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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
魔素編
30/67

マッドサイエンティストたちの実験1

皆様の作品お待ちしております。

 そもそも、一橋千尋ははっきり言って異常な存在であることは彼女の年齢が物語っている。

 今年で32歳である女性。若すぎるのである。それこそ、魔法の研究という国家プロジェクトに関わるにしてはダントツで若い研究者の一人であるはずだ。


 それなのに、彼女は最高責任者の一人として研究に関わっている。それどころか、エンバンティア・日本共同学術研究所の最高責任者の一人である。

 そんな彼女が呼ばれた理由はただ一つ。

 日本で構築されている最先端の高速通信網の構築に飛び入りながら関わったことであることを発端にした、あらゆる分野の研究や計画を数年単位で圧縮してしまう手腕である。


彼女はある晩の事、国家プロジェクトに関わっていた父親のデスクで高速通信網のデータを見ることになる。


「全く美しくない。こんなので準備していたら10年は時間を無駄にする」


 そう思った彼女は当時まだ大学生の身分でありながら父親の上司の、さらにいくつか上司に当たる責任者に直接メールを送り直談判。改善点や運営に対して痛烈な意見を述べた。

 結果として、千尋の案は採用されて彼女はその時話した責任者の裁量でアルバイトという形だが、事実上の顧問という形で計画に参加。

 言葉通りの意味で「10年分の計画運営を僅か3年の計画になるまで短縮して見せた」のである。その後もあらゆる計画に参加しては腕を振るったことから、情報分野や建築、機械設計などの分野では魔法使いと呼ばれる天才である。


 現在は彼女の得意分野である情報解析学と呼ばれる、形のない情報をいかに形のある物に置き換えて解析するかという分野の第一人者として君臨する人だ。

 



「早く本郷さんに報告しないと」


 そう言いながら、彼女は第6研究棟、魔法分野の研究を行う研究棟を進んでいた。


「戻り遅くなりました」

「ギリギリですよ一橋さん」


 生徒たちが全員頭を下げて日本式に挨拶をする中、本郷恭介は呆れた声音で咎める。


「ごめんなさい、水城君と会っていたら興味深い話が最後の最後に出て来ちゃって少し話していました」

「あなたの少しは1時間とか話すんですから、時間を忘れる癖直してくださいね。それに、テレパシーがあるんですからあなたは事前に連絡するように」

「はい、次からは気を付けます」


 一橋の使える魔法を言いながら、本郷は目の前の小部屋ぐらいはありそうな大きさの実験室を見据える。ガラス張りの窓があるその実験室の中にいるのは一人の冒険者、そして……。


『グルルル、ガウガウ!』


 小型のケージの中に囚われた犬型のモンスターである。そう、現在一橋や本郷たちの研究チームはモンスターを対象に魔法の元である魔素(仮称であり、存在を実証できたわけではない)を研究しているのだ。


「最初はモンスターを殺害することに日本政府も動物愛護が、などと言っていましたが。本能的に人間を襲う様を見せれば、害獣として殺してよいと言ってくれて助かりましたよね」

「何度目ですかその話」


 一橋が呆れながら、マイクに向かって声を上げる。


「はーい、じゃあそろそろ時間だから殺してください。何の力も加えずに出来るだけ自然体でいつも通り殺してください」

「了解しました」


 そう言って、部屋の中の冒険者はモンスターに槍を突き刺す。すると……、モンスターは霧散していく。


「どう」


 一橋は、その殺す際の様子を観測していた生徒に結果を聞く。聞かれた生徒は出来るだけ端的に結果を伝える。


「やはり攻撃をしようとした瞬間に、槍の周辺で魔素の高まりがどうしても観測されます。その次にモンスターが霧散する際にも魔素の高まりが。まるで閉じ込められていた魔素が、袋の中から一斉に大気中へ放出されるように観測されます。ですが、徐々に大気中の魔素の濃度と同じ程度に少しずつ低くなっていくのは同じようです」

「魔素の高まりが少ない攻撃のデータ程、何故かモンスターに攻撃が通らないことを知ってしまった冒険者はやはりどうしても無意識に攻撃を通そうと考えてしますようですね」


 そう言って本郷は締めくくった。


「やはり本郷さんは考えているんですか。魔素は『人間の意思や思考に影響を受け、かつこの世界も影響を与える物質』であると」

「少なくとも。娘たちの読む漫画の様な描写が現実に起きている以上、そうとしか考えられません」

流石に3章が短すぎるので少し続けます。魔法について現状考えている設定について放出です。

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