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ロビン・ラックと魔法学校  作者: 生くっぱ
ロビン・ラックと死の少女
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072:ロビン・ラックと死の少女【完】

 それからラディック達はその場を離れ、ひとまず近くにあった飲食店に入り、飲み物を注文する。当然何一つとして納得出来ていないロビンはプンスカと怒っており、ラディックも「無視してごめんな」と仕方のないケースだったとは言え蔑ろにし過ぎていた事を謝罪した。


「どういう事なの? 最初から説明してよラディ」

「えっとなー、最初からだと……病気の件か」

「何かラディは納得してたよね」

「トーマス曰く、当主様が病気で長くないと言っていて、その上で対策を講じるも芳しくないと」

「言ってたよね」

「そうなってくると、次期当主は誰になるのかって話になってくる訳だ」

「次の……当主って事は、ホワイトニュートの代表?」

「その位置にへとミア嬢がたどり着くと困る連中が居るって事だ」

「何でさ!!」


 このラディックの発言に怒りを露わにするロビンだったが、そんな彼の問いにはミアが答えた。


「私、【水】、だから」

「あ……そうか、ホワイトニュートは【光】の……!」

「そう、光を持たない者が何かの間違いであったとしても、万が一にも当主になられると困るんだろうよ」

「だからって殺すなんて事……」

「無茶をしてきたのは緊急性が高まっちまったからだろうな」

「病気、そこまで悪いって事だよね」


 ロビンのこの問いに首を縦に振る事で肯定し、飲み物を一口のんだラディックは再び話を続けた。


「神魂の滴、生命の葉、鳳凰の血液、これらは万病に効くと言う神級の魔道具だ」

「神級の魔道具?」

「そう、全部使い捨てだけどな。要するに神に縋るレベルでヤバいってこった」

「成る程……」


 話の一つ一つが、単語さえ理解出来ていればついていける内容なのだろうが、世界の事をまるで知らないロビンにとってはかなり難解な話であった。


「そして、トーマスは【生命の葉】に可能性が残されている事を教えてくれた」

「言ってたよね、何でなの?」

「入るには資格が必要で、その資格の基準がハッキリしていないらしい。けどトーマスの見立てでは、ミアであればいけるって話だ」

「ホワイトニュートの血?」

「そう、七大貴族たればという事なら、デマイズである俺もいける可能性が高い」

「えっ!? 俺は!?」

「ミアの緊急事態なんだ、行ってみなきゃ何とも言えねーが、我儘言ってられる状況じゃねーだろ」

「うっ、確かに。じゃあさ、何でそれがいるのか教えて?」


 七大貴族たるミアとデマイズの一族であるラディック、そしてこの二人は上級の魔法を操り、前衛、中距離戦、後衛、回復と、たった二人で全てを網羅している万能な二人である。そこがどういう場所なのか今持って不明だが、可能性の芽があると言ったトーマスの発言を信じるならやるしかない場面だった。だが、役に立たない可能性が出てきたロビンはやや落ち込んでおり、これもまた仕方ないと言えるだろう。


「考えてもみろよ。ホワイトニュートで立場が低いからこんな事になってんだろ? なら当主の命を救ったなら、せめて言い分くらいは聞いてくれるだろうよ」

「……そうなの?」

「多分な。それに生命の葉を調達出来ると分かったなら無闇には殺せ無い筈だ」

「あ! そうか、次にまたこんな事になったら……」

「どうやって取ったかを言わなければ、方法を知るのは俺たちだけだ。殺すには惜しいだろうよ」

「だから先にその【生命の葉】を取りに行くんだね」

「そーいう事」


 漸く話を理解出来たロビンは、例え自身が役には立たずとも、それでミアが安寧なる日々を過ごせるのであればと全ての話に納得がいった。


「理解が遅くてごめんね、やっと分かったよ」

「んや、単語を知らないなら無理な話だったと思うぞ。俺だってこんな里に産まれてなけりゃ知らなかっただろうよ」


 そう言ってロビンをフォローしてくれるラディック。漸くロビンにも笑顔と活力が戻ってきた。やる事が明確になり、目指すべき場所が分かったのだから。


「取り敢えず街のギルド詰所か本屋にいって、地図買って、場所を確認しよう」

「ステプトリアだっけ?」

「そ、ここから南だってよ。中間休暇の内にもどれっかなこれ」

「無理だったらどうなる?」


 飲み物を口にし「んー」と悩む様な素振りを見せるラディックに、少しだけハラハラするロビン。だがそんな焦らしの隣から少女が答えを与えてしまう。


「最悪、退学」

「ええええええええええ!!!」

「待て待て、最悪のパターンな、一番拙いケースな」


 ミアの答え方はシンプル故に、最もラディックが伝えるつもりの無かった伝わり方をしてしまう。


「た、退学……」

「ま、今回はジャミール先生が事態を把握してるし、俺やミア嬢も……いや、多分俺らは大丈夫だな」

「なんで!?」

「家が名家だから」

「ぐぬぬ……」


 デマイズもホワイトニュートも、ある程度の理由があれば学校に通じ、公欠として休みを無かった事にしてくれる。ラディックは休んだ事は無かったが、まず持って彼も同じ扱いとなる事は明白だった。だが、今回はそこが問題ではないのだ。


「よし、整理するぞ」

「うん」


 そう言うとラディックは椅子に座り直し、テーブルへと手をつきながら話し始める。


「今から俺たち三人で生命の葉を狙う。そしてその為にステプトリアを目指し、迷宮牢へと挑戦する」

「迷宮牢ってのは?」

「俺も詳しくはわかんねーから、着いてから聞いた方が良いだろうな」

「むぅ、なるほど」

「よし、次の目的地はステプトリア」


 そしてラディックは薄く笑みを浮かべて言葉を締める。


「世界樹の迷宮牢だ」














【あとがき】

2章、その20万文字に及ぶ物語りをここまでお読み頂き本当に有難うございます。ここからは毎日更新のペースではなかなか厳しい所もございますので、三日に一度くらいの感覚で安定した投稿が出来れば良いなと思いますので、のんびりお付き合い頂ければ幸いです。ここまでお読み頂き本当にありがとうございます。


生くっぱ

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