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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
定期試験編
53/67

試験結果

皆様の作品お待ちしております。

「駄目ですよ。向かっては」

「だからって、あれじゃリンチ」

「だから何ですか。戦場でリンチだからと不満を述べるのですか。命さえ自己責任のダンジョンで、そんな言い訳が通用すると」

「だからって、炎仁も何か。炎仁?」


「……」


 そう思った時だ。炎仁は何時になく険しい顔をしてリタとミレーを見ていた。

 

「どうして気が付いた。あいつは、気づかれないことが」

「それこそ魔法と陰陽術の違いです。どれだけ隠蔽しようが、魔法では知覚出来てしまうのですよ」

「あの、何の話を」


「何って、十三体目の従魔の話ですよ」


「え?」

 俺はその時、何を言っているのか分からず戸惑った。だって、兄貴の式神は。

「干支にちなんでいる。だから、十二体しかいないと?」

「……」

そう思っていた。だって、名は体を表すという様にただ単に存在するより、何か繋がりのある物どうして集めた方が普通はより強固になるから。

俺の七体も、五体の五行思想と二体の陰陽という組み合わせで分けてそれぞれで互いに強固な繋がりを与えている。

なのに。

「どうして、一体増やしたんだ」

「……それは悪い癖だぞ。水城」

「は?」

「確かに十二体倒されたから関係ないが、過半数と言ったのだって要は『全て倒せだとお前が十三体目を倒さないから不合格になる可能性が高い』のを見越されていたってのに」

「じゃあ、あの二人は『俺でも気が付かなかった式神に気が付いた』って事?」

「でも、どうして先生は気が付いたんですか」


「そもそもどうして気が付けないんですか? あの程度の隠蔽で隠れた気になっているなんて」

 

 俺は素直にその発言に困惑して、兄貴も苦笑していた。




「うらああああ!」


 俺は、止めに入る鶏や犬を蹴散らして二人のために道を作っていた。


「あの猫を攻撃すればいいんだろう!」

「そうです!」

「よりにもよって猫なんてやりにくいにゃ!」


 だが、明らかに今まで表に出てこなかったし、今も必死に逃げるしかしない、その上他の敵も守ろうと躍起になる敵。


「弱いって言っているようなものだよなあ! 挑発!」


 そう言って、俺は挑発してあらゆる敵の視線を釘付けにする。当然。


「おら! これでお前だって気になるだろう! 俺のことが、うお!」

「ありがとうにゃ! オルス!」

「後は任せてください!」


 逃げたい! だけれどようやく来た敵が逃げない瞬間。ならば私は。


「ムーンバスター!」


 ミレー最大の一撃が繰り出される。焼かれる敵は苦しそうにゃ。でも当然これでは倒せない。だから私が。


「ヴォーパルスラッシュ!」


 それにより、戦いは決した。式神の猫は形を保てなくなり消えて、そのままその場には何も残らない。普通モンスターを倒した時ならドロップアイテムが出るから何かあるのかと思っていたらそうじゃないのに一瞬警戒するが。


「オルス・クロップ、ミレー・カティアンナ、リタ・ミヒュー。三名は現時点をもって合格とします。直ぐにこちらに来てください。後一分で戻らない場合試験妨害とみなします」

「式神共も攻撃しないでくれよ。ほい」


 そう言って、炎仁さんの腕から紙が一枚出されると先ほどの猫が出現してまたどこかに行くのを見たら。私たちの戦いは終わったのだと理解した。


「戻ろう。早く」


 そうオルスに促されて、私たちは勝利の余韻もままならないままにその場を後にするのだった。


 試験合格者13名。内シルバークラス未満での合格者3名のみ。

 クリフ・マゴメントの厳しい倍率の試験の象徴として語り継がれることになる試験の結果である。


もうすぐこの章が終われば最終章に入れる。

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