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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン実習編
19/67

ダンジョン実習2

先日ネット上で作品感想をツイッターに投稿した方からレビューをいただけました。本当に嬉しかったです。ありがとうございます。これからも少しでも色々な方に知っていただき、そして作品を書いていただけるように精進していきたいと思います。

「右から来る! リタがオルスや他の生徒の邪魔にならないように防いで!」

「分かったにゃ!」

「悪い水城! そっちで何体か倒してくれ!」

「魔法で回復します!」


 ゴブリンをキャットピープルのナイフが切り裂く。俺の拳が緑の頭を潰せば、盾が余計な攻撃を防いでくれる。そして回復の光がたちまち俺達を癒す。


「他のチームが崩れたっぽい! 俺が助けに行くから、ミレーが指示一分だけ変わってくれ!」

「分かりました!」


 そして、俺は崩れたチームの所へゴブリンを倒しに行って、戦線を維持する。二十人程度の生徒たちに対してゴブリンは少し生徒の数より多い位。回復をしてくる奴がいないが、その代わり全員が攻撃的。苦労はさせられる。


「ありがとう、助かった」

「お礼は後にしてくれ!」


 そう言って叱咤しながら、俺は次の得物の元に向かう。頭を殴り、腹を蹴り、そして腕を掴めば思い切り投げて。


「よくやったお前ら」


 ゴブリンを駆逐し終えた所で、先生から声がかけられる。


「よくやった。初めての戦闘にしては連携が取れていたじゃないか。もう少し武器のリーチを理解しなきゃいけない奴と、周りを見る練習の必要な奴はいるが上々だ。なにより水城、お前戦闘慣れしているな」


 そう俺は教師より褒められる。


「だからちょっと、こっち来てくれ」


 教師にそう言われて、俺は教師のすぐ近くまで寄る。


「ふん!」


 その瞬間、教師が拳をお見舞いしてくる。重量の乗った拳が、俺の腹めがけて飛んでくるために、咄嗟に俺はそれをガードする!


「!」

「にゃ! 水城大丈夫にゃ!」

「おい! これはどういう事だ!」

「いくら何でも不意打ちは」

「安心しろ、手加減はしておる。それに、本人が一番大丈夫なのはわかっとるだろう」


「術だったか、魔法みたいなもの使わんでも守り切れているという事ならな」


「え?」

「……」


 そこで俺は、全て見通されていることに気が付いたが顔には出さないようにした。それでも、教師は気にせずに話し出す。


「お前さんが何を考えているのかは俺には知らん。だが、少なくともお前さんは魔法を使わんように実力を制限しておる。これはクリフから可能性があると言われておったから、確かめるように注意されておった」

「……」

「だが、地球の奴にしては骨のあるお前さんだ。モンスター如きでは普通に倒しても、使っているのか使っていないのかよく分からん。だから試させてもらった」

「……それで、俺が使わないから何かあるとでも」

「使わないのは自由だ。だが、その我儘で、もし命を落とすことに仲間がなったら不憫で仕方ないとは思ってな」


「待つにゃ、今ここで怒っていたら単位剥奪されるにゃ」


 俺は無意識に煽るような言い方をされたことに腹を立てそうになったが、そこはリタが止めてくれたために留まった。


「肝には銘じておけよ。お前さんが全力を出さない時、死ぬのはお前さんかお前さんの大切な仲間だ。それがダンジョンという場所だ」


 そう言われてから困惑していながらも、探索は順調に進んでいた。


「にゃ?」


 そこで、リタが突然変な声を上げる。


「何か五月蠅くにゃいかにゃ?」

「そうだな」

「何この音?」


 リタだけではない。ビースティアの生徒が一斉に何か変だと言い出した時だ。


「急いで戻るぞ!」


 教師が突然脂汗を書きながらそう宣言した。


「え?」

「俺はビースティアが、いやビースティアだけが異変に気が付いた時は『ダンジョンが動いた』時だと確信している! そう言う時は直ぐに外に帰らないと取り返しのつかないことに! だから」


 そう叫んでいたが、ダンジョンは許してくれなかった。


『グオオオオオオオオオオオ』


 壁から人面の狼が。


『キャキャキャ』


 空から蝙蝠が。


『』


 地面から影が。


「気を付けろ! モンスターパーティーだ!」


 大量に地面を割ってモンスター達が出現する。


「オルス! 前に出て防御! サポートは俺とリタがやる! ミレーだけは守れ!」

「おう!」

「やってやるにゃ!」

「はい!」


 そう言って、咄嗟に防御陣形を組んで応戦するも、モンスター達は雪崩の如く襲って来ては次から次へと補充される。地獄のような光景が広がっていた。


「ええい、こんな初回で!」


 教師だって応戦している。当然ダンジョンに潜り慣れている歴戦の冒険者でもあるはずの人が、俺達を守りながら戦うために実力を万全に出せていないようだ。少なくとも、俺を攻撃した時のような攻撃力ならこの程度の敵で苦戦するはずがない。


 俺達がいるだけで足手まといになっている。そういう事だ。


 これがダンジョン、これが自分の常識の通じない相手。そして何より、協力しての戦闘。こんなに頼もしくって、こんなに難しい物だったのか。


「! 不味いにゃ! 逃げるにゃ!」


 そこで、一番のリタの悲鳴が聞こえる。


「天井が落ちるにゃ!」


『地面が割れて亀裂から出現するのがよくあるパターンだ。そして、基本亀裂は数秒すれば元に戻るはず。例外は往々にしてあるがな』


 例外……何故このタイミングでその言葉が聞こえたのかは知らない……だが、本能的に教師のこの言葉を思い仇した俺は、リタの背中を押していた。


「え」


 突然のそれに驚くリタの声。そして……。


「水城!」

「水城さん!」

「み、水城! いやにゃ!」


 落ちてきた岩は今なおモンスターを生み出し続ける地面の亀裂を貫通して、俺は今いる場所よりずっと下に落ちて行った。

思っていたより早く2章が終わりそうなので、3章の話考え始めないと。だってこの後の展開は『階級表示上はシルバークラスでは倒せないモンスター』を水城にぶつけるだけなのですぐ終わっちゃう。

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