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第六科学が世界に生まれて  作者: 桑鷹三好
入学試験編
13/67

天滿水城の秘密

最近ツイッターでちょっとずつですがこの作品に関するいろいろなご意見をいただけるようになって、本当に感謝です。作品を作るのもご意見いただけるのも、全く何も反応されなかったことを経験した身からすると大分嬉しいので、少しでも精進していきたいと思っております。

 クリフ・マゴメント先生に連れられてやって来たのは、学科学習棟にある講堂。本来は何か会議や発表のために使われるらしい部屋だ。


「今回は重要な話のため、出入りを制限する魔法結界も貼らせていただきます」


 そう言って、彼は扉に触れると何か呪文を呟いた。すると、扉から近くの壁まで全体を覆う様にピンク色の魔法陣のようなものが広がる。


「さあ、入りましょう」


 そう促されると、開いた扉から中に入るように暗に視線を流される。俺は素直に従い部屋に入る。後ろ手にクリフ先生が入るのを確認した後に扉を閉めれば、そこには数名の教員がいた。


「もしかしてここにいる人たちは」

「日本政府から要請されて魔法研究のためにやって来た研究者や、私と同じように所属ギルドで確かな実績を積み出向してきた責任者、そしてこの研究所における最高責任者のアークメイジたる大魔法使い、全員が全員未来を担うこの研究所の責任者です」


 知らないはずがない、何せ親に送られたこの研究所に関する案内状で見たのだから。この研究所の運営にも携わり、研究も行う最高責任者達として紹介された顔なのだから。


「よく来たのう若者よ」

 アークメイジ、ガリウス・アスモダイ。


「彼が噂の」

 東都大学教授兼魔法研究者、本郷恭介。


「よ、また会ったな」

 商人ギルド代表、エスティシャ・ベロル。


「ん」

 職人ギルド代表、ダイアン・アスモダイ。


「見た目は普通だけどね」

 西都大学教授兼魔法研究者、一橋千尋。


「よろしくお願いいたします」

 鬼嫁の巫女、イルミシャ・サリア。


「まあ座りなさい、立っていては話も出来ないです」

 冒険者ギルド代表、クリフ・マゴメント。


 魔法研究や科学研究の第一人者達であり、そして言葉通りの意味で研究所の未来さえも動かすことのできる頭脳陣。それが一堂に会していた。


「さあ席に座りなさい。良ければお茶でも用意しようか」

「アークメイジ、あなたは座っていてください。私が用意しますから」


 そう言って、イルミシャ先生が手をパンッと叩くと、何もない所から卓上にお菓子とお茶が用意される。


「何じゃ味気ない。急須で入れるから美味しいというのに」

「まあ良いだろう、早く話しようぜ」


 ガリウス先生は不貞腐れているが、エスティシャ先生が話を促す。


「まずは名前を聞こうか。改めてだけどお名前は」

 本郷先生から質問が始まる。俺は椅子に座って素直に答える。

「天滿水城、20歳です」

「20歳、高校は卒業している」

「はい」

「大学は」

「大学は通っていません」

「じゃあ感覚として大学に来ているようなものなんだ。ここでは高校卒業程度だけでなく大学卒業程度の年度になるまで過ごして、日本で大学卒業程度の学位も取得する人もいるから」

「はい」

「将来の仕事は決まっているのか」


「決まっていません。ですが、家業だけは継ぎたくないと思っていますので、将来のためにパソコンなどの勉強も必要かなとは思っています」


「でもそれって別にこの研究所じゃなくってもいいよね? どうしてこの研究所に来たの」

 そこで、一橋先生から嫌な質問が来てしまう。だが、正直確かに必然性が無いために正直に答えることにした。

「今家出に近い状態で生活しているのですが、それを認めるのにこの研究所に入学するのが条件だと」

「親がこの研究所に行けと」

「はい」

「入学後の学費は?」

「親が払うと言っていますが、突っぱねて自分で稼ぐと伝えてあります。研究所では自分で稼ぐことも可能なので、学費の後払いなどにも対応していると調べてあります」

「そうなんだ」


 何か意味深な感じに頷いているが、俺は何のことかは測りかねるため考えないようにした。


「好きなお菓子は」

「はい?」


 突然、何の脈絡もない質問を、それもオルスより巨大な明らかにギガンティアとしか思えないダイアン先生から言われたため、困惑する。だが、先生は特に気にしたそぶりも見せずに再度質問する。


「好きなお菓子は」

「えっと……はい……羊羹やどら焼きが好きです。金平糖とかも嫌いじゃありません」

「ケーキやプリンは」

「嫌いではないですが、和菓子が慣れ親しんでいますので」


 意外に日本のお菓子というより、地球の甘味に詳しいなと思いながらも質問に答える。


「一緒に許可証を取得する為に人を集めておられていましたが、何か感じた事などはありますでしょうか」


 続いてイルミシャ先生が質問する。


「そうですね、オルスははつらつで豪快と言った感じで、それでいて周りを見ていないようには見えませんでした。ミレーは少しおどおどしている感じはしますが、嬉しいことがあると年相応にはしゃいでいるように感じるのが印象的です。リタは最初こそ許可証を盗んだために悪印象でしたが、その後お店で客寄せのためにとても屋台通りを飛び回ってもらったのを知っているので大分頑張り屋なんだろうなという印象に変わりました」

「そうですか」

「じゃあ、逆に自分はどんな人間だと思っているんだ」


「自分、ですか?」


 エスティシャ先生にそう質問された時、氷をぶつけられたような感覚に陥った。俺? 俺は……えっと……。


「親のために今まで正しいと思わされてきたことをやっていたので……何というか……えっと……分かりません」

「そうか」


「最後に私から」


 そしてクリフ先生から、一番聞かれたくない質問をされた。


「あなたは所謂『陰陽師』で間違いありませんか」

主人公君はそのうち詳しく書きますが、唯の力だけで魔法に勝っちゃうファイターにしちゃうと自衛隊なんかで良いじゃんという話になるため、そこに独自性を出すにはどうしたらいいかなという悩みの末に生まれた作者にとっては試験的なキャラクターです。


魔法物で陰陽師を出したらどんな核爆発が起きるかなって。


自滅する切符の可能性が大きくて戦々恐々とはしていますが。

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