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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
定期試験編
50/67

試験官と合格者と卒業生の会話

皆様の作品お待ちしております。

「さて、あなたならこの試験どう見ますか」


 クリフ先生にそう言われる。


「どうって」

「まず、これは私の個人的な見解ですが陰陽術と魔法がかなり似ているようでその実違うように思います」

「……」


 俺は黙って話を聞いた。そこは、俺が確かに違うと感じているところだ。そして、同様に似ていると感じているところだ。


「まずは、どちらも使用者が使うと思った時点から効果が発現しています」

「はい」


 同感だった。


「本郷先生に言われるまで私も考えた事も無いでしたし、気が付きもしませんでしたが、一度も魔法が冷たいと術者の私が感じたことはありませんでした。氷魔法を一番得意とする私がです。しかし、自然に雪山で発生した氷などは冷たいと感じます。この違いは何か、説明できますか」

「いいえ」

「それについてなんだけれど、お前一橋先生に陰陽術についての質問答えちまったみたいだな」


 炎仁がそう言って苦笑しつつ俺を『咎めて』来た。


「何かいけないのか」

「いけないに決まっているだろ。だって魔法が使えない奴が陰陽術の存在知ったらどうする。今魔法を科学で研究しようとしている政府が陰陽術を科学で解析できないかとか考えたらどうする。耐えられると本気で思っているのか、うちの家のやり方に被験者たちが」

「それは無理だろうけれど」

「だろう? クリフ先生もだから慎重なんだよお前には」

「え?」

「……」


 その予想外の言葉に、俺は驚愕した。


「クリフ先生はお前をクラスアップさせるためのサイン書いたんだろう? どうしてか分かるか」

「さあ」

「クリフ先生見えるらしいんだよ」

「見える?」


「死にまつわるあれこれが。例えば何人殺したとか、何人周りで死んだとか」


「! それって」

「ああ、うちの家の本妻も妾も関係なく子供たちに課せられる陰陽術の知識を蓄える際に、現実とのギャップで耐えられなくなった奴らの無念や自殺した残留思念とかそう言ったものも色濃く見られていたらしいぜ」


 それは確かに見られたら俺は変な奴に見えるだろうなと思った、何せ恵まれすぎた体質は生き残るために頑張る他の兄弟姉妹を置いてきぼりにして恨みつらみを買い、そして返り討ちにしてきた。そんな人生だから、俺の周りは兄弟たちの悪霊が常に付き纏っていた。


「あなたと炎仁君は不自然でした。日本では基本殺人犯や死刑囚の処刑執行官、後は特殊な死体清掃員などの仕事の周りでしか見えない不穏な残留思念や悪霊ともいえるそれらを沢山見た。そして二人は今も、周りに何人もいるのに平然としている」


 何が、とは言わなかった。だからこそ、それは本物なのだろうと俺は予測した。だって、俺の周りにいる兄弟たちは、とっくに人間どころか悪霊ですらなく怪物の様になってしまったから。


「話は戻りますが、魔法と自然界の氷の違い。これを、私は意思の違いだと本郷先生から仮説として言われて、私は納得しました」

「意思の違い?」

「自然界の氷は『意思がなく満遍なく全ての熱を奪い冷たいと感じさせる』けれど、魔法の氷は『攻撃したい相手だけにダメージを与える』という事。使用者の意思の影響を受けている『自然現象』だと考えているらしいぞ、魔法は」

「それ、さらりと現代科学を否定しかねない超理論じゃないかな」

「かもな、だけど現に魔法が実在する以上目を背けられないらしいぞ」


 笑っているがようやく俺もどうして先ほど一橋先生に話したことを咎められたのか理由が分かった。何せ陰陽術も。


「陰陽術だって俺達術者の意思を使うよな」

「ああ、式神の使役も、占いも、そもそも生者に流れる気や死者や悪霊の霊力を元に術を使う以上霊魂やそいつらの意思が関わっていないはずがない」

「……もしかして、魔法を解き明かすために陰陽術からアプローチされかねない?」

「正解」


 やっちまったと後悔した。一応俺も陰陽術が先代から代々引き継がれた秘術である理解はある(何度も人前で使っているが)。だからこそ、流出には細心の注意を払っている(何度も使っているが)。まさか、魔法を解くカギとして陰陽術を解き明かそうとする人がいるかもしれないなんて考えた事も無かった。


「しかし、陰陽術と魔法は違いがある。そう一橋先生は言っていました」

「はあ」

「例えば、先ほど炎仁君の従魔をあっさり倒したように、陰陽術と陰陽術は互いに純粋な力比べがしやすいです。詳しい理由は省きますが魔法と魔法も同じです。そう思ってください」


 魔法は凄い基本属性が分かれているから、そのくせ攻撃系、回復系、支援系、妨害系などではどの魔法の属性の傾向が強いかと言ったものが無いから俺は正直そんなに簡単に測れるのか疑問だったがまあいい。


「しかし、魔法と陰陽術ではどうか。あなたはトパーズクラスの『誘いの牧羊神父』をシルバークラスで討伐しました。しかも単独で。ですが、魔法の力量からしたら陰陽術の従魔と魔法を使うモンスターでそれほどの力量差があるのか」


 同じ人間が、討伐時期が違うと言ってもトパーズクラスのモンスター一匹にてこずるが、ゴールドクラスの術者の従魔には苦戦しない。これは確かに話がかみ合わない。


「それについて意見を窺った所、一橋先生は検証をしたいとのことでこの試験を提案されました。そして、概ね一橋先生の予想通りの結果になっております」


 そう、あの教師は目の前の光景を見て締めくくった。

今日は少したくさん書こうかな。早く終えたいし。

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