2話 てへ☆ ちょっとミスってレベルが最大になっちゃった。
光が収まるとそこは周りが魔物だらけだった。
「あっ死んだはこれ」
魔物達は突然現れた美味しそうな餌を見て舌なめずりしている。
『ごめんなさい! 間違えました! ちょっと緯度と経度を逆に転移させちゃいました。……てへ☆』
「てめえ、このダ女神! いきなりゲームオーバーじゃねえか! 何とかしろ!」
魔物達は僕目掛けて突撃してくる。
「うおおおおおお!」
小学生以来の全力疾走する僕。
『しょうがないですね~はいっこれでどうですか?』
僕の前に時計のような四角い箱が現れた。
デジタル表示で7秒……6秒とカウントダウンしている。
「おい! これ0になったらどうなるんだ!」
『爆発します☆』
「うおおおおおお!」
僕は爆弾を全力で魔物に向かって投げる。
次の瞬間、光った! と思ったら、僕が見渡す限りの地平線の先まで、当たり一面焼け野原になっていた。
レベルが上がりました。
レベルが1000000になりました。
『あははは! そんなに慌てて投げなくてもショウマさんにだけ効果がない特製の爆弾ですよ』
「おいダ女神! 今すぐ俺の前に来い。今度は嫌と言うほど頬を殴ってやるからさぁ!」
『怖い~暴力振るう男って最低~女の敵~』
「ふんっ!」
僕は怒りをぶちまける為に思いっきり地面を叩きつけた。
ドンっ!!
僕が殴った地面はめちゃくちゃ巨大なクレータとなる。
「えっ何これ?」
『そういえば、ショウマさんが爆弾を投げたことで攻撃したってことになって、ショウマさんが魔物を倒したことになったみたいですよ』
そういえば、さっきレベルがあがったとか謎のナレーションが流れてたな。
「おい、ダ女神! ステータスはどうやって確認するんだ?」
『ははは、ステータスを確認できる人間なんているわけないじゃないですか? 何言ってるんですか?』
「はぁ? ここはゲームみたいな世界でレベル制だっていっただろうが!」
『確かにレベル制ではありますけど~ステータスなんてものが見えたら一発で他人と比べることが出来ちゃうじゃないですか~ステータスの高い人はいいですけど~低い人は絶望するしかないじゃないですか~』
「さっきのレベルあがったナレーションはなんだよ? あんなのがあったら今のレベル自体は確認できるじゃないか」
『ふふふ、あれはショウマさんだけの特別機能でーす。レベル1000000なんて絶対どこかで覚え間違いしちゃいますからね。私の愛、受け取ってくれましたか?』
「それなら俺だけステータス確認できるようにすればいいだろうが! 頭沸いてんのかダ女神!」
『はぁ……本当にショウマさんって注文が多いですね。でも無理です。さっきの爆弾が最後のサービスです。それに労せずレベル最大になったのに文句言うなんて、本来ならチート行為で通報ものですよ?』
「あの爆弾はてめえのミスのせいだろ! 俺の存在自体がチートなのに何言ってるんだ!
ふう、もういい。ところで、魔法とかってどうやって覚えるんだ? スキルポイントとか?」
『自力ですよ? 魔法を使える人に聞いてください。スキルもスキルが使える人に教えて貰ってください。システムに縛られてないので自分で自由に戦えますよ。先鋭的なシステムでしょ☆』
僕はもう開いた口がふさがらない。
「わかった、ダ女神。俺は今すぐにこの世界のボスを倒してお前を殴りに行くことにするよ」
『うーん。それはやめて置いた方がいいと思いますよ? 魔王は今のショウマさんとほぼ同じステータスなので魔法もスキルも使えないショウマさんでは勝ち目がありません。
それに、四天王の実力も魔王に肉薄しています。そして、先ずは四天王を倒さないと魔王と一対一で戦えません。
あっ、あとショウマさんはこの世界の人間の1000000倍強いですけど、普通に餓死しますからね。水なしだと7日程度過ぎればかなり危ないですし、水があっても2ヶ月持つか持たないかじゃないですか。
ちなみに、魔物の支配する領域に綺麗な水はありません。魔物の瘴気が濃くて人間には毒となる水と食料しかないですね。食べたら3日も持たずに死にますね』
「あーもういい。だったら人が住んでいる場所を教えろ」
『私がそんなに手助けするのはルール違反なんですよね~』
「お前の転移失敗が原因だろうが! いいから街につくまでナビゲートしろ!」
『はぁ……しょうがないですね。これが最後ですよ』
これほど怒りが貯まったのは間違いなく生まれて初めてだ。この世界を攻略したら覚えてろよダ女神!
『じゃあ、ショウマさんが今向いているところから左に向いてください。……はい、その位置です。じゃあまっすぐに走ってください』
僕は女神の先導で人里目指して走り出す。