間話 とある二人
「しまった、ロビン・ラックに【ストアイーグル】の話を聞きそびれた」
「何かあったの?」
「いや、まぁ何も無かったと言えば、何も無かったんだが」
「何よ、含みがあるわね」
「誰かの……と言うには心当たりが一人しかいないんだが、そいつの使い魔がストアに一人で来ていた可能性があってな」
「ロビン君の使い魔が!? という、使い魔にそんな事出来たかしら?」
「いや、前例を聞いた事はないな」
「それで、何をしたの? 例の噂になってた奴なんでしょ?」
「いや、それが要領を得んのだが」
「どういう事?」
「どうもその場に居合わせた奴らの話が曖昧でな」
「その場に居た、のに?」
「臨死体験と言って差し支えの無い絶望感は共通してるみたいなんだが、どうもな」
「死ぬ程の絶望感? 一体何をされたのかしら」
「ここからは俺の推測だ。現場の履歴を確認と状況を総合するにだ」
「ストアの履歴ね」
「どうやら食料を……買いに来ていたらしい」
「それだけ?」
「それだけだ」
「絶望?」
「俺もそう思うさ。現場に居なかったから何ともな」
「ま、言えないわね」
「だからその辺りに裏を取れたらと、ロビン・ラックに詳しく聞きたかったのだが」
「聞けなかったの?」
「アイツのあんな姿を見せられてはな。俺が……俺があんな事さえ言わなければ聞けたんだが……」
「何よもう、トコトン聞いてやるから言いなさい」
「そんなつもりは無かったんだ……」
「ウンウン、分かるわ。マスター、鬼強い奴をこいつに」
「オイ、どさくさに紛れて酔い潰そうとするな」
「バレちゃった? まぁ水でも飲みなさいよ」
「さては水に酒を混入したな?」
「これもバレるかー。仕方ない、私が潰れるしかないか」
「オイ、今日は勘弁してくれ」
「マスター、鬼強い奴、私に」
「捨てて帰るからな」
「良いわよ? その代わり私がどうなっても知らないから」
「お前がそれを言うのか?」
「捨てれるものなら捨ててみなさいよ、根性なし」
「俺は絶対面倒みないからな」
「さて、どうかしらね」
「上着を脱ぐな、絶対捨てて帰るからな」
「ハイハイ、お姉さんは今日潰れまーす。みなさーん、酔い潰れた私は記憶を無くしますよー!」
「止せ馬鹿!」
「面談見てくれないんでしょ?」
「……せめて愚痴を聞いてくれ」
「ふん、最初からそう言えばいいのに」