↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶体絶命の崖っぷち悪役令嬢~断罪している場合ですか!?~  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/11

彼の真意(3)~とある人物視点~

 二階に向かい、大きな柱の陰にいるカーチスとミーガンを見つけ、二人の悪巧みを聞いた時は……。カーチスを殴り飛ばしたい気持ちになった。ミーガンの狡猾さにも腹が立つ。


 その一方で、このバカ者共がレイジーを排除し、婚約を目論んでいるのなら……それはそれで好都合では?と思った。


 ミーガンへのいじめを理由に断罪され、婚約破棄となれば、レイジーの名誉は地に落ちる。だがわたしが彼女を婚約者に指名し、彼女の聡明さが知れ渡れば、そんな醜聞、すぐに上書きできるだろう。そうすることができる権力を、わたしは持っている。


 ならば。


 事の成り行きを見守るまでだ。カーチスのバカはいつ、自分が大失態をしたと気が付くか。恋敵かと思ったが、そんな価値すらない男だった。レイジーにとって、今日と言う日は、辛い日になるだろうが……それは一時。最上の幸せは、わたしが与える。


 そうなると、塞ぎ込んでいた気持ちは晴れた。


 一方で、カーチスとミーガンは、少しだけ不穏な会話をしている。


「だけど本当に、こんな大勢の前で、レイジーを非難する必要があるのだろうか? あいつの両親も今日は来ている。黙っているはずがないと思うが」


「もう、カーチス様ったら! 怖気づいたのですか? ダメです。あの女はみんなの前で恥をかかないと!」


 少し口論した後、ミーガンはカーチスを置いて、階下へと降りて行く。

 なんだ、あの二人。一枚岩というわけでもないのか。

 だがあの二人がどうなろうと関係ない。

 レイジーと婚約破棄したカーチスとあのミーガンなど、どうでもいい存在なのだから。


 こうして控室に入り、海が見えるというバルコニーに出た。少しずつ日没に向け、色を変えていく空を、眺めることにしたのだ。


 そうしていると、あのミーガンが、ふらふらしながら庭園をうろつき始めて……。


 すぐに理解した。ミーガンはカーチスと口論をしていたのだ。ヤケ酒をしたな?


 だがまさか井戸でミーガンが粗相をするなんて思わなかったし、そこにレイジーが現れるとは、思ってもみなかった。しかもそれを見たカーチスが、何か勘違いしたように思えて……。


 もう、見守るだけではダメだと思った。

 わたしは……レイジーを手に入れる。

 そのために動く。


 そう決意し、声を挙げた。


 ――「こいつは井戸でゲロっていたんだよ」


 この第一声を聞いた時のレイジーの顔。

 信じられないという表情で、随分とひきつった顔をしていた。

 きっと表現を、もっと穏便なものにしてください!――そう、思っていたのだろう。

 でもわたしがズバリ言ってしまったから……。

 ミーガンのような女狐、庇う必要などない――とわたしは思ってしまうが、レイジーは優しい。


 彼女の優しさを思うと、ますます彼女が欲しくなる。改めてこの茶番を早く終わらせ、わたしの気持ちを伝えようと思い、動いたわけだが……。


 すべてはうまくいった。


 カーチスは婚約を破棄すると言い、その場にいた両家の両親も同意し、レイジーも受け入れた。


 この時のわたしは狂喜乱舞だった。頭の中では。でもそれはおくびにも出さず、冷静に、レイジーに声をかけた。


 だがまさか。


 崖から海に落ちることになるなんて。


 本当に驚いた。


 今日のレイジーはラッキーなのか、アンラッキーなのか、よく分からない。


 ただ、騎士の訓練の一環で、甲冑をつけたまま川を渡る……という練習をしていた。ゆえに海に落ちた後も、比較的冷静に行動できたと思う。


 むしろ、冷静さを失いそうになったのは……。


 洞窟を見つけ、火を起こし、お互い下着姿になった時だ。


 あんな姿のレイジーを見て、自分の心身を律することができたのは、奇跡だと思う。どれだけ大変だったか。懸命に耐えているのに、彼女はサラリとこんなことを言う。


「見ていた……それはつまり殿下は、常に私のことを気にしていてくださったのですね」


 まさにその通り。図星だ。

 あまりも的確に言い当てられ、言葉が出なかった。


 だが、思う。

 もしも言うなら、今がチャンスではないのか?

 この言葉を受け、告げる言葉であれば、流れとしては妥当だ。

 ただ、なぜ、この場所でこの姿で、とは思う。


 しかしすべてはタイミングだ。

 婚約者候補として、レイジーの身上書が届いていたのに。

 わたしはあの時、チャンスを逃し、彼女をカーチスに奪われている。


 言うなら、今しかない。


 もしこの後、救出されれば、医師の診察を受けたり、何があったのかと報告したりで、忙しい時間を過ごすことになる。鉄は熱いうちに打てという。こうしている間にカーチスが心変わりをして、やはり婚約破棄は止めたい――なんて言い出すかもしれない。


「レイジー・サンプソン公爵令嬢」


 わたしのいつにない真摯な表情と声に、レイジーの表情が変わる。

 驚きから真面目な顔になり、わたしをじっと見ていた。


「こんな場所で、しかもこのような状況で、伝えるつもりはなかった。……後日、やり直しもしたいと思うが、ある意味、あるがままの二人となった今。レイジー、君に伝えたいことがある」


 不思議と言葉をきちんとしたものにすると、このありえない姿と状況でも、凛とした自分になれた。


「君が言う通りだ。初めて出会った時から、わたしは君に恋をしていた。だが君は婚約者がいる身だ。どうにもならない。だからずっと君のことを見守って来た。だがもう、ただ見ているだけは、止めることにした。わたしは……レイジー、君のことが好きだ。愛している。わたしの婚約者となり、隣に立ち、共に未来に向け、生きて欲しい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。