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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
昇格試験編
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ダンジョンの逃亡者1

最近に二次創作を作ってくださった方のブログ更新がひそかな楽しみになっております。

皆様の作品もお待ちしております。

「全員チームメンバーは決まったな? それじゃあ詳しい内容の説明を始めるぞ」


 そう言って、エスティシャさんは話を始める。


「まず、手元にある球。これを使って、人を探すんだ。周囲に沢山人がいるのが分かると思うが、それとは別の色で私が光っているのが見えないか?」


 球をいじると、中央の傍にある大量の青い光の中に一つだけ赤い光が見えた。その方向を見てみると、エスティシャさんがいるのが分かる。つまりエスティシャさんを見つけるためだけの探査機という訳だ。


「私はこれからダンジョンの中に入る。そして指定時間後になったらあんたらもダンジョンの立ち入りを許可する。その状況で、いかに私を早く見つけて捕まえるか。そう言う試験だ」


 そう言って、エスティシャさんはダンジョンの扉を開ける。


「最後に一つだけ伝える。私はダンジョンの中では絶対に捕まえられない。これだけ覚えておけ」




 そう言い残して、エスティシャさんを追いかけて生徒は全員ダンジョンの中に入って行った。とはいっても10チーム以上のチームがダンジョンに一斉に入ったのだ。

 しかもそれらのチームは全員が敵関係。

 険悪な雰囲気が早速している。


「もう少し何処かに離れるか」

「エスティシャ先生が奥深くに行っている証拠はあるのかにゃ」

「ないよなあ。何か少しでも変化が無いと」


 俺、リタ、オルスが手がかりも無くて困っている中でミレーは球を見ながら何か考えている。


「どうした、ミレー」

「いえ、これって距離感はどの程度測れるのかなって」

「え」

「これ見た感じ、ダンジョンの壁は分からないけれど、明らかに私達より離れた場所にいるチームでも観測できるみたいなんですよ。ほら、このチームなんか私達よりもっと深い階層にもう向かっています」


 そう言って、球を起用に操作して『壁越しのチームさえ』見つけて情報を伝える。


「少なく見積もっても大体400メートル程度までなら遠くのチームでも場所を知ることが出来るのは分かったので、後は限界を調べればと思いまして」

「ミレー、冷静にそんな事出来るようになったんだな」

「え?」


 俺は素直にそう褒めた。すると彼女は少し驚いたような声をする。


「いや、会った頃はおどおどしているようなイメージがあったから、頼もしくなったなって」

「え、そ、そうですか」


 そう言うと、ミレーは少し頬を染めながら目をきょろきょろさせている。


「水城って案外やるよな」


 オルスがそんな風に言っているが、その横でリタが「うー」と唸っている。何か警戒しているような声音で。


「うー、いいから何かするならするにゃ!」

「は、はい」


 そう言って、ミレーがリタに急かされる形で球をいじる。すると……。


「あれ!」

「どうした」

「見つけました! 赤い光!」

「!」


 探していたものを見つけるのだった。よって俺達は急いでその場所に地図を頼りに向かうのだった。ダンジョンを移動する為に松明はオルスが持っていて、俺は地図を片手に必死に道案内をする。それに合わせてミレーが最短ルートを決めてその道に進むのだった。


「この先に分岐路あるぞ」

「俺も見えた。ミレー、どうする」

「中央を、そのまままっすぐです」

「リタ! モンスター発見! 悪いがもう攻撃していい!」

「了解にゃ!」


 そうして、最短ルート上にいるモンスターを一番足の速いリタに屠ってもらう事で時間ロスを最低限にしながら最速で向かう。


「もうすぐ会敵します!」


 え? 会敵する? この近くに人の気配は皆しかないのに?

 しかし洞窟の陰から、確かにエスティシャ先生の姿が現れたことで思考をそちらにシフト。捕まえるように動きかける。


「俺が呪符で攻撃する。その隙にオルスとリタで詰めてくれ」

「おう」

「やってやるにゃ」


 そう言って俺が呪符を飛ばして動きを封じようとする。正直数か月前の死にかけたあの日から、下手に呪符を使う事、陰陽術を使う事を縛ると碌な目に遭わないことは経験してしまったために複雑な心境だが使うようにした。

 しかし、あっさりと交わされた上に路地の先に逃げられてしまう。

 そこに向けて最速でリタが、続いてオルスが続いていく。


「にゃああ⁉」


 だが、そこでリタの変な声が聞こえて俺は不思議に思いながらも追いかける。そして問いかけようとしたところで、彼女が変な声をあげた理由に何となくだが察しがついてしまった。いや、気が付かない方が無理だ。


「リタ、ここって行き止まりなのか」

「そうみたいにゃ」

「でも、俺だって来た時にはもういなかった。信じてくれ」


 そう、いないのだ。さっきまで捕まえようとしたエスティシャ・ベロルの姿が何処にも。


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