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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン実習編
21/67

ネームドモンスター2

皆様の作品お待ちしております。世界観に関する質問もお待ちしております。

 地上に帰還した俺達はその後、事情聴取のために冒険者ギルドまで移動した。


「それで、あなた方が依頼者ですね」


 クリフ・マゴメントは俺達三人の顔を確認しながら確認をした。


「捜索対象は天滿水城、シルバークラスの生徒。別にシルバークラスであれば実力で戻って来るのでは」

「いやにゃ。依頼は絶対にゃ」


 そこは譲れなかった。自分の失敗で水城が危険にさらされているならば、せめて少しはこちらから水城のために何とかしないと。


「ですが、シルバークラスの生徒の救出となると、多くの冒険者や生徒が躊躇します。要するに自分達の危険に見合う報酬が用意されるのか。特にダンジョン探索学基礎なんていう、スチールクラスの生徒しかいない授業の生徒からの報酬では割に合わないと」

「単位ではどうですか」

「……ほう」


 そこで私は質問をした。


「この研究所ではお金が無い生徒の代わりに、冒険者ギルドがお金を依頼の受諾者に支払い、その分に見合う依頼の単位なので後日依頼者は後払いする。そのような払い方もあると聞いていますが」

「それは事実です」

「なら」

「ですが、スチール冒険者が払える単位は精々10単位分程度。シルバークラスの生徒を救出するのに駆り出される生徒達や我々ギルドからしたら、こちらも割に合わない報酬です」

「そんな」

「お前いくら何でも冷たすぎじゃ」


「自分の命も守れないなら、冒険者を志すべきではない。私はそう思っていますので」


 クリフは冷たくそう言い放った。


「なんでもいいにゃ。なんでもいいから助けてほしいのにゃ!」


 太刀打ちできない、それは分かっていた。だが、私は泣き叫びながら必死に訴えた。


「あいつは私にご飯を奢ってくれようとした奴なのにゃ。だから、死んでほしくないのにゃ。だから……だから……」

「はぁ、別に私だって生徒を泣かせたい訳じゃないんですよ」


 そう言うと、クリフは一枚の紙を持って、そこに何か書き始めた。


「これは」

「『ギルドからの』依頼書です」

「!」


 ギルドからの依頼書。それはすなわち依頼の報酬も全てギルドが受け持ってくれるからこそ安心して受諾者は依頼を受けられる信頼のある形式だ。

 俺達は歓喜した。この流れなら俺達は自分達が報酬の用意など考えなくても依頼を受けてもらえる可能性が高くなったと。だが、次に告げられた言葉は想定外の物だった。


「調査内容は『ネームドモンスターの有無の調査』です」

「ネームドモンスター⁉」


 ネームドモンスター、それは本来種族ごとの名称で呼ばれることの多いモンスターの中で特異的に発生が確認された個体に付けられる選別呼称。そしてそれらは危険なモンスターとしてブラックリストにリストアップされるほどの怪物たちだ。


「実は最近、件の授業の行われたダンジョンで、ネームドモンスターらしきモンスターの目撃情報が少数ですが寄せられておりまして」

「何でそんな」


 そんなことを野放しにしているんだという質問は無視されたが、話しは続けられた。


「重要なのは、そのモンスターは大変知能が高い。それも、冒険者が絶命必死の状況に陥って初めて姿を現す様な姑息なモンスターです。私の見立てですが」


「要するに、水城さんを仮想の囮としてネームドモンスターを炙り出すから協力しろって呼びかけるんですか」

「ええ」

「それで、水城が死んでいたらどうするんだよ!」


「そんなのは知りません。私にとっては重要なのは水城さんの生死より、ネームドモンスターがいるかいないかですから」

「でもこれで、水城を助ける依頼を出してもらえるにゃ?」

「副次的ですがね。何より最初に言ったはずです」


 実力で帰って来るのではないかと。




「畜生が!」


 その巨大なモンスターの最大の厄介さに気が付いた時には、既に術中に嵌っていると気が付いた時だった。


『クケケケケ』


 敵は時々巨大な爪で攻撃をするだけ。だからこそ、正直簡単に攻撃はかわせるし、簡単に反撃も出来る。だが……。


「またかよ!」


 何か魔法を使い光が集約すると、先ほど倒して霧散させたはずのモンスターが再び出現する。このモンスターの最大の厄介さは『倒したモンスターを再復活させること』にあると気が付いた。それも既に囲まれるほどのモンスター全体の1割程度の数でだ。

 一人で倒しても倒しても、無限に湧き続けられるからこそ、対処しきれない。


『人手が必要だった』


「……」


 今この場で、人手と呼べるのはそれだけだった。だったからこそ、俺は躊躇した。さっきは意図せずに勝手に使われたが、今度は自分の意思で頼ることになる。

 それ即ち、また自分で使いたくない力を使うことに他ならなかった。


「やるしかないか」


 だが、それ以上に嫌なことがあった。それは、自分の手で手に入れられそうな初めての仲間。その仲間が泣くかもしれないという何かがあった。それを嫌った俺は、頼ることにした。


「手伝ってくれ、雪丸」


 俺の式神に。


「承知しました、主殿」

まあ単純に死にかけの人間の前にしか出現しない、しかも周囲のモンスターの一斉蘇生能力持ちとか普通は嫌な敵ですよね。しかもこのモンスター、別に攻撃が単調なだけで力とかが弱い訳ではないためにスチールクラスの生徒では歯が立たないはずなんですよね……。

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