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ロビン・ラックと魔法学校  作者: 生くっぱ
ロビン・ラックと世界樹の迷宮牢
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084:ロビン・ラックと絵本の鬼-4-

 赤鬼を撃破した三人はひとまず檻に入れられていた少年を助けるべく、鍵の開錠に勤しんでいた。鍵自体は赤鬼からドロップしており、これが少年の檻の鍵だど分かったロビンは「だと思った」と非常に納得のいくシタリ顔をしていた。


「危ない所を助けて頂き有難う御座います。皆様はお強いようですので、もしよろしければ猫姫の救出にご一緒して頂けると凄く安心するのですが……」

「行くよ、村長にも頼まれてるしね」

「あ、有難う御座います!!」


 少年は何度もその場で土下座状態でお礼の言葉を述べ、そのうちに満足したのか次の話題を始めた。


「実はこの先の岩場にもう一体鬼がおりまして。この者を何とかしなければ屋敷には行けません」

「え、何で? 周り道すれば良いじゃん」

「青鬼の持つ鍵と、貴方様の持つ鍵、この二つが無ければ屋敷に入れないのです」

「え、何で鍵の事知ってるの?」

「なのでここから真っ直ぐ進み、岩場を目指しましょう」

「無視される!」

「設定だからな、設定」


 システムに整合性を求めるロビンだが、世のゲームのモンスター達は何故かお金を持っていたり、装備品を持っていたりと、説明の付かない事が多いのだ。諦めろとラディックに諭され「解せぬ」という顔をするロビン。だがこの状況にもかなり慣れてきてはいたので。


「あれだよね、青鬼と多分戦うんだよね?」

「そうなるだろうな」

「うーん、今度はどんな感じなんだろう」

「少し、楽しみ」


 物語に登場する青鬼は、少年に「やい青鬼、こっちに屋敷があると聞いたぞ。案内しろ!」と言われ、「ヒィ、こっちでしゅ」と割と情けない雰囲気で描かれている。もっぱら怖いのは最初に襲撃して来た鬼だけで、他は比較的コミカルに描かれているのだ。だが、ロビンはもうそんな流れは期待していなかった。


「どうせ、赤鬼みたいに大きいんでしょ?」

「だろーな。ミア嬢今魔力はどんな感じ?」

「中級、もう一回」

「え、もう中級二発目かよ。凄えよなほんと。俺まだ中級は無理そうだ」

「俺で一回かな」

「実際、中級の回復が控えてるのはかなり大きいからな、二人とも助かるよ」


 徐々に高まりつつある魔力の総量。本来なら既に魔力切れを起こしていてもおかしくないミアだが、赤鬼との戦闘時にレベルを上げており、その恩恵で今も余裕を待てていた。だがラディックは。


「これさ、薄々そんな気はしてたけど、連戦のイベントだな。途中で休めるポイントとかないとヤバいぞ」

「魔力、尽きる」

「だよね、俺もちょっと最後までいけるかどうか」


 恐らくだが、最後の一戦が最も強い敵との戦いになるだろう。そうなるのであれば出来れば回復してから望みたい所なのだが、今までの雰囲気を垣間見るに、このまま連戦となる流れが濃厚であった。それを懸念していたラディック。


「ミア嬢、温存するか?」

「ミアのサポートなしかー、キツいのはキツいけどなー」


 実際ミアは中級での決定打の他に、窮地を救う攻撃や、チャンスを拡げる攻撃をしてくれており、このサポートなしでの戦闘となると、些か不安の大きいロビン。


「ならこうしよう。中級は無し、他は任せる」

「それだと凄く安心出来るね」

「中級無し、了解」


 ミアは次の戦いに於いて中級の魔法を無しで戦闘する。決定打はロビンとラディックが為さなければならず、何を以ってこれを達成するか思案を始める二人。


「二人に、期待」

「任せてよ!」

「俺も上手くやらないとな」


 破壊力、貫通力共に一段上であるミアの魔法を温存する。次に向けて必要とは言え、目先を考えるならかなり苦しい縛りとなるだろう。そんな三人に。


「間も無くです、見えて来ますよ」


 鬱蒼とした森を抜け、戦場は岩場へと移行する。そしてここまで来たなら、敵の姿も間も無く視認出来る。


「ギャィヤァァァァァァァァ!!!」


「んー、鬼って何だったっけ?」

「よく見ろよ、角はありそうだぞ?」

「鬼の基準ってそこだっけ?」


 ロビンが呆れる程の姿。


 それは鋭い牙を待ち、噛み砕くだけで全身を破壊して来そうなその強靭な顎と。その巨大を支えてなお力強く飛び回れそうな立派な翼と。その翼に引っ付く様にしてある手に携えられた凄まじい爪と。挙げ句の果てに全身を鋼の様に堅そうな鱗に身を包んだ、翼竜だった。


「ワイバーンじゃないの? 龍族の」

「ワイバーンは角ないぞ。無いよなミア嬢?」

「知らない」


 その翼竜にはまるで異質なユニコーンの様な角が生えており、その角だけでも岩を貫通してしまいそうな恐ろしさを孕んでいる。


「ギャィヤアアァァァアアァァァァァ!!!」


 目は血走ったおり、口からは絶えず唾液がこぼれている。


「まぁ青いのは青いな」

「青くて角があったら青鬼でいいの?」

「納得、出来ない」


 口からこぼれ落ちる唾液に至るまで全てが青色に統一された恐ろしい迫力を放つ翼竜。


 青鬼、翼竜が三人の前に立ち塞がってきた。

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