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番外編② ユシヤ、冒険者ギルドに行く

 俺は勇者ユシヤ。

 道具袋の中身が心もとなくなってきたので買い出しに来たところで前に武具屋で知り合ったカザコシ・レイヤに出会った。


「あれー!?お兄さんも今からイベント行くの!?入場前からコスしてくるなんて気合入ってるね!」


 カザコシ・レイヤは相変わらず露出の高い恰好をしている。

 何故冒険者の女性はあんなに露出の高い恰好をするのだろうか。

 素早く動くためかと思っていたのだが、何故かああいうのはむしろ防御力が高いんだ。


【お約束⑰ ビキニみたいな鎧が何故かものすごい防御力を誇る】


 なのに何故か男性用のああいった防具はない…。

 いや、まあ、男のあんな恰好は見たくないけども。


【お約束⑱ 露出の高い防具は女性限定】


 はあ…。とにかくいつまでたってもああいった格好には慣れない…。

 目のやり場に困る…。

 みんなよく普通に接しているなあ…。


【お約束⑲ 下着のような恰好をしている冒険者(女)を見てもみんな動じないし疑問に思わない(ユシヤ除く)】


「じゃ、ここで会ったのもなんかの縁だし、一緒に行こ!」


 そう言うとカザコシ・レイヤは俺の手を引き、走り出した。


 ぐぬぬ…、む、胸が俺の腕に当たっている…!


 す…


 好きだ…!!


*説明しよう!

 ユシヤは惚れっぽいぞ!




 ***




「ここは冒険者ギルドか…!」


 カザコシ・レイヤに連れてこられた建物には沢山の冒険者がいた。

 鎧を身にまとった戦士、ローブに身を包んだ魔導士のエルフ、やたら露出の高い格闘家の獣人…。


 なんだ!世界が平和になってもちゃんと冒険者はいたんだな!

 この国に来てから冒険者を見ていないからもういないのかと思っていた…!

 いや、実際いなかったのかもしれない。

 新たな魔王が現れたことで冒険者ギルドに冒険者が集まり出したんだな!


 しかし、なんだか変わった格好をしている人もいるが、あれは何のジョブだろうか。


「あれはなんだ?」

「ああ、あれは魔法少女マジョキュアだよ。知らない?」


 魔法…ということは魔導士か。

 あんな短いスカートで…か?

 俺の知っている魔導士は足元までガードしている者が多かったが…。

 いや、そういえば丈の短いスカートで魔導士でも装備可能なものもあったな。

 きっとあれか。

(神秘のスカート:魔力の込められた膝上丈のスカート。女性限定防具)


「じゃあ私も着替えてくるから!」


 妙な恰好の魔導士を眺めていると、カザコシ・レイヤが向こうにある扉の中に入っていった。

 うん?装備品を変えるだけなのにわざわざ別室に行くのか?

 カザコシ・レイヤは変わった女だな。


*説明しよう!

 ロプーレの世界ではまわりに誰がいても普通にその場で装備品を変えるぞ!

 といっても裸になるわけではなく、普段着の上から装備品を着ているぞ!

 でも露出の高い装備品の場合は下着の上から着ているぞ!

【お約束⑳ どんな場所でも平気で着替える冒険者たち。ボスの前でだって着替えるし、その間ボスもちゃんと待ってくれる】


 そういえばクロマクがさらってくるのは人間ばかりだったが、ちゃんとエルフや獣人もいるんだな。

 街では一人も見かけなかったが、一体どこで暮らしているんだろうか?

 もしかしたら亜人だけが暮らす街がどこかにあるのかもしれないな。


「お待たせ!トビラム!」


 カザコシ・レイヤの明るい声がする。

 しかし俺を呼んでいるとは思わなかったため、ぼうと他の冒険者たちを眺めていたら肩をバンと叩かれてしまった。


「ちょっと!なんで無視するの!?」

「え!?俺を呼んでいたのか!?俺はユシヤだぞ!?」


 そういえば出会った時もトビラムがどうとか言っていたな。

 もしかして俺はトビラムという男に似ていて、カザコシ・レイヤは俺をトビラムだと思っているのか…?

 ああ、だから初対面からあんなにフレンドリーだったのか…!


 腕に抱き着いたのも、俺をトビラムだと思っているから…。

 つまり…カザコシ・レイヤとトビラムは…恋人…。


 …そうか…。

 いや、いい…。

 失恋はもう慣れている…。


 くっ、999999のダメージを受けた気分だ…!


「へー、コスネームユシヤって言うんだ。じゃあ私のコスネームはレイヤだからレイヤって呼んでよ。あは、ちょっと名前似てるね!」


 こすねえむ…?

 …偽名みたいなものか?

 俺の名前は本名なんだが…。


 それにしても…。

 着替えるとは、ビキニアーマーにだったのか…!

 より一層目のやり場に困る…!

 俺の知っている女はみんなどこででも平気でビキニアーマーみたいな下着の上に着用する装備にだって着替えるが、レイヤもあれをおかしいと思っていたんだな…。俺だけじゃなかったのか…!


【お約束㉑ 下着のような装備品を着ることも、誰かの前でそういう装備に着替えることもおかしいとか恥ずかしいとか思わない(ユシヤ除く)】


「すみませーん、セシンさん、トビラムさん。写真いいですか?」

「いいよー!」


 またトビラムと呼ばれてしまった。

 そんなに俺はトビラムとかいう男に似ているのか…。

 レイヤも違う名前で呼ばれていたようだが、レイヤにも似ている人がいるのか?

 まあ、たしかに冒険をしていた時も似たような顔の町人にはいっぱい会ったなぁ…。

 武具屋の親父や教会の神父なんかはどの町でも同じ顔をしていたしな…。

 しかし俺に似た人には会ったことがなかったんだがな…。


【お約束㉒ 量産型モブ】


「ポーズお願いします!」

「はーい!ほら、ユシヤも!」


 ぽ、ポーズ?

 一体どうしたらいいんだ?


 よくわからないまま剣を構えると、いきなりフラッシュの魔法をかけられた。

(フラッシュ:目くらましの魔法。目くらまし状態になると攻撃をミスしやすくなる)

 まぶしい…!

 な、何故攻撃されたんだ!?

 トビラムという男はよほどみんなに恨まれているのか…!?




 ***




「うう、まぶしかった…」


 目がチカチカする…。

 幸いフラッシュ以外をかけられることがなかったが、一体今のはなんだったんだ…。


「あはは、ユシヤあんまり写真慣れしてない?」


 レイヤは動じることなく笑っている。

 きっと目くらまし無効の指輪をしているんだな。

 こうなるとわかっていれば俺も装備しておいたのに…。


 それからも沢山の人に囲まれては何故かフラッシュの魔法をかけられることを繰り返し、気が付くと夕方になっていた。


 一体なんだったんだ!

 他の冒険者の話を聞きたかったのに結局何も聞けなかったし…!

 強そうな冒険者がいれば魔王を倒すために新しいパーティも組みたかったのに…。


「くっ、結局仲間を見つけられなかった…」

「あ、コス仲間見つけたかったの?いいよ。ミンスタやってる?ツブヤイターは?」

「????」


 謎の呪文を唱えながらレイヤが距離を詰めてくる。

 よくわからないが、俺のパーティに入ってくれるということか…?


「あ、これ私の名刺だからフレンド追加しといてよ。じゃ、またね!」


 何やら小さなメモを俺に渡すと、レイヤは大きく手を振りながら去っていった。

 なんだ、このメモは…。

 レイヤの名前と何か模様…紋章…いや、魔法陣か?が、書いてある。

(※ユシヤはQRコードを知らない)


 え?これをどうしたらいいんだ?

 尋ねようにも、もうレイヤはいなかった。

 とりあえず、これは“だいじなもの”として道具袋にしまっておこう…。



番外編② 完




■おまけ情報■

その後、いつまで待ってもユシヤがフレンド申請してこなかったのでレイヤはちょっと不機嫌になったぞ!


■名前の由来■

ユシヤ(勇者)…勇者

風越麗夜かざこし れいや(コスプレイヤー)…コスプレイヤー

トビラム(村人)…村人

セシン(戦士)…戦士


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