混血吸血鬼族
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「ええ……」
ダゼルさんのお気楽な返事に、俺は逆に大丈夫なのか困惑したが本人は至って真面目に考え始めている。
「馬車かエアタクシーとかいう奴使うなら、それらの中継地点は同じでいいけれど、ドラゴンの速度は明らかに速いけれど数がない。定期便はドラゴンには難しいと思うか?」
「えっと」
「ちょっとあなた、何を勝手に話を進めているのですか」
「良いだろ、どうせエアタクシー使うならドラゴン共に許可取る必要あるんだから」
「その為にあなたにまた借りを作るのが癪なのに」
「飛ぶ高さ制限すれば平気だって。それより早くドラゴン共に運ばせるコンテナ作ろうぜ」
そんな風に、冷蔵庫を持ってきた女性さえ置いて行って冷凍輸送技術確立のための話し合いがフランソワさんとダゼルさんによってもたらされた。
「凄いですね、あの二人俺達が帰るって言ってもまだ話していましたよ」
「そりゃあ、自分達の特別さを理解した上で如何にエンバンティアに貢献するか考えている奴らだ。地球というドラゴンもピクシーもいない場所に来たから今まで役に立てなかった分、役に立ちたいって事だろう」
ミトレさんに案内されて、俺たちは今日の次の目的地に向かっていた。場所はアルゲバテイン王宮から少し北に移動した路地裏だ。そこで一つの扉の前で止まる。
「さて、ここだ。まだ家主は寝ているかもしれないけど、あいつは研究好きだから起きているだろう」
「起きているだろうって、今まだ昼ですよ」
そう聞くと、彼女は
「ふふ、夜行性の種族見るのは初めてか?」
夜行性? そう疑問に思う間もなく、ミトレさんは
「おーい、カティア! 約束通り来たぞ、カティア? 起きていないのか? カティア! カティア!」
「煩いのです。静かにするのです。今日はマスターも珍しく昼まで起きているから分かっているのです」
そう言って、ボサボサ髪の背の低い女性が現れる。如何にも眠そうな顔をして、丸い耳をピクピクさせている。
「ミトレ以外の人は初めましてなのです。私はカティア・デルトバード。元ラッテリアのダンピールなのです」
「ダンピール!」
「吸血鬼ってことにゃ?」
「ダンピールなんて初めてお会いしました」
「名前は後でマスターに名乗る時に聞くのです。とりあえずマスターがリビングで首を長くしてお待ちなのです」
カティアさんは青白い炎を出して家の中に招き入れるのだった。
ラッテリア……鼠獣人族という、暗所を好む種族。とりわけカティアはダンピールになったことで基本的な生活サイクルが夜行性になったために、今回の話のように昼に起きているは実は珍しい。
汚い環境でも普通に生活できる上に、割と胃腸が強く多少腐った程度の食べ物なら普通に食べられる特性を持つ。




