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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
エンバンティア編
47/67

エンバンティアの夜。

皆様の作品お待ちしております。

「食い合わせが不思議だな」


 俺は食事をしながらそう素直な感想を漏らした。


「済まない。我々ヴァンパイアは長寿すぎて満足するに足りうる娯楽が少ないから、目新しい物は直ぐ試してみたくなるんだ」

「美味しいです」

「凄いだろ、カティアあの見た目で料理上手なんだよ」

「おかわりが必要ならもっと言って欲しいのです」


 そう言いながら食事が進む中、俺は一挙手一投足に目配せするとおじいさんが一人とある食器だけ使わない事に気が付いた。


「ああ、君は気が付いたみたいだね」

「え?」

「メリス、見ておきなさい。銀製のナイフを触ると私たちがどうなるのか」


 銀⁉ そう思うのもつかの間、お爺さんはナイフに触れるとすぐさま体が痙攣し始めて、床に倒れる。肌は既に真っ赤に腫れ始めている。


「おじいちゃん⁉ おじいちゃん!」


 え、何でこの人自分で銀のナイフ触れたの⁉ どうするのこれ……。


「なあ、これお前使えないか! ヴァンパイア用にいざって時はこれ使えって言われていたものだ!」


 そう言ってミトレさんはエピペンを渡してくる。


「ああはい! 使えって事ね!」


 俺は迷わずエピペンをコッルコットさんに刺すと、コルコットさんの体が徐々に腫れが引いて動き出す。


「ふむ、やはりヴァンパイア用に改良すると言っていたが素晴らしい物だね、エピペンと言った医療器具は。よもや鬼嫁の巫女にも解けない呪いだとさえ思っていたこれを解決してしまうとは」


 そこには、数秒前まで死にかけだったおじいさんの姿はなかった。


「え、何で、どうしてもう動けるんですか」

「ヴァンパイアの回復力と体力は本来全種族の中でトップクラスなのです。ですが、種族として魔法にさえ敵わない弱点が多すぎて、早死にが多いだけなのです」

「幾何学模様、流水、銀や太陽の光などは種族全体で見ても目立つが、他にもお肉や野菜、果てには自分の汗でさえ呪われたように苦しむ原因となる者はいた。だが、回復する方向にさえ持っていければ後は私たちはどうとでもなる」

「どうとでもなるって」


 常識の埒外にも程がある。


「それはそうと、エリス。怖い物を見せてしまったね」

「おじい様。もうあんなことしないで」

「ああ、済まないね」


 少女はお爺さんの服を掴むと約束をさせた。そしてその後、ゆっくり俺の方に近づくと口を開いて……。


「何しようとしているにゃ!」

「む! なんで邪魔するんですか」

「あんたが水城を噛んだらダンピールになっちゃうにゃ!」

「それの何がいけないんです!」

「いけないに決まっているにゃ!」


 そう言ってリタと少女が喧嘩をし始める。俺は困惑していると。


「あの、水城さんはヒューマンですから、別にダンピールにしなくてもヴァンパイアと子供を作れるのでは」

「子供⁉ ミレー何の話を」

「ヴァンパイアが異性を噛もうとするなんて、それ告白と同義だろ。それも目の前であの子にとって大事な相手の命を救った相手なら」


 なんかよく分からない価値観の話をされた。


「おやおや、元気そうですわね。おじさま」

「よ、また会ったな」

「フランソワさん、ダゼルさん」

「お二方とも、勝手に家に入らないでもらってよろしいでしょうか。妖精には鍵など意味無いかもしれませんが勝手に開けられたh困ります」

「良いじゃねえか。それよりほら、ウォッカっていう強い地球の酒らしいぞ」

「! お酒!」


「え、メリスちゃんが喜ぶの」


「私〇〇〇歳だよ。お酒飲める年齢でしょ」

「何か今凄い話を聞いた気がする」


 そんなに年上だったのか。


「カティア、せっかくだから料理をまた作ってあげなさい。客人が増えたからな」

「はい、マイマスター」

「ところで水城さん」

「はい」


 フランソワさんに呼ばれると、俺は一通の書状を渡される。


「これは私からの魔法科学図書館への返信です。早ければ1ヶ月後にあなたがたが帰られるはずですから、その時にクリフさんにお渡しください」

「はい」

「また会いましょう、次はお仕事になるでしょうが」

「はあ」

「それより酒やゲームだ。メリス遊ぼうぜ」

「うん、遊ぼう」


 そう言ってエンバンティアでの時間は過ぎて、そして1ヶ月はあっという間に過ぎていくのだった。


 帰った後。

「これがフランソワさんからの返信ですって」

「はい」


 そう言って、クリフさんはその書状を確認する。


「なるほど、確かに彼女の字だ。そして、あなたの実力がお眼鏡にかなったようですね」

「え」

「少しあなたに話があります。それも極秘の話が」


 そう言われて、俺はとある話を告げられる。一つは。


「試験に、俺の義兄が来るんですか」

「ええ、彼はこの研究所をゴールドクラスで卒業した優秀な生徒です。当然、あなたの先輩なのであなたの実力を測るにはうってつけです」


 そして二つ目は。


「行かなきゃいけないんですか。試験が終わったら」

「これはミッションになると思われます。しかし、報酬はランクアップと僅かな金銭程度でしょう。ですが、あなたやあなたのお兄さん位しか呼べる人がいないのです。日本からは」


 嫌な、しかし俺の家系の都合上避けられないミッションの話だった。

本来書こうと思っていた話を全部削って、その代わり次の章を書くためにもう切り上げました。だれそうだったし。でもおかげで薄味になりすぎたのは申し訳ないです。

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