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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン攻略編
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女の子たちの会話

皆様の作品お待ちしております。

 遊園地を水城と愛子が楽しみ、リタやオルスやミレー達と合流して夕方になった頃、近くのホテルに移動して夕食を楽しんでいた。食事はバイキングだった。


「美味しい!」

「お前取りすぎだろう。食べられる分だけまず取れよ」


 愛子が嬉しそうに食べるところで水城は窘めるのを三人は見ていた。


「何か信じられないにゃ」

「どうしたリタ? ビースティアの癖に食事食べないなんて」

「何度見てもあの二人がお似合いで複雑にゃ。私はまだ会って一年も経っていにゃいから」

「それは私も同じですよ」

「そうだよな。俺達まだ一年経っていないんだよな」


 三人にとってこの一年にも満たない期間はとても濃い物だった。普通の生徒なら、数年かけて到達するシルバークラスにもう既に到達して、こうしてミッションに参加しているのだ。当然、授業も普通にハードな物なのは言うまでも無かった。だが、三人とも頑張れる理由があった。追いつきたい人がいたから、それは……。


「ねえ、リタちゃんミレーちゃん」

「にゃ」

「愛子さん」

「この後お風呂に行くんだけど、三人だけで話さないかな。今日この施設自体が私たちの貸し切りだから、従者にも入ってこないように言えば簡単だからさ」

「お前何言っているんだ」


 愛子さんがそう話す所で、水城が呆れたように入って来る。


「良いでしょ。これが私の最後の自由になるかもしれないんだしさ」

「はあ、俺には止められないか。後でこっちはこっちで作戦会議もあるから、時間だけは何とかしてくれよ」

「はーい」

「悪いな、リタもミレーもこいつの我儘に付き合わせて」

「いえ別に」

「大丈夫にゃ」


 この時、二人はそれよりも気になる言葉が出たのを聞き逃していなかった。


『最後の自由』


 その真意は何なのか。そう思いながら、二人は食事を終えた後にホテルの浴場に向かうのだった。そこは所謂露天風呂もある大きな浴場で、近くの温泉を引いているのが売りらしい。


「気持ちいね、二人とも」

「そうですね」

「にゃ」


 最初からずっとフランクな感じの愛子と名乗る水城の許嫁に驚きながらお湯に浸かっていると、愛子が水城の話を聞いてきた。


「二人に聞きたいんだけどさ、水城ってエンバンティアではどんな感じなの」

「え」

「どんな感じって」

「エンバンティアのあの研究所って、魔法について教えてくれるんでしょ。何時までも水城は魔法について教えてくれないからさ」

「水城さんは魔法使わないですよね」

「そうなの?」

「本人は魔法が使えないって言っていた気がするにゃ。だから陰陽術を使うのかと思えば、昇格試験とかダンジョンとか、重要な場面でしか使わないにゃ」


「へー、意外。てっきりもう二度と使わないのだと思っていた」


「え?」

「にゃ?」


 二人が首を傾けると愛子さんは当然だと教えてくれる。


「だって、あの人は今頃だけれど人を殺して手に入れた術を嫌ったんだよ。そして、一生を人を殺して手に入れた術を使う事に費やすのを嫌って私との結婚もドタキャンしたのに。だから、心変わりすることなんかないと思っていたら土骸さん達から聞いていた話と同じ話するからじゃあ嘘じゃなかったんだって」

「そ、そうなのにゃ」


「ところで、二人は水城の何処が好きなの」


「にゃ⁉」

「え!」

「あはは、びっくりしている。かわいー」


 愛子の突然の話に二人が驚くのを愛子は嬉しそうにからかう。


「因みに私は、なんやかんや言っても世話を焼いてくれるところと頼りになるところが好きかなー」

「私もそれは分かります。頼ってくれる分、私たちのことも頼りにしてくれるから安心して背中を預けられるんですよね」

「あ、分かる! ミレーさんはそこが好きなんだね」


 愛子が嬉しそうにミレーと話していた。


「リタさんは」

「わ、私。私は……一度騙したのにごはん奢ってくれようとした時に好きになったにゃ」

「わー、チョロイン」

「何でそんなにご飯奢ってくれる人を簡単に好きになっちゃうんですかビースティアは」

「五月蠅いにゃ! ご飯は大事なんにゃ! 後、強い所も好きにゃ、安心感が違うにゃ」


 ご飯はともかく、うんうんと強さの所を頷く。

「どんな時でも守ってくれる感じが良いよね」

「どんなモンスターにも負けなさそうなのが良いですね」

「え?」

「え?」

「……愛子なに言っているにゃ?」

「モンスターからじゃないんですね」

「あれー? 同じ理由なのに私が少数派?」


 愛子は困惑した。


「まあ、いいや。二人になら話してもよさそうだし」

「なににゃ」


「二人もさ、水城と結婚したくない?」


「え、それは」

「どういう事にゃ」

「日本は今、西洋の文化が主流で妾とかの制度を止めるように言われているの知っている?」

「それは、知っているにゃ」


「良かったらさ、日本の法律変えて妾の制度を復活させられないかなって」


「な、何言っているんですか」

「だって、私ずっと考えていたんだ。水城は私好きだけれど、一人で水城を支えるのも喧嘩した時に水城に一人で戦うのも限界があるんだもん。結婚式ぶっちされたみたいに実力行使されると困るからさ」

「だからって、法律ごと変えようとかって規模感おかしくないですか」


 ミレーがそう言うと、リタもうんうんと頷くが愛子はにやりとしてこう伝える。


「じゃあ、私が結婚して良いの?」

「そ、それは」

「ず、ずるいにゃ」

「ずるいよーだ。だって、私も水城と一緒にいた時間なんて二人より短いもん」

「え?」

「でもずっといたんじゃ」

「結婚式の時にとかお見合いの時だけ会ったようなもんだもん。短いに決まっているよ」

「でも良く知っていたような」

「好きな人だもん。よく見るよ。きゃ」


 リタとミレーは顔を見合わせる。なんか意外な物を知ったようだと。


「まあ、大して婚約者と出会っていないのに好きになった女だし我儘だけど、同じ人を好きになって私の思惑通りなら三人で付き合えるかもだし、これからもよろしくお願いします」

「よ、よろしくにゃ」

「お願いいたします」


 こうして、三人はその後もお風呂で仲良く話を続けるのだった。



書きだめ放出2

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