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私は元気だよ

作者: ナダ

昨晩、亡くなった友人の夢をみた


彼女が亡くなってから、もう10年以上が過ぎた

突然の交通事故だった


結婚して、二人目の子が生まれて幸せの中で、急に起きた事故だった

幸い子どもたちは無事で、母親である友人だけが逝ってしまった


一人目の出産後、旦那さんの仕事の都合で東京へ引っ越して行った

私の独身時代の友人は、結婚後旦那さんの転勤に伴って、数人が関東へ行ってしまった


名字も住所も変わって、遠くへ行ってしまう

女の人生は、結婚で大きく変わる

皆、幸せであれ


友人の弟さんから、涙声で葬儀の連絡が来た

独身の頃、韓国へ旅行に行った時、弟さんが車で空港まで送ってくれた

友人は弟さんをとても可愛がっていて、お土産をたくさん買っていた


遠いので、可能なら顔だけ見てやってください、と電話が切れた


私も、子どもが幼稚園へ行っていた時だったので、日帰りで、子どもを送ってから喪服で新幹線に飛び乗った


2月の風がとても強い日で、喪服のスカートから出た足が、とても寒かった


時間ギリギリで、会場に着くと友人のお母さんと弟さんたちが(お父さんは既に亡くなっていた)泣きじゃくっていた

小さな子どもたちを抱えた旦那さんは、まだ現実を受け止めきれていないようで、呆然としていた


事故にあったという友人の顔はきれいなままだった

子どもたちを守ったんだと思った


身内を失ったとてつもない悲しみに暮れるご家族の手前、私が号泣するわけにはいかないと、こらえていたけれど涙が止まらなかった


とんぼ返りの帰りの新幹線でも、涙がこらえきれず、喪服で真っ赤な目をしている近寄りがたいオーラを放ったおばさんだった


同じくらいの小さな子を持つ身として、旦那さんや子どもたちの姿が目に焼きついた

何より、友人の悔しさを思った

あんなにかわいいまだまだ小さな子どもたちを残して逝くのは、さぞ心残りであったろう


日々の忙しさにかまけて、流されて育児をしていた自分を振り返り、私は幸せなんだと、泣くのをこらえて新幹線の中、歯を食い縛った


彼女とは、大学時代の同級生で、社会人になってからもよく遊んだ

いろんな所に行った

旅行も何度か一緒に行った


卒業旅行のアメリカ、GWの韓国旅行、夏休みの避暑高原、弾丸ディズニー

笑い転げた思い出ばかり


そういえば、今月は友人の誕生月だ

だから、夢の中で誕生日プレゼントを買わされたのか

生前も買わされた


誕生日におねだりされると、断れない私

お金なかったのに、買っちゃったなー


月日は百代の過客にして、友人のことを忘れていた

会いに来てくれてありがとう

私は相変わらず、元気にしてるよ


彼女の子どもたちも、立派に成長しただろうか

元気なままだったら、子どもを置いて、また旅行に行きたかったな


月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり



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