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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン攻略編
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ダンジョン攻略作戦 作戦会議

皆様の作品お待ちしております。

「水城さんいつになったら愛子さんは来られるのですか」


 ホテルの会議室、そこでクリフマゴメントに詰められる俺は謝罪しきりだった。


「ごめんなさい。愛子と一緒にいる神使が風呂場に入らないように、そして誰も入れないようにとしている以上どうにもできなくて」

「仕方あるまい。これ以上待たせることは出来ん」


 祖父がそこでやむを得ないと話を切る。そして、父が話を振る。


「では、お話をお願いいたします」

「はい、ではこれより『東都府末広町に出現したダンジョンの攻略作戦』に関しての緊急会議を行いたいと思います。議長は私松岡陸佐が受け持ちます」


 その言葉に、俺は顔を引き締める。そう、ダンジョンが「末広町」に出現したのである。もっと言ってしまえば秋葉原の近くである。

 佐官が出てくるほどのその緊急会議に、俺は気を引き締める。そして心の中でトップクラスに重要な位置を占める愛子が遅刻したことを恨めしく思う。

 そう思っている間にも、テーブルに敷かれたスクリーンには立体ホログラムが展開されて、それと同時にプロジェクターの資料と連動して動いている。


「まず、概要からご説明いたします。出現場所は東京メトロ銀座線末広町駅から蔵前橋通りを東に200メートル進んだ場所に出現。現在は10メートル程度の扉が閉じておりますが、人の力でも開けられること、また民間人が開けた際に183名の死亡者が出た事件により緊急事態宣言が発令。自衛隊及びエンバンティアに対しても緊急で攻略、及びモンスターの討伐依頼等が発令されて、周辺の地域への出入りも一部制限がされております」

「ダンジョンのモンスターの傾向は」

「自衛隊には魔法を使える者と使えない者が混在しているため何とも言えないですが、どうもゾンビの様な姿のモンスターと蟹のような姿のモンスターがいたと」


 モンスターは二種類が確認。ただし表層でそれ……サラタンとかだとしたら正直剣とか使う奴の方が戦いやすいから俺向いていないんだよなあ。そんなことを思いながら聞いていた。


「水城はこのダンジョンどう攻略する」

「ええ⁉」


 糞親父ここで俺に話振る? と思うが、全員の視線が集まるためやむなく俺は私見を述べる。


「もしダンジョンのモンスターもある程度現実の生息地と似た傾向の場所のモンスターが出るのであれば、水場のモンスターが増える可能性はあります。例えば魚や甲殻類や……」

「ゾンビはどうして、とても水場と関係があるようには」

「水死体から連想されて出現しているのなら、水辺から同じく出現するのではとの予想です。スケルトンやゴースト系のモンスターが出現しないのは不思議ですが、今考えても仕方ないでしょう」


 書記係の人が記録を残すのを待ってから続きを話し出す。


「ただ、万が一潜水しなくてはいけなくなったら作戦の根幹が破綻する可能性さえあると思います。今のままでは水中戦闘経験がある人は俺とその親族くらいしかいません」

「自衛隊でも潜水中に戦うことまではしていないです。申し訳ない」

「エンバンティアの人員でも、潜水中に戦う人員までは集められませんでしたしね」


「運がないと言えばそれまでですが、先に言ってしまいますが『ファーストアタックでダンジョン攻略』という最低条件のハードルが高すぎると思います。もっと準備してからでも」


「だが、政府の方針に従わない訳にも行くまい。既に死亡者も出ているのだからな。お前は知らないかもしれんが、民意は早く安心させてほしいという思いでいっぱいだ。ダンジョンを攻略して欲しいと」


 民意が分からないとは言わないが、ひどい物だと思う。初見のダンジョン一回目で攻略してくれとか無茶も良い所だ。


「では、次にダンジョン攻略の具体的な方針について話します。まず、第一陣として水城さんやエンバンティアの冒険者の方々にダンジョンに入り、出来るだけ正確にマッピングを行っていただきます。そして、その情報をダンジョン外にいる後方待機部隊に伝達していただきます」

「伝達の方法は」

「これだよ」


 会議参加者の一人が手を挙げて聞くと、何と一橋先生が答える。


「今回の作戦のために作った『魔法式携帯電話試作機1号』だよ。既にこの作戦とは別にダンジョンに入って検証してもらった自衛隊の人たちのおかげで『ダンジョン内でも階層間を無視して連絡が取れる』のを確認済み」

「素晴らしいのは、携帯電話の写真という機能を使えることです。これで、マッパーの情報をすぐさま地上に持ち帰ることが出来る」

「いやいや、基地局が無いと使えない地球で一般的な携帯電話と違って距離や壁の素材によらず連絡出来るのは素晴らしいと思うよ」


 要するに、魔法通信と電波通信の良いとこどりって事だ。相変わらず訳分からないな事をして。


「とにかく、こちらの通信機器を使い地図情報を把握した後は第二陣の我々陸上自衛隊が安全通路を確保いたします。これには、エンバンティア・日本共同学術研究所で作られた合金を使用したシャッターを使い脇道を徹底的に封じて外部からのモンスターの流入や道順を間違える様なミスを犯さないようにいたします。そして、その後に無傷の第三陣をダンジョンに送りボス部屋まで誘導して戦う。こうなっております」

「第一陣はボス部屋を見つけ次第、扉前で三十分待機。それでも第三陣と合流できなければ先にダンジョン内部の悪魔と戦う。それでいいですね」


 クリフ先生の言葉に、だれも異論をはさまなかった。


「では、先に我々は東都に向かいたいと思います。装備がガリウス先生によってちゃんと運ばれたかも気になりますので」

「え? このホテルで寝るんじゃないんですか」

「別に向こうで野宿でもすれば」

「良いから今夜は寝てください。休憩してくださらないと安心できないですから」


 そんな感じで、俺達の夜は過ぎるのだった。


書きだめ放出3

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