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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
ダンジョン実習編
17/67

シルバークラス

皆様からの作品お待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします

『天滿水城をシルバークラスに振り分ける』


 その一報が出た時、研究所にいるほとんどの生徒が驚嘆した。通常、スチールクラスという一番下のクラスに入学したばかりの生徒は振り分けられる。当然自分もそうなるはずだった。

 それがスチールに振り分けられる訳ではなく、最上級ではなくとも上から数えた方が早いクラスに振り分けられたのである。それも割り振ったのは……。


「凄いよな、クリフの奴が承認にサインするなんて」


 あのクリフ・マゴメントだ。ドーム状のパンの様な物に、干し肉や野菜を挟んだサンドイッチを食べるオルスがそう語る。


「それにサインにはアークメイジの名前もあったにゃ」


 リタもお肉を頬張りながら、うんうんと頷いている。今いるのは食堂で、午前の授業を終えた俺達はこの場所で合流して一緒に食事をしていた。クラスの違いというものはあるが、単位制で好きな授業を受けられるために大学に感覚が近いからか、休み時間が合えば俺達はこうして食事の時間を共にしていた。


「そこいまいち分かっていないんだが、サインってそんなに凄いのか」

「えっと、このエンバンティア・日本共同研究所こと魔法・科学図書館では、クラスが十階級に分かれてあることは知っていますか」


 俺が素直に質問すると、ミレーが説明を始める。


「下から順に、スチール、ブロンズ、ルビー、サファイア、エメラルド、シルバー、トパーズ、アクアマリン、ゴールド、クリスタル、だろう。それがどうしたんだ」

「そのうち、スチールからブロンズ、エメラルドからシルバー、アクアマリンからゴールド、そしてゴールドからクリスタルは通称昇級難所と呼ばれていて、この研究所の責任者であるアークメイジやギルド代表や地球から来た代表科学者のの方々の昇級承認が必須事項なんです」

「えっとつまり?」


「ブロンズに行くには最低でも二人の責任者のサインが、シルバーに行くには最低でも三人のサインが必要なんです。それ即ち、運営に携わる方々が実力を認めたという証明なんです」


 それって俺は……。


「あの7人の内の3人から入学時点で凄いって認められているって事?」

「正確にはスチールに入っている時点で一人は誰かが認めているのであれですが、そうでもなければこんな入学倍率の高い研究所に入れないです。その上で更に二人に認められているのですから」


 滅茶苦茶凄い奴だと……。


「通りでやたらと冒険のためのチームメンバーに入らないかって、勧誘が多い訳だ」


「にゃ!」

「水城、それ本当か」

「ああ、断っているけれどな」

「え、断っちゃったんですか!」


 リタが耳をピンッと張って驚き、オルスも目を見張る。それに答えればミレーが逆の意味で驚いていた。


「そりゃあそうだろう。俺はただでさえみんなと実習楽しみにしていたのに、一人だけもっと上の実習行けるからって勧誘され続けていたのに待っていたんだぞ」

「それは、申し訳ないですが」

「まあ必要な講義終えるのに一か月かかったからな」

「でも、これでようやく私たち四人で実習受けられるのにゃ」


 そう言って、俺達は入学してから一番心待ちにしていた午後の授業に向かうのだった。

 ダンジョン実習に。


 


「よしお前ら、ダンジョン実習に来たって事は、ダンジョン基礎学や体育基礎何かは単位獲得した生徒達だな。がはは」


 闊達といった様子の教師が、生徒名簿を片手に笑顔で俺達に語りかける。


「ダンジョン実習とは言っているが、正式名称はダンジョン探索学基礎だ。要するに、ダンジョンでの戦闘や探索について学ぶ授業だ。本来は並行してダンジョン戦闘学基礎も同時履修することで、単位を一緒に取る授業だが。今年は優秀だな、全員が忘れずに申請出していたぞ」


 そう教師が言うと小声でリタが「忘れていたから助かったにゃ」とお礼を言ってくる。俺は気にしなくていいと伝えると、教師の話に耳を傾ける。


「さて、これは俺の経験談の話だが。俺は8歳の時に鉱山で働いていたら、新しいダンジョンを見つけたことがある」


 オルスが「ドワーフってすげえ」なんて言っているが、俺は逆に8歳でさえ鉱山で働ける労働力なのがびっくりした。


「ただし馬鹿だった俺は、そのダンジョンの扉を開いてしまった。別にそのダンジョンは小さいダンジョンだから大した脅威にはならなかった。はずだった」


 そこで、教師は意味深に息を吸い込んで話し出した。


「俺は扉を閉めずに帰ったんだ。何が起きたと思う。ダンジョンからモンスターが溢れ出したんだ。結果として鉱山一つがモンスターの巣窟になっちまって、冒険者ギルドに依頼してモンスターを討伐してもらうことになった」


 それから、その教師は悲しそうに話し出した。


「問題はここからだ、冒険者に払う報酬を、俺どころか村の全財産をはたいても払えないくらいに膨れ上がっちまったんだ。俺はとんでもない位責められた、家族も村にいられなくなる寸前までいった。だが、クリフの旦那はその分の金を払ってくれたんだ。建て替えるという形でな。それ以来、俺は一生をかけてクリフの旦那に金を返していくことになった」


「当然自己責任だから悪いのは俺だ。だが、ダンジョンとはそう言う場所だ。俺は別に金だからまだ返せるが、これで対価がもし大事な仲間や手前の命だった時、お前らは払えるか? 悲しまないでいられるか? そこは履き違えた判断するな」


 ダンジョンを間違っても夢のある場所だなんて思うな、そう教師は締めくくった。


新章始まりましたがまだほとんど決まっておりません。大丈夫かなあ、これ。

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