終わりの後に2
皆様の作品お待ちしております。
「え?」
「え?」
「えええええええええええ⁉ どういうことですか⁉」
三人の声に、俺はこう続けた。
「そもそも食文化が地球でもかなり国によって変わるというのに、外国の食事を見て地域によって感じる『これ食べられるの?』という違和感がエンバンティアの料理では少ない事。動物の進化からして普通違う動物として認識されるべきはずなのに、幾つかの動物で全く同じ動物だと認識されている。名前の違い位しか違いが無いのも、国家単位どころか世界規模で本来違うはずなのに不自然だと思った。無理やり説明を付けようとしたら……」
「ちょっと待って水城君。そこは正直私達も同感だけれど、まだ研究途中なの。魔法の元となる何かの研究の方が優先で、植生とか文化論や社会論とかはこれからだからストップね」
「ですが、そこまで気が付いているし根拠もあると思っているのなら話しましょう。ここから先は、というよりさっきからの話ずっとですが世間に公表されていない話なのでオフレコで」
本郷先生がそう言うと、昔話を始めた。要約すると、日本はそもそも大分昔からエンバンティアと国交があったらしい。表立った国交は無かったが、少なくとも数十年程度の関係ではないらしい。
エンバンティアがこの世界に来るその前からずっと、交流があった。
だがある時、とある日本の科学者とエンバンティアの研究者が禁忌の研究をしたらしい。
それこそ。
「人口魔獣と人口ダンジョンの作成研究⁉」
「そしてそれを管理して、無限に資源を生み出す計画⁉」
「そんなの無茶にゃ! 出来る訳が!」
「ですが始めてしまったのです。その末に生まれたのが、私たちがダンジョンと呼ぶあれです」
「一応納得できる? 無限に資源が出るのも、そうなるように人間が作ったから。なのに今管理という大事なものが出来ていないのは、祖先の失敗。だからこそこうして研究所が攻略のために作られたの。日本の巻き込んでね。他人事じゃないみたいだし」
クリフ先生たちは極めて冷静を装って、そう答えた。エスティシャ先生も、いろいろ喋り始めた。
「皆も知っているよね、魔素……って呼ぶとまだ見つかっていないから不都合あるし魔法の元って呼ぶけれど、それらが自然回復するのは」
「はい。生き物の魔法の元は一定時間で回復するため、何分か休めばまた魔法は使えるようになる。また、日を跨げば本当に1日魔法をもう使えない状態からでもまた使えるようになる」
「その一般的な現象を利用したらしい、そしてこの計画の根幹は悪魔という人口の魔獣だそうだ。無限に魔法の元となる何かを自然回復する上で大量に生産出来ていると仮定したら、その一部を少しもらい受ければ悪魔の生きている限り無限に資源や魔法の元となるエネルギーを生み出せるという事らしい」
「でも、どうやって悪魔は資源を無限に使う様になるんですか」
「詳しいことは分からないけれど、物質を一定時間ごとに倍々にする魔法を、特定の資源にだけ働きかけるようにする魔法を悪魔が常に使わないといけない状況を作るとかね。魔素の回復が魔法を使う事で都合よく丁度バランスが取れている感じにしているんじゃないかな」
一橋先生が魔素が何なのかいまいち分かっていないと今更付け加えるが。本当に分かっていないのだろうな嘘くさい。
「最後の質問です」
俺は息をのむと、こう質問した。
「俺は平和のために何が出来ますか」
「! 水城」
「水城さん」
「水城、お前」
「俺は正直この力を使うのは危険が起きた時にしか使いたくない。力を使いたくない自分と、力を使わないといけないと分かっている自分の折り合いがそこです。ですから、教えてください。俺は何が出来ますか」
そう問うと、クリフ・マゴメントが立ち上がりこう言った。
「天滿水城、あなたをゴールドクラスに昇格。これより在籍期間中、あなたにエンバンティアだけでなく各地に出現したダンジョンの攻略指揮権を付与いたします。エスティシャ先生。推薦のサインを」
「当然、後で書きますよ」
「では、質問も無いのでこれで」
俺はそう言って部屋を出た。
「はあ、遂に水城はゴールドクラスか」
「凄いにゃ、水……城?」
「水城さん、どうしました」
「なあ、皆気が付いていた」
「え」
『エンバンティアだけでなく各地に出現したダンジョンの攻略』
「これってさ、もしかして日本だけじゃなくって」
「海外も含めている。さて、何時ばれるでしょうか」
「案外すぐ気がつかれそうですよね」
「怖いこと言わないでください、一橋先生」
「でも、騙すようなことになるのは申し訳ないです」
「仕方あるまい、我々の宿命だ。親戚や直径家族が関係者なのだからな」
「でも、一番重要なことは情報死守しましたね。ガリウス先生」
「さよう、人口ダンジョンと人口魔獣の作成計画が日本政府とエンバンティアの円卓会議の指示などとばれる訳にはいかないからのう」
七人の声がそう闇に消えるのだった。
大量放出最後です。皆様ありがとうございました。この後謝辞と最後の世界観説明になります。




