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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン攻略編
64/67

ダンジョン攻略 悪魔との戦闘

皆様の作品お待ちしております。

「グアッ」


 想定外だった。これが、悪魔?


「何だ、もう終わりか。残念だ」


 こんな、ところで。


「さらばだ、強き……」


 こんな、ところで……。




 話は数時間前に戻る。


「落ち着きましたか、皆さん」


 クリフ先生の判断により危険地帯で不必要な行動をとった者たちに罰則が与えられることになった一方で、何故か俺は件の土竜のドロップアイテムをもらえることになった。


「これより悪魔のいる部屋に進みます。当然ですが、私がボスと言わず悪魔だというのは『こんなにネームドモンスターが出現するダンジョンなど珍しい』からです」


 クリフ先生はそう言い切った。このダンジョンはおかしいと。


「ボスが迷宮内に出現するモンスターより弱かった事例は過去一度も報告されていません。ボス発見報告パーティーとボス討伐のパーティーが違うなどの例外は除きますが、皆さん先ほどまでの土竜などとは違う強さのボスが出現するはずです」


 そんなの、悪魔しかありえないとも付け加えて。


「今回の作戦に過剰すぎる戦力を投入で来たのは行幸です。これほど危険な場所が出現する可能性さえあることを世界に知らせるきっかけになったのですから。戦力を温存して、大失敗して都市一つが飲み込まれるなどあってはならない事態ですしね」


 その言葉を最後に、クリフ先生は扉に向き合い扉を開く。そして……。


「え?」


 扉の空いた隙間から出現した腕に突き抜かれる。そして、何かが部屋から出てくる。


『なんだ? 人間とはこんなにも脆弱だったのか?』


 クリフ先生が投げ飛ばされて、壁に飛ばされるのを見てようやく俺は理解した。

 こいつが、この猪頭の人型の何かが。


「悪魔」

『ほう、知っているのか。そうだ。我は悪魔、code1378-2401である。名前はそうだな、お前。名前を教えろ』

「え、俺」

「そうだ、お前の名前を貰い受けようと思う。光栄に思え、お前が死してなお、お前の名前は我によって……」


「総員戦闘準備! こい、陽鬼、陰鬼!」

「お久しぶりです我が主」

「……命を」

「あの敵を倒す、せっかくここまで被害を最小限にして戦力も温存して来たんだ。全力で行くぞ」


『温い』


 その瞬間だ、周囲の視線が一斉に俺に集まったのは。陽鬼と陰鬼も目の前の猪頭ではなく周囲の冒険者に武器を構える。

『お前達の話が退屈だからお前より弱い奴らは全員私の傀儡にさせてもらった。これでお前ひとりだ。さあ、私と戦おうではないか。前座で負けるかもしれないがな』


 こいつ……!。


 そこからの戦闘は混迷を極めた。

「主よ、命を取るなとの命だが、本当に良いのか」


 陽鬼がそう言いながら金棒で操られた冒険者達を吹っ飛ばす。ただし加減した力でだ。

 陰鬼も戦いにくそうにしているが、鎌で何とか殺しはしないでくれている。


「お前達には伝えていないが、あの中には俺の仲間もいるはずなんだ、だけどさっきからその姿が見えない! このまま誰が仲間か伝えられないで全員殺していいなんて指示は出来ない。悪い」

「……主」

『全く情けない物だ。自分の願望と窮状を天秤にかけるなど。そんなに貴様は弱いとは思わなかったぞ』

「あいつ! 言いたい放題嫌がって!」


 だが、事実として最低でもシルバークラスの冒険者達が操られて襲ってくるなど想定していなかった。

 今回集った冒険者の強さがこんな形で跳ね返って来るなんて。

 だからこそ、過去一番にやりにくい戦闘を強いられていた。


『それにどうした、お前には他にも従魔がいただろう、出さないのか?』

「……」

『さっきまで土竜相手に戦った奴もいつの間にかいなくなった。もしや弱いから出せないのか? 操られるかもしれないから出せないのか? 哀れだな。従魔さえ信用ならないとは』

「……気にしないで、主」


 陰鬼に内面を見透かされてか窘められる。そうだ、俺はこんな奴に負けていられ……。


 ゴン!

「グアッ」


 気が付いた時には遅かった。オルスが盾で俺を殴り。

 リタが短剣で刺し。

 ミレーが魔法で俺を攻撃していた。


 想定外だった。これが、悪魔?


「何だ、もう終わりか。残念だ」


 三人の仲間に見られながら、そして悪魔に見下されながら。俺は地面で辛酸をなめさせられていた。


 こんな、ところで。仲間に殺されて死ぬのか? せっかくできた、初めて信じられると思った仲間に殺されて? 俺は、俺は……。


「さらばだ、強き……」


 こんな、ところで……。




「お兄さんから離れろおおおおおおおお!」

「!」


 その時だ、頭上からメリスちゃんが降下して悪魔をその爪で切り裂いたのは。


「メリス素晴らしい。今の攻撃で距離を詰めても我々が操られる心配が無いと分かった。だが、戦闘において我らこそ操られぬよう、警戒するのだぞ。吸血鬼は死にやすい種族だからな」


 何処からともなくコルコットさんも現れて、悪魔に何かしている。


「何だ、魔獣にしては強いじゃないですか。ですが、これで貴様の魔法は解除出来ました」

『! 我が魔法を解除だと! ならば』

「残念ですわ。私の妖精たちにはあなたの操る魔法が効かない以上、妖精の加護を分け与えれば対策など簡単ですの」

「フランソワさん!」


「あれ? 俺達何を」

「おい! 後続部隊もう来ているんじゃないか!」

「ピクシーテイマーがいる⁉ どれだけ時間が経った!」


『何故だ! 我の魔法が何故こうも失敗する!』


「そもそもあなたは悪魔の癖に部屋を出た。その時点で、きっと悪魔と噓をつく何者かか、『悪魔の部屋にいても旨みの無い魔法の使い手』だろうと予想付いていました」

「え⁉ クリフ先生!」


 なんで生きているの。


「何で生きているの。そんな顔をしていますね。クリスタルクラス冒険者ですよ、死ぬことに対する準備位していますって」


 答えになっていないような。だが、そんな思考も無理やり親父達の言葉で引き戻される。


「そう言われた以上、俺達は様子見だ」

「ボスの能力を大幅に上昇させる代わりに攻撃が命中しやすい狭い空間、そこでは能力を十分に発揮できない魔法など何かと思えば……ただ人を操るだけとはな」

「親父、それに爺さんも」


「水城、ごめんにゃ」

「! リタ!」

「俺、操られている間に……」

「ごめんなさい、水城さん……私……」

「オルス、ミレー、皆本当に良かった!」


 そう言うと、俺は三人に抱き着く。


「突然姿は見えなくなるし、現れたと思ったら滅茶苦茶に殴るし。心配したんだぞ!」

「ゆ、許してくれるかにゃ」

「勿論!」

「俺達、まだ仲間だと思ってくれるのか」

「勿論!」

「戦って、良いんですか」

「勿論!」


「「「 っ水城! 」」」


 俺達は抱き合い感情を分かち合った。だからこそ。


「陽鬼、陰鬼、最後の仕事だ」

「はっ」

「……」

「そいつを捕まえろ。最後の仕事をしてもらうぞ」


『最後の仕事だと。おい! 貴様何を考えて……』


「何って、儂のことじゃよ」


 そう言うと現れたのは一人のお爺さんで最強の魔法使い、ガリウス・アスモダイである。


作品最後の放出3

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