表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロビン・ラックと魔法学校  作者: 生くっぱ
ロビン・ラックと世界樹の迷宮牢
87/88

083:ロビン・ラックと絵本の鬼-3-

「【佇む地表の砂】、興る流砂の囁き(デザートホール)


 ラディックの詠唱によって戦闘の火蓋は切って落とされる。巨大な片足を流砂に沈められ、突然バランスを崩された事態に思わず片膝を着いて対応する赤鬼。同時に地面に手をつく為、持っていた棍棒を手放してしまう。


「俺が行く!!」


そしてその下がって来た顔面を見たロビンは好機と捉え、すぐ様その横っ面に蹴りを見舞おうと飛び掛かった彼であったがー


「バハアアアアアァァァァァァ!!!」

「ぐっ、ちょ、臭っ!!!」


 その口内から放たれる只の吐息は、只の吐息と断ずるには異臭が常軌を逸しており、その圧ではなくブレス臭にやられ身動きが取れなくなってしまうロビン。彼が激臭に苦悶の表情を浮かべた事を確認し僅かに口角を上げた赤鬼は、ロビンの攻撃の意志を挫く事に成功するや否やその太い腕を大きく振りかぶりー


「ガアアアアァァァァ!!!」

「グハっ!?」


 ただ、振り下ろす。空中に出ていた事が仇となった形で、有無を言わさず上から強く叩きつけられ、固い地面を砕きながら大きく弾むロビン。攻撃へのガードは間に合っても後頭部に受ける地面の衝撃までは受けきれず、悶絶。一瞬、意識が飛びそうになるロビンの隙を見逃さず、更に追撃を仕掛けようとする赤鬼にー


「【流れる水の調べ】、水球による射撃(ウォーターボール)

「グッ!?」


 ミアからのサポート攻撃が襲い掛かる。顔面に向けて放たれた水球は赤鬼の手で軽くガードされるも、水飛沫が目に入ってしまい、一瞬視界を失う赤鬼。同時に生まれる僅かな隙。


「ナイス、ミア嬢」

「げゃぁあああぁぁあぁぁぁあ!!!」


 滑り込む様にして膝をついていない方の足の腱をナイフで切断したラディック。逆側にポジションを取りつつ魔力を整えてチャンスを伺っていた彼は、赤鬼が魔力的に無防備になった瞬間を逃さずに突いた形となっていた。


「【眩き光の粒子】、癒しの光(ヒール)


 ラディックの強襲によって時間的な猶予を貰ったロビンは、すぐ様自ら己へと回復魔法を行使し、戦線へと復帰する。仲間の活躍で危機を脱っした彼だったが、しかしてその場から逃げる訳ではなくー


「こぉぉぉぉい!!」


 強打を受けて尚、正面から赤鬼を受け止める構えを見せるロビン。人相手であれば実に見え見えの罠ではあるが、事今回の様な魔獣との戦闘であれば露骨な罠でさえも有効な場合がありー


「ガアアアアァァァァ!!」

「当たらないよっ!」


 赤鬼の巨大な手の甲を振り払う様に横薙ぎに攻撃してくる圧倒的な暴力を、いとも容易く小さく跳ねる事によって回避し、更にはー


「【流れる水の調べ】、水球による射撃(ウォーターボール)

「グッ!?」


 振り払った赤鬼の手は結果的に胸部を大きく開く様な形となっており、その最終地点にいた開き切った手を狙う事で身体はバランスを保てず、一瞬天を仰ぐ様に体制を崩した赤鬼。その隙をついたのはー


形成される砂の剣(サンドナイフ)

「ゲぎゃぁぃアアアぁぁぁあぁぁぁあ!!!」


 勿論ラディックだった。ロビンが囮を買って出たと同時に魔力を構築していたミアも賞賛に値するが、そのミアの狙いを瞬時に見切り、ほぼ同時に空中に飛び出ていたラディック。彼から放たれた二本の砂の剣は、驚きに思わず見開かれてしまった赤鬼の大きな目玉を貫いたのだ。


正確無比に巨大な両面を潰し、赤鬼の視界を完全に奪い去ったラディック。これで彼は赤鬼から機動力を奪い、視界さえも断った。


後はトドメをと行きたい所だが、この追い詰められた状況によって焦りが募った赤鬼は、傍らに佇んでいた棍棒を拾い上げると。


「ガアアアアァァァァァァァァァァ!!!!」


 周囲の全てに向かって攻撃を始めた。さながら小さな爆弾が連続的に爆ぜているかの様な惨状に、ロビンもラディックも手を出せずに周囲に散開。二人の得意とする間合いでは、この状況の赤鬼へ決定打を加えるには些か不安があるのだ。だがしかし、この圧倒的なまでの暴力の弾幕に踏み込み切れない二人に対して、青髪の少女だけは違った。


「【流れる水の調べ、我願いに応えに驟雨秘めし大いなる力を顕現せよ】、地を這う氷の柱(アイシクルピラー)

「グァッッ!!?」


 赤鬼の注意を周囲へと向けさせた瞬間に、意識から外れた真下から中級の攻撃魔法が炸裂する。今放てる最も強力にして鋭利な一撃が赤鬼の腹部を貫通し、その余りの衝撃に手に握っていた棍棒はすっぽ抜け、彼方へと飛翔する。そしてそんな頼りになる後衛の一撃によって硬直した赤鬼に対して、散開していたこの二人がこの好機を見逃す筈も無くー


「オラッ!」

「どっせーい!」

「ガバァァァァァァ!?!?」


 ラディックとロビンが同時に赤鬼の顔面を強く蹴り掛かった。二人掛かりの強烈な一撃を見舞われた赤鬼は、腹部に刺さった氷柱が引っ掛かり身体を内側から引き裂かれる形で激しく吹き飛ばされ、最後の大声を周囲に響き渡らせた。暫くの断末魔の後、やがて身動き一つしない沈黙状態となり。


 光の粒となってその場から消滅した。



 ー【レベルアップ5→8】ー

 また魔力を獲得したぞ。

 順調そのものだな。

 メリーも獲得してるからな。

 確認しておけよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ