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絶体絶命の崖っぷち悪役令嬢~断罪している場合ですか!?~  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


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4/11

悪役令嬢は助かりたい

 あ、いた!


 って、なんで!


 なぜか庭園の端には井戸があり、よりにもよってミーガンはその井戸に向け、リバースしようとしていた。


「待ちなさいよ、ミーガン! それ、飲み水として使っているかもしれないのよ!?」


 慌てて止めようとした時、バランスを崩したミーガンは井戸に落ちそうになり、それを支えたのだけど……。


 ミーガンは盛大にリバースしていて、離れた場所から怒鳴り声が聞こえた。


「おい、レイジー、君はミーガンに、何をしようとしているんだ!」


 声に振り返ると、そこにはカーチスと彼の両親がいる。

 さらに今の怒鳴り声で、庭園でイチャイチャしていた人々が、一斉にこちらを見た。私の両親を含め。


 やだ。何、この状況。

 これではまるで私が、ミーガンを井戸に突き落とそうとしたかのように、見えない!?

 違うわよ、私、そんなこと、してないからねっ!


 自分が悪役令嬢であることを考えると、こーゆうシーンでは間違いなく、悪者にされる。何せ“悪役”令嬢ですからね!


 というわけで、思わずその場から逃げ出したのですよ、私は。


 方角的に、別荘の建物がある方には行けなかった。だってそっちの方に、カーチス達がいたから。そうなると雑木林の方を、駆けて行くことになり……。


 そして断崖絶壁に辿り着く。

 これ以上はどこにも行けない!


 そして至る現在だ。


 カーチスと私の両親は取っ組み合いの喧嘩をしており、ミーガンは顔色を悪くしながら、ドレスのスカートを押さえている。カーチスはこのカオスな状況に舌打ちしつつも、今が断罪の場だとばかりに、再び私に声をかけた。


「レイジー、君が自分の罪を認めない限り、この場は収まらない。目撃者は大勢いるんだ。ミーガンを井戸に突き落とそうとした罪を認めろ!」


 まさにサスペンスドラマでありがちなセリフを、カーチスが叫ぶ。


「カーチス様、私はミーガン嬢を井戸に突き落とすなんて、断じてしていません」


「ではなぜ逃げた? やましいことがあるから逃げたのだろう?」


「違います! ただ、私とミーガン嬢は仲が悪いと思われていますよね? それであの状況を見たら、誤解される。まさにカーチス様が言うようなことをしていると、誤解されると思ったのです。それで咄嗟に逃げてしまっただけです」


 するとカーチスは顔をしかめ、私に尋ねる。


「では井戸のそばで何をしていたんだ!?」

「それは……」


 ミーガンは、この世界のヒロインなのだ。

 ヒロインとは、人前でおならをしない、ゲップをしない、舌打ちなんかしない、完全無欠であることを求められる。それにそもそも高位貴族ほど、体裁を気にするのだ。令嬢のおならを庇うための侍女まで存在するこの乙女ゲームの世界において、まさか井戸に向けリバースしていたなんて、言えるわけがないっ……!


 同じ乙女として。令嬢としても。ミーガンを庇おうと思っていた。


 待って。ここはヒロインを、自分の身を挺してまで、庇うところ?

 

 チラリとミーガンを見る。

 私と目が合った瞬間、ミーガンはフイッと視線を逸らす。


 ……。

 この世界、未遂でも殺人は重罪だ。

 重罪、すなわち死刑!


 そして今、私は名実ともに、断崖絶壁の崖っぷちだ。井戸へミーガンを突き落とそうとしたと、疑われている。それはカーチスだけではない。私の両親だってそう思っていた。あの場を目撃していたら、そう思われても仕方なかった。


 言わないと、私が助からない。


 このゲームのプレイヤーでもあった私が、ヒロイン像をぶち壊すのは申し訳ないと思う。だがしかし。背に腹は代えられない。だってミーガンが私を擁護する気配は、微塵も感じられないのだから!


「ミーガン嬢は」「こいつは井戸で、ゲロっていたんだよ」

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