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第十八話 呪いのロロル人形 後編

「回転斬り(スピン・スラッシュ)!」


 剣を構えたまま、そう声を上げた!


*しかし はつどう しなかった!


 …やはり…!張りぼてじゃ駄目か…!!

 この張りぼての剣、剣というよりは鈍器だからな…!

 斬撃系のスキルは使えないのか…!


 鈍器系の全体攻撃スキルもあるんだが、あれは地面を叩いてその振動と衝撃で攻撃するものだから空中に浮いている相手には通用しない…!


『は…はぁ!?驚かせないでよ!所詮ただのコスプレ男ね!さあ行きなさい私の可愛いロロル人形たち!』

『キャハハハハ!』

「キャー!」

「イヤァアア!」


 いや、待てよ!

 アレを使えば!


 恐怖に泣き叫ぶ女性たちと迫りくる魔物たちに背を向け、ドアに向かって一直線に走り出した。


『女の子たちを見捨てて逃げるつもり!?とんだ意気地なしのダメ勇者ね!』

『キャハハハハ!死ンジャエ!死ンジャエ!』

「何よあいつ!“君たちのことは俺が絶対に守るから安心してくれ”とか言ってたくせに!」

「酷いですぅ、ユシヤさん~!」


 人形の魔物たちが一斉にドアに向かって走る俺を追いかける。

 よし、全員俺をターゲットにしているようだな。


 それでいい!


「ダメ勇者かどうかは、これを見てから言うんだな!」


 廊下に出ると同時に甲冑から剣を奪い取り、魔物に向かい合う形で剣を構える。

 これが本物の剣であることは確認済みだ。

 つまり、この剣ならば全体攻撃スキルが使える!


「回転斬り(スピン・スラッシュ)!」

『ギャアアアアアア!!!!』


 真っ二つに斬ると、人形の魔物たちは耳が痛くなるほどの甲高い悲鳴を上げた。

 魔物たちから黒いもやのようなものが放たれたと思うとその場に落下し、すぐに魔物たちは動かなくなった。

 魔物を倒したから呪いも解けたようで、俺のHPの最大値は999999に戻っていた。

 しかし減ってしまったHPは戻らないから宿屋で休んで回復しなければ…。


 それにしても、久々に勇者らしい仕事をしたなぁ。

 どれだけぶりかの魔物との戦いは、ちょっと楽しかった…。


 いかんいかん!何を考えているんだ、ユシヤ!

 それでは魔王が復活したことを喜んでいるようではないか!

 戦いなどしなくてもいいならば、しないほうがいいんだ…!

 勇者など、本当はいないほうがロプーレのためなんだ!


「ユシヤさんすごいですぅ~!強い人、りぼん好きぃ~!」

「わ、私生きてる…。ユシヤさん、ありがとうございます!」

「お化けを物理で倒すなんて…。すごいわね、貴方」

「す、すごい…。あ、あ、ありがとうございます!」

「ロロル人形を真っ二つにするなんて何考えてるのよ!コレもう手に入らないのよ!?」


 女性たちの感謝の言葉に我に返る。

 まあ、何故か俺を責め立てている者もいたが、皆のためにやったはずが民から責められることはよくあることだ。

 これも勇者の宿命なのだ。


『フフ…フフフフ…』


 剣を鞘にしまおうとしたその時だった。

 魔法の盾に映し出された仮面の女が不敵に笑った。


『たしかにちょっとはできるようね…。でも、本当に呪いは解かれたのかしら?』

「何!?」


 ま、まさか、この剣…。


*呪いの剣は のろわれていた!


「呪われている!!」

『そう、万が一に備えて武器になりそうなものには呪いをかけておいたのよ!それに触れるだけでアンタの寿命は吸い取られてしまうのよ!』

「そ、そう言われればたしかに一歩歩くごとにHPが1ずつ減っている…!」


【お約束㉔ 呪われた装備の攻撃力はやたらと高いが、HPが減り続けたり命中率が下がったりとデメリットがある】


『は?一歩歩くごとに?HP?いやそういうんじゃなくて、私の呪いはもっと目に見えて今すぐ苦しむはずなんだけど…』


 罠にかかってしまったことに嘆く俺に、仮面の女が何か言っている。

 そんなことより俺は気づいてしまったぞ!

 HPが減るだけじゃない。しかも…


「しかも呪われているから装備を外すことができない!」

『え?いや、そんな呪いはかけてないんだけど…』


【お約束㉕ 呪われた装備を装備してしまうと外せなくなる】


 クソッ!手から剣が離れない!

 今はさっきの人形の呪いでHPが500000まで減っているから、500000歩歩いたら俺は死んでしまう!

 大ピンチじゃないか!


*説明しよう!

 500000歩は東京ドームの外周を大体571周歩いたくらいだぞ!

 直線距離にして東京から神戸くらいまで歩けば死ぬぞ!


『いや、だから、私の呪いはそういうRPG的な奴じゃなくて、呪いが発動した瞬間に死ぬとかそういうので…』

「クソ!手から離れない!」


 ブンブンと手を振ってみるが剣は俺の手から離れない。

 ああ、キュアカースの呪文があれば呪いなんてすぐに解けるのに、なんで俺は呪文が使えないんだ!

 呪いを解くアイテムなんてものはないし…!


『わ、私の黒魔術をバカにしやがって!もう遊びは終わりだ!私の本気を見せてやる!サタン、召喚!』

『バカ!やめろ!』

「キャアアアア!」


 呪いの剣を外そうとするのに躍起になりすぎたため、仮面の女が何かしていることに気付かなかった。

 女たちの叫び声で我に返って振り返ると、そこには羊のような角が生えた巨大な魔物がいた。


 い、いつのまに!?

 ハッ!まさかこれがデスゲームなのか!

 なんという大きさだ…。まさにボスの風格…!

 戦えるのは俺一人…。

 きっとさぞかし苦戦するに違いない…!


『サタン!その勇者もどきを殺しなさい!』

「俺も本気で挑ませてもらう!行くぞ!デスゲーム!」


 空気中に漂う電気を剣に送り込むように気を込め、そのままデスゲームに振り下ろす。


「稲妻斬り(サンダー・スラッシュ)!」


 まあ、こんなものがデスゲームに効くわけはないと思ってはいる…


『グアアアアアア!』


 が…。あれ?


 デスゲームは立てに真っ二つになり、ものすごい断末魔を上げたかと思うと消滅した。

 ん?これが俺がずっと追っていたデスゲームなのか…?

 え?一撃で…?


*説明しよう!

 ユシヤのレベルは999なので、なんかもうとにかく普通にめちゃくちゃ強いぞ!


 ああ…そうか!幻覚か!

 じゃないと一撃で倒せるわけないもんな!


『え、えー…?私の力全部使って召喚したんだけど…』

『だからやめろと言ったのに…。アイツ力業だと普通にめちゃくちゃ強いぞ』


 今度こそ倒してみせるぞ、デスゲーム!



■今回の生還者一覧■

ユシヤ(自称勇者)

正園寺しょうえんじエル(女子高生)

一隠ひとかくれ りぼん(女子高生)

久利三津子くり みつこ(巫女)

粟瀬あわせ かがみ(占い師)

牛ノうしのたに舞璃まり(無職)



第十八話 完




■おまけ情報■

この世界は現代日本ではなく、現代日本にそっくりなデスゲームの世界なので黒魔術で悪魔や化け物を呼び出せる黒幕もいるぞ!

でもまあ普通の人たちは悪魔や化け物とは無縁な生活を送っているぞ!


■おまけ情報2■

その後、街の教会でお祈りをすることで呪いの剣を外すことに成功したが、本物の剣を持って教会に入ったので通報され、ユシヤはしばらく警察のお世話になったぞ!

ユシヤも警察には勝てなかったよ!

【お約束㉖ 呪われた装備を外すには教会】


■名前の由来■

ユシヤ(勇者)…勇者

正園寺しょうえんじエル(女子高生)…エンジェル様

一隠ひとかくれ りぼん(女子高生)…ひとりかくれんぼ

久利三津子くり みつこ(巫女)…こっくりさん

粟瀬あわせ かがみ(占い師)…合わせ鏡

牛ノうしのたに舞璃まり(無職)…丑の刻参り


玄津麻樹げんつ あさぎ(黒幕)…黒魔術

黒宮くろみや まこと(黒幕)…黒幕

ロロル人形…呪い


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