一橋千尋への実験協力3
最近初めてのこの作品を使った二次創作が投稿されました。やったぜ! 詳細は後書きに。
他の方もこの作品を元に二次創作をぜひお願いいたします。多分小説普段書かないよ、って方でも書きやすい作風のはずなので(多分)。
「つまり、その魔素という物質が魔法に関係しているから、ドロップアイテムにも関係していると」
「まず物質かどうかも分からないけれどね」
「え?」
「だって、観測できない理由を議論する前に原子があるのか無いのかすら分からないんだもん」
「つまり、物質かさえ判然としないよく分からない何かを観測だけは出来ている、そう言う事ですか」
「そうなるね」
「……」
頭が痛くなってきた。実験室でなんてことないように言っているが、よく分からないけれど観測技術だけ確立できているとか意味不明すぎる。
「それに、随分とコンパクトですよね」
「巨大な観測装置もあるよ」
「え?」
「普通に一つの部屋が観測装置って言う位の多いさの精密な観測装置だって作ってあるよ。試験装置だからトラブルが起こる可能性は否定できないけれど、今の所大きなトラブルはないまま観測出来ているかな」
「何でそんな装置を作ったんですか」
「簡易的に測るくらいならこのサイズで十分なんだけれど、大気中の魔素を継続的に測ろうと思ったら実験室ぐらいの大きさの広さと、壁面すべてに観測用のセンサー埋め込んで3Dシミュレーターに落とし込めるぐらいにしないとさあ」
「何か滅茶苦茶凄いことしていません」
「国家予算のおかげだよね」
片手に計測装置を持ちながら、その人は嬉しそうに笑っていた。
「でも、何かが観測されている。これだけでも一番最初の手がかりが一つもない頃から比べれば進歩何だよ。何せこの観測で来ているけれどよく分からない何かを、分かるように、説明出来るようにする。それが私の仕事なんだって言えるようになったから」
「はあ」
「という訳で水城君、端子握って」
「どういうことですか」
「君の体内の魔素を計測する。陰陽師っていう特殊な君が魔素は異常なのか、それとも普通なのか、これを計測してみたくって今日は呼んだの」
「そういう事なら分かりました」
「あ、端子は錆びにくいステンレス製だから安心して触って大丈夫だよ」
「え、これステンレス何ですか」
「金属なら大体の物で魔素は通りやすいみたいだから使いやすいの選んじゃった」
そう言う訳で、俺は端子を両手で握る。そして端子の針の触れる様を一橋先生は観測する。
「1000魔素。なんというか普通ぐらいだけれど、むしろ少ない位なんだね」
「あの、謎の単位と量を出されてもピンとこないので説明してもらえますか」
「そうだね、人間の平均が2000魔素、魔法使いをやっている生徒の平均が5000魔素程度って言えば少なさ伝わる?」
「まあ、何となく」
「何ならもっと魔法使いで多い人もいるけれど、少ない人が多すぎて平均値がなんか下がりすぎているんだよね。中央値が3000魔素位」
「あと、単位はそんないい加減でいいんですか」
電流の単位をアンペアって言わないで、1電流って言っているようなものなのに。
「仕方ないでしょう。観測出来ているのに何を観測しているのかよく分かっていないせいで、何の単位が正しいのか分からないんだから」
まあ仕方ないか。あと。
「気になることがあるから実験しても良いですか?」
「? 良いけれど」
そう言われたので、俺はとある実験をした。
「疲れた」
実験から解放されたのはそれからすぐだったが、少し話す必要が出てきたらしく根掘り葉掘り質問をされて苦労した。
「あ、水城にゃ」
「リタ、オルスにミレーも」
「一橋先生に呼ばれていたんですよね。お疲れ様です」
廊下に出て歩いていた時、三人とすれ違う様に出会うのだった。
「科学って不思議でいまだによく分からないんだけれど、今日はその関係の実験だったんだろう。何やったんだ」
「分かんね」
「はあ?」
「だってよく分からない物観測していたんだから」
「なんじゃそりゃ」
そんな風に水城達が話していた頃。
「もしかして、アークメイジはああ言っていたけれど水城君の存在は滅茶苦茶重要?」
一橋千尋は一人微笑むのだった。
でんで@小説/創作支援リツイート(@dendeiriamaka1)という方のブログで短期連載という形で書いていただけることになりました。作品はブログの方でぜひ見てください。




