ダンジョン攻略 ネームドモンスター1
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扉を開けた後、その直後からいきなり様相は酷いありさまだった。
『ウガアアアアアアアアア』
扉から自衛隊を押しのけて進軍するのはゾンビの様なモンスターに蟹型のモンスター。聞いていた通りの感じだが尋常じゃないのはその数。モンスターがモンスターを押しのけて出現するのである。
「俺様の出番だな!」
そんな時だ。ダゼルさんが口笛を吹くと、何処からともなく小さな竜が飛び出す。そして、すぐさま巨大化してモンスターを蹂躙する。
「俺様が外に出てきたモンスターは対処する! ダンジョンの中に人はたくさん送りたいだろう!」
そんな発破に、俺達は地獄のモンスターの道へと歩を進める。扉に近づけば近づくほどモンスター達の攻撃は苛烈さを増す。密度の高さがそう感じさせるだけかもしれないが、それでも精神的には滅入る。
「全員扉から離れろ!」
そしてその掛け声に従い扉から離れるや、ドラゴンの口から強力な炎魔法が道路を焼き払う。
「マジか、アスファルトが溶けた」
「ありゃあ? この道って炎で溶けるのか」
「ですが、道なら私でも作れます」
そう言うや、コルコットさんが魔法を放つと何処からともなく砂が大量に出現して道路を埋めていく。
「行こう、お兄ちゃん」
メリスちゃんに連れられて、俺達はモンスターの蹂躙されつくした扉までの道を進む。何時モンスターが先ほどの様に現れて襲ってくるか分からないのだ。
危険承知で作ってくれたこの道を進む、それをやるしかないだろう。
「全員進軍です!」
クリフさんの指示により、冒険者達が一斉に扉に入る。するとそこには、いきなり。
「地底湖?」
そう思う様な広い空間が出現した。直径五十メートルほどありそうな巨大なドーム状の空間の中央に水深は分からないが大変澄んだ水をたたえる泉が存在する。
天井からは巨大な鍾乳石もたれており、壁には滝が幾つか存在する。
「これは」
「ここで部隊を幾つかに分けます」
「え」
入った冒険者を待ち受けていたのは、そんなクリフ先生の指示だった。
「過去の経験則からして、恐らく次の扉は複数ある滝の裏側です。ですが、どれが正解か分からない。だったら虱潰ししかない。ですが、当然……」
話が終わる直前、突如泉から水しぶきをあげて十メートルはありそうな巨大なモンスターが出現する。
「は、ハンマーヘッドサーペント⁉」
前に図書館の資料室で見た事がある。アクアサーペントと呼ばれる巨大なモンスターの亜種として確認されたシルバー級モンスター。
耐久力が原種のアクアサーペントより劣っているが、金属のように硬い頭部の攻撃と水中からの奇襲攻撃を取得したことでより悪辣になったモンスター。
「違います。このモンスターの名前は『地底湖の左防人』という、『地底湖の右防人と二体一緒に必ず出てくるネームドモンスター』です。ですが、だからこそ確信しました」
その言葉と共に、クリフ先生は地底湖の水面を凍らせる。そしてそのネームドモンスターの動きを封じるや、頭上の巨大な鍾乳石に氷魔法で攻撃をして鍾乳石を落として攻撃する。
「コルコットさん、あなたがこのモンスターを倒してください。私はこのまま地底湖の中に皆さんと入ります」
「水中戦闘が出来ないですから仕方ないでしょう」
「おじい様もう水城達とお別れ?」
「仕方ない。儂達は今できる仕事をしよう」
「水城、ばいばい」
「ば、ばいばい」
そう言いながらも、メリスちゃんもシルバークラスモンスターのネームドモンスターとか言う化け物に魔法を乱発して攻撃している。
「捕まえました」
「え?」
「水中でもう一体のネームドモンスターの動きを封じました。これより氷を掘ってこの下の次の扉に向かいます。皆さん良いですね!」
「「「 俺達の仕事だ! 」」」
そう言うや、ドワーフたちが一斉に氷りつくされた地底湖の上で掘削作業を初めて道を作り始める。
「自衛隊の方々にも伝えてください。大量の梯子など下りるための道具が必要になると」
「足が速い奴が伝えに行け! エルフとかはネームドモンスター討伐を手伝え!」
「何人かだけ滝の方も確認のためのチームを作っておけ。確認だけして、いざって時は即退散だ」
「氷の下のモンスターが動き出さないとは言い切れない。誰か氷だけ無視してモンスター狙い撃ちできる奴はいないか?」
「滝の方からモンスターが湧いてきましたわ! 飛行種族の方は滝の上の様子を見てきてくださりませんこと!」
全員による報告と連絡の応酬が次々と始まる。ひとたび安全が確保されて、この安全を少しでも長時間長続きさせようとする経験からなせる技術である。
「俺達はどうする」
「滝の方のモンスター処理を担当します。私の魔法では下のモンスターを狙えないですし、何より水城さんに休憩をさせたいです。このチームの最強戦力に仕事はさせられないですが、だとすると私達だけで出来る今の仕事はそれくらいです」
「俺何もしないのか」
「水城はミレーの判断に従っているにゃ」
そう言って、俺は何もさせてもらえないまま滝の方から来るモンスター討伐を刺せられる。そして数時間後。
「開通しました。自衛隊の方には万が一のために既に退避してもらい、この選抜メンバー七十名でダンジョンの奥に向かいます」
選抜とはいえ、七十名。俺はこの数を少ないと感じた。研究所の安全が確保されたダンジョンとは入り口からけた違いの難しさを誇るダンジョンの攻略を七十名だけで。正気とは思えない。だが、最初からそんなことは分かっていた作戦だ。
「総員、準備!」
そう言うや、全員が武器を構えて扉が開くのを待つ。そしてクリフさんが扉を開けると、眩い光が一斉に照らして。
「え?」
空にいた。
「何でにゃ⁉」
「飛べないぞ俺達!」
「どうするんですか⁉」
どうやら魔法の力か何かか、とにかくあそこにいた全員で一斉に飛ばされたらしい。飛行種族もそうじゃない種族も関係ない。こんなギミックひどい物だ。
「埴輪郎!」
「何や!? スカイダイビング中に呼ぶとは粋なことするなあ」
「全員分の埴輪の分身を用意しろ! 飛行種族も関係ない!」
「全員分って、今飛んでいる全員か? かなりの気力使うで」
「構わない!」
「ええで。その覚悟決まっとるなら主の願い叶えたる」
そう言うと、飛んでいる全員の傍に人の背丈ほどありそうな巨大な埴輪が出現して全員が掴まれるようにした。
「これで着陸の安全は確保や。問題はあと変な飛んでくる奴だけやな」
「なに?」
「何や、主さん見えてへんのか? あの明るいの、太陽やなくて燃えている蝶やで」
そう耳に聞きながら、巨大な燃える蝶が襲ってくるのをようやく見るのだった。
作品最後の放出1




