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ロビン・ラックと魔法学校  作者: 生くっぱ
ロビン・ラックと王子の邂逅
13/88

013:ロビン・ラックと魔杖の生成-2-

現在ブックマーク頂いている11人の皆様が居てくれるお陰で、今日もへこたれずに頑張れます。いつもありがとうございます。やはり増えていると嬉しくて少しニヤついてしまいます。

「全員持ったな? では次の説明に移る」


 そう言葉を発すると、ジャミールは己の腰に下げていた魔杖を手に取った。


「見ての通り、俺のこいつも魔杖だ。その手に持っている杖に魔力を流し込む際に、こんな形になって欲しいというイメージを共に流し込め。その魔力量が適量に達した時、形状が変化するだろう。変化した後に(めい)を決めて呼べば、元のスティック状へと戻ってくれる。長い付き合いになるパートナーだ、きっちりやってやれ」


 一通りの説明を聞き、ゴクリの生唾を飲み込むクラスメイトたち。その中の一人が声を発した。


「先生の魔杖を見てみたいです!」

「何? あぁ形状変化か。良いだろう」


 歓喜に満ちた声が周囲から溢れ、同時に少し離れろとジャミールから距離を取らされる。


「起きろ【黒嶺(こくれい)】」


 その言葉と同時に、手の中に収まっていた筈の杖が形状を変化させ、大剣へと姿を変える。剣全体が黒いイメージだが、刃の部分だけが重いシルバーに輝いており、その重量感に加えて切れ味の鋭さを強調する見た目をしていた。


「でけぇ……」

「何メールある? 2メートルは超えてるよな?」


 そんな大剣をブンブンと軽く振り回して、最後に肩の上にズンと着地させるジャミール。迫力のある光景であった。


「先生、何でこんな大きな剣にしたのかしら?」

「俺は対人よりも対魔獣に特化した魔戦士だ。通常規格の剣では傷一つ付かない強固な皮膚や鱗を斬る為にコイツを頼る事にした訳だ」

「はぁー成る程、対人かそうでないかでもここまで変わるのか……」


 クラスメイトたちから声が溢れた。既にイメージは済んでいるだろう面々が、ここにきてまた少し認識を改めた様だった。


「お前ら、とっととやれぃ!」


 その声にハッとさせられた一同は、己の手の内にある杖に視線を移し、そして覚悟を決めた。


 それから数十分の時間が過ぎ。


「で、出来た!」

「俺も出来たー!」


 ある者は剣を、ある者は槍を、皆がそれぞれに武器を生成していく中。


「ふぬぬぬぬぬぬぬ……」


 ロビン少年は絶賛苦戦中だった。


「まだ終わらないのか?」

「うーん、俺のはまだみたい。アルヴィスは?」

「俺はほら、来い【龍瞬(りゅうしゅん)】」


 そう呟いたアルヴィスの手元には龍をモチーフとしたデザイン性に優れた片手剣が握られていた。


「えーカッコいい! 剣も良いなー!」

「うちはお家柄、龍に纏わる物に触れる事が多くてさ。だからこういうのも何となくこうする物みたいな、何ていうか【お決まり】みたいな事があってさ。面倒だろ?」

「えーカッコいいじゃん!」

「そりゃありがとな、お前のも早く見せてくれよ?」


 そんな会話をしていた二人だったが。時の流れとはあっという間で、魔杖生成の時間は終わってしまった。


「この時点でまだ終わってないのは、ロビン・ラックだけか?」

「はい」

「明日までに終わらせて、必ず報告する事」

「……分かりました」


 授業は解散となり、それぞれが生成した魔杖を眺めたり、頬ずりしたりしながら教室へと帰還した。そして着いて休む間もなくジャミールも入室し、徐に教科書を開いた。


「残りの時間で少しだが魔力流動学の触りだけでも進めておく、教科書を開け。振り向いた時に開いていない奴がいたら殴るぞ」


 ボードの方へと向き、人の身体の略図のような物を描き始めていた。その間に大慌てで授業スタイルに切り替えるクラスメイトたち。しかしながらその対応にも慣れてきたのか、指定の時間内に教科書を開けない者はいなかった。ジャミールがどういう人間が理解しつつある証拠と言えるだろう。


「良いか良く聞け、魔力は流動する。魔力の起源に関しては魔法基礎でやるから一旦説明は省く。ここでは魔力の流動への理解、そして魔法への転換。身体強化などを中心に取り扱っていく。ロビン・ラック」

「はい」

「お前が魔杖を生成出来なかったのはこの能力の欠如による所が大きいと推察出来る。しっかり聞け」

「はい!」


 ロビンは決意を新たにした。


「魔力を発生させる基本は感じる事だ。魔力とは生命エネルギーとも言い換えられる、変換前のエネルギー。それを魔法として発現するか、攻撃力として上乗せするか、その使い方が違うだけに過ぎない。ではその魔力はどのイメージから生成するか、ラディック・デマイズ」

「自身の中心とイメージ出来る場所、俺の場合両肺の真ん中やや下辺り、そこから全身をフワリと広がり包むイメージです」

「その通り。基本は【己の真ん中】だ。それは人それぞれやや感覚が異なるが故に押し付けるのは良くないだろう。自分で感じろ」


 ジャミールは少し移動すると先程の人体の図の中心を指し、そしてそこからグルグルと波紋を広がるように絵を描き始めた。魔力の発生を示す図の様だ。


「そしてそこから全身に広がるイメージだ。温かく広がる者もいれば、冷たい、鋭い、熱い、色々な感覚があり、これもまた一様ではない。自分で感じろ」


 それを聞いて自身の胸に手を当てるロビン。魔力、という存在に未だに違和感のある彼は、やはりこの話を聞いてもまだピンと来てはいなかった。


「では発生させた魔力だが、これを手に集めるイメージから始める。魔法詠唱に於いてはこれが出来なければ話にならない。その際のイメージはー」


 こうして魔力流動学の授業は進んでいった。

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