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キャンプファイヤー

農家さんに分けてもらった肉と野菜で夕食にしたよ。


肉はバッファローの干し肉。野菜はカブっぽいのと、パプリカ。

簡単に火を通して塩コショウして頂いた。


残ったバッファローの干し肉は保存食としてマジックボックスに収納する。


そうそう、10日ほど前に、魔物化して暴走した野生化したのバッファローの集団だよ。

冒険者を中心に討伐隊が組まれたけど、倒されたバッファローは近隣の村に分配されて干し肉に加工されてた。


アデルモが夕食の話題として語ったところによれば、バッファローは遠い大陸から数頭が連れてこられたんだって。

食用というよりは革を採るのが目的だったみたいだけど。


だいたいそれが30年前。

それで家畜として繁殖させて増やしたのはいいけど、20年前くらいに急激に増加した魔素によって度々狂暴化してしまい、逃げ出す個体が急増。

最近では野生化して個体数を増やしているらしい。


もう魔物の一種といっても良い状態らしく、近々バッファロー狩りも冒険者ギルドの常時依頼に加えられるらしい・・・んだって。


なるほど。

特定外来種ってわけだね。

 

ちなみに味は牛肉そっくりだったよ。

でも脂身の少ない牛肉かな。赤身で少し固い。でも、日本の高級牛のようなお肉は、あんまり見ないかなあ・・・。


夕食後。


「じゃあ、水浴びに行ってくるね」

マジックバッグを持って立ち上がる。

「いってらっしゃい、ごゆっくり」

ロレーナはワインを片手にくつろいでいた。

簡易の椅子に座り、干し肉を齧りながら焚火を見ている。大人の女性の落ち着きを感じるよ。

ロレーナは、さっきテントの中で水魔法で濡らしたタオルで体を拭いていた。

私がタオルを加熱してあげたら「気持ちいい!」とはしゃいでいたよ。


ロレーナも、生活魔法で水は出せる。

女性冒険者は、水が出せるか出せないかで女子力に差が出るから、結構真剣に魔法を学ぼうとするから。

そういうところも、冒険者の魔法士に女性が多い理由なのかも。


テントを離れたところで、ジャンの声が聞こえてきた。

「アデルモ、どうした?馬車に飲み物を取りに行くなら、そっちだろう?」

「いや、そうだったかな?あはは、ワインに酔ったかな?」


振り向くとアデルモと目が合った。


「あ、いや、サーラ。違うよ、そんなつもりじゃないよ?」

どんなつもりなんですか?アデルモさん?


いつの間にか来ていたロレーナがため息をつく。

「こいつは押さえておくから、さっさと水浴びしてらっしゃい、サーラ」

「うん、ありがと、ロレーナ」

「いいのよ。この変態の面倒を見るのも私達の役目だからね」

ロレーナは、アデルモの首根っこを掴むとテントの方へ引き摺っていった。

アデルモが「僕はサーラちゃんの尻尾が見たかっただけなんです。決してやましい理由じゃなくてですね・・・」とか言っていたけど、聞かなかったことにするよ。



小川の辺にマジックバックから取り出した魔道具のタライを取り出す。

ちょっと暗すぎて見えないな。


マジックバッグからランプも取り出した。

このランプは古道具屋で見つけたものだ。大銅貨2枚だったよ。もちろん値切って大銅貨1枚にしてもらった。見かけはボロボロの古いランプなんだけど、かなり明るい。

魔道具だ。


ただし、魔石を光に変換する部分が故障していて光系魔石を入れても光らない。


うん、ただの故障品だよね。

でも、私には関係ない。


ランプに直接魔力を注ぐ。

光系の魔法を使えるのであれば、何も魔道具が無くても辺りを照らす「ライト」の魔法が使えるのだけど、打ち上げるか、地面に転がすか、まあ、使い勝手が悪いのだ。ぼやっと空中に浮かばせることも出来なくは無いけど、それなりに集中力がいるし、面倒なのだ。それが魔法のランプなら、最初にある程度の魔力を流し込んでおくだけで放っておいても安定して辺りを照らしてくれる。それもかなり高効率で。

使わない手はないよ。


帽子を取る。


周辺の気配察知をして、人がいないことを確認する。


それから服を脱いでタライに水を張り、洗濯をする。

一応、外だから下着は付けたまま。

さっともみ洗いをすれば、魔道具のタライで汚れはすぐ落ちる。

魔法で水を切り、マジックバッグへ収納する。あとでもう一度取り出して朝まで干しておくけどね。


下着も脱いで小川に。


「ひゃあ・・・」


冷たい。

思わず声が出た。


じっと我慢していると、水に慣れてくる。そっと水をすくい、顔を洗う。


きもちいい!


バシャバシャと水を浴び、岩の影から深みに身を沈める。

昼間に下見をしているから、そこが流れの緩やかな深みだと知っているよ。

それに明るいランプもあるし。


「あ・・・ふう」

水が冷たくて、息が弾む。

すごく気持ちいいけど。


今日も暑かったからねえ。

夜になっても気温は高く、湿度も高めで汗ばんでいたから。


ちょっと泳いじゃう。

二、三回クロールで泳ぐ。


うん。泳ぎは小さい時からクロールだったよ。

もちろん他の子とか、お父さんとかに不思議な顔をされたけどね。見たこと無い泳ぎ方なのに、実に効率的だって褒められたよ。

なのでイブレア村出身の子の中にはクロールで泳ぐ子もいるはずだよ。


・・・生き残っていれば、ね。


ううん、今はそのことを思い出すのはやめよう。

まだ、正面から向き合うのは無理だから。


水の中へ頭まで潜る。

髪が流れで顔へ。私は泳ぎながら流れに向かう。髪は後ろへ流れていく。それを指先で梳いていく。


「ぷは!」

水面に顔を出し深呼吸。

髪を水中で軽くもみ洗い。あんまりやると傷むから軽くね。


まだ水に浸かって5分くらいだけど、すでに体が冷えてきた。

そろそろ上がったほうがいいかな。


「よいしょ」

ランプを置いた岩へ泳ぎ寄り、体を持ち上げた。

ざばーっと水から上がる。髪の毛から水が滴り落ちる。

「ふむ!」

勢いよく顔を上げて髪を後ろへ。まとめて少し水を切る。そのまま背中の毛も少し水を切っていく。岩に座り、尻尾も両手で水を切っていく。


うん。私、水から上がった後、乾燥までに時間がかかるのよ。


ま、魔法使うけどね。


私オリジナル魔法。

「ドライヤー!」

風魔法と火系魔法を組み合わせた温風魔法だよ。なんか「ヒートブロワー!」とか最初は言ってたんだけど、何故かドライヤーっていう単語がしつこく頭に浮かんできて、そのうち「ドライヤー!」って唱えないとうまく発動しなくなってしまったんだよ。


まあ、前世の記憶をだいぶ取り戻しつつある今なら、理由は明確にわかるけど。


オリジナル魔法「ドライヤー」は、けれども、ただ温風を作り出す魔法というわけではないよ。もうほぼ毎日のようにやってるから、尻尾や背な毛を効率よく乾かすために体の周囲を渦を巻くように温風が舞う魔法に昇華していた。

下から上へ風を巻き上げ、髪はより効率良く、からまずに乾き、背中も尻尾も乾く。


まあ、難があるとすれば、せっかく冷え冷えになった体が少し温まってしまうことかしら?


だいぶ乾いてきた頃・・・。


「誰?」


私は人の気配を感じた。


ぴくっと耳が動く。

この動きは反射反応だ。


川の向こう岸。


誰かいる!


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