の森と呼ばれるエリアの中でも、ゴブリン系の魔物が出没するエリア。


ゴブリンは食用にはならないし、毛皮が採れるわけでもない。

前世の記憶が蘇ってしまって、なんだか「殺戮」という言葉に罪悪感を感じるんだけど、

さっきまでは殺すことに一点の迷いもない種族だったよ。


ゴブリンは群れで生活する種族。

人のような姿をしているけれど、知能は低く、そして残忍な性格だ。

繁殖力が異常に強く、年中発情期。


そしてゴブリンのオスは見境が無い。

相手が人間でも発情して襲ってくる。


ちなみに、ゴブリンには、人間のオスとメスを見分ける知能は無いよ。


男の子も普通に襲われるから。


怖いでしょ?


それに、本当に怖いのは、年に何人か、ゴブリンの子供を身ごもってしまう少女がいるってこと。


本当にかわいそうなことだって思う。

普段はゴブリンも自分たちの集落で暮らしているんだけど、時折、はぐれゴブリンっていうのが村を襲ったり、村の近くで遊んでいる子供を攫ったりする事件が起きる。


遺伝情報?DNA?そのあたりどうなってるのかわからないんだけど、ゴブリンとの間に出来た子は、総じて死産になる。

そして生まれる時に、何故か母体にすごく負担をかけるらしい。

要するに、母親も死んでしまうことが多い。

堕胎手術をする場合もあるけど、前世の日本と違って、ここは文明レベルの低いクルタス王国だ。ろくな衛生状態じゃないし、感染予防の知識もかなり低い。

つまり、ゴブリンの子を身籠るということは、ほとんど死の宣告に近いんだよ。


怖いよ、本当に。

私も小さい頃にゴブリンの話を聞いた時には夜眠れなくなるほど怖かった。


私も、森に近い村で育ったから。


だから増え過ぎないように定期的に数を減らさなきゃいけないんだ。

なので、魔石回収の依頼は、ゴブリンを倒すことが奨励されている。


実際のところ、ゴブリンは強い敵じゃないんだ。

一対一なら、ちょっと実力のある冒険者なら、ほとんどリスクはないレベル。


だったら、いっそゴブリンの集落ごと滅ぼしてしまえばいいじゃないかって説?


それはダメなんだ。


さっきも言ったけど、魔石は魔道具のコアになる。

魔石は魔物の体内で結晶化する石のようなもの。

自然界にも存在するって言ったけど、たぶん、それも元は魔物の体内にあったもの。

自然死した魔物の骸だっていうのが定説なんだ。


魔石は、それなりに高額で取引される。

それゆえに、魔物とは一種の共存をしなくてはならないんだって。

人間は、魔道具の便利さに慣れてしまって、それなしでの生活を考えられなくなってるから。

魔道具は、魔法を使えない人にも魔法の恩恵をもたらしているんだ。


そんなわけで、危ないのはわかっていても背に腹は代えられないってことになってる。

ま、それで儲かるのは税金を取る貴族と、売って儲ける商人、それから私達のような冒険者だね。

 

仕方がない。

そういう世界なんだ・・・。


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