フランソワさんへの発表
皆様の作品お待ちしております。
「さて、私は言っての通りドロップアイテム、モンスターが死ぬ際に落とすアイテムについて調べている研究者だ。モンスターとして存在する生き物、と言っていいかもわからない存在と魔物の違いやそれらですらない普通の生き物との相違点や類似点を調べている」
通された客間で飲み物を出されて、俺達だけ飲み物を飲んでいた。ミトレに俺に……。
「本当に素晴らしい研究者ですわ」
一緒に談笑する笑顔のフランソワ、そして。
「……」
「……」
「……」
場違いな場所に来てしまったと言わんばかりのオルス、ミレー、リタの三人。何故こうなったのか。なにせ。
「ううう」
「……」
「はあ」
今にも攻撃しそうな雪丸と、それを少しも気にした様子も無くフランソワの後ろに控えるレイネスと言った女性に、その二人を監視するように立つ錆金。
とてもじゃないがお茶を飲む空間じゃない。
「それで、実は御所望の品とは関係ないが、報告だけ出来るかもしれないために見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
そう言って、ミトレさんは村で手に入れたアイテムを並べる。
「おや、これは見かけない素材……ですね。ドロップアイテムでよろしいのですよね?」
「ああ、名前は女帝の拘束具。ネームドモンスター炎の女帝の新しいドロップアイテムだ」
「! 新しい、ですか」
「ああ、私の知る限りこのドロップアイテムを見つけた人を私は知らない」
「なるほど、素材としての利用価値は」
「軽装防具に使えるかも、としか。姉妹モンスターもいますから全てのモンスターと比較してみないと何とも」
「こちらはどうやって入手を」
「それがですね。素材回収用水溶液が遂に完成したかもしれないんです」
「! 本当ですか!」
ミトレさんとフランソワさんはそれはもうはしゃいで喜んでいる。
「これでもしかしたら入手の難しい妖精の望むドロップアイテムも!」
「まだ今日私に届けられたばかりだから、完成かは断定できないが。それでも大幅に楽になるはずだ、普通に戦闘するよりはな」
「やりました! 妖精さん達も今はしゃいでいますよ」
フランソワは空中を見ながら何かと話をしている。なので俺は聞いてみることにした。
「あの、フランソワさんは何を」
「ああ、ピクシーと話をしているんだ」
「ピクシー?」
「あんたら日本人には妖精って言えば伝わる? とりあえず彼女はピクシーマスターって言う、超貴重な魔法使い兼従魔使い職業のクリスタルクラス冒険者なんだ。当然扱えるのもそう言った存在で、今話していたのもそういった存在」
「それすごくないですか」
そう素直に感心すると、彼女は嬉しそうにしていた。
「照れますわね、そう言われると」
「まあ、ハーフの一つであるハーフピクシーの私がいるから存在しているのは間違いないが、一部の選ばれた奴にしか感知できない種族であるピクシーと話せるし、今やクリスタル冒険者として君臨するほどの奴だから凄いと思うな」
「感知できない」
「そこは今は説明しようとするとややこしくなるから後でな。それに、まずはこの人にも手紙を渡さないとな」
「あら、私にもお手紙が?」
俺は慌てて袋を確認すると、中に確かにフランソワさんあての手紙が確認できた。なので俺はそれを渡す。そして彼女は女中から刃物を受け取り封を切ると、中身を確認する。
「あらあら、まあまあ。魔法式の温室。完成したのですね。それにもう庭で準備に取り掛かって頂いていると!」
「ありゃ、客間に通されなくっても気にしていないなとは思っていたが、まさかもう工事していたのか」
「工事?」
そう言って、庭に向かうとそこでは驚きの光景がい広がっていた。
「ビニールハウスが作られているにゃ」
「あれって野菜とか育てるのに使うって、日本の授業で学んだ奴だよな」
「どうしてそんなものを作っているのですか」
「私が説明しましょう」
そう言って、一人の男性が話始める。
「温室ですが、炎の魔石に水の魔石などを組み合わせて水蒸気を発生させることで実現しました。これなら電気の通っていないエンバンティアでも大掛かりな工事をしなくても実現できそうな範疇です」
「なるほど、広さと魔石の量は」
「今作っているサイズで、大体毎月各五キロ程度必要かと」
「うーん、因みにこれがもしもっと広くなればもっと必要なのでしょうか」
「も、もっと広くですか」
「希望としては、あそこの一画程度の広さがあると嬉しいのですが、そうなるとちょっと量が現実的ではなくて……」
そう言って示したのは、小学校の体育館位はありそうな巨大な倉庫である。
「……も、持ち帰らせていただいてもよろしいでしょうか」
どうも男性の成果発表は失敗に終わったようだ。




