1話 てへ☆ ちょっとバランス調整失敗しちゃった。
僕が目を覚ますとそこには綺麗な女の人が立っていた。
「ようこそいらっしゃいました。タカナシ・ショウマさん」
「えっとあなたは?」
「私はアトレア。異世界の神です」
異世界の神? ああそうか、ここは夢の中だな。
「異世界の神様が何のようですか?」
「実は~ちょっと~調整に失敗して~魔物がすっごく~強くなっちゃった世界が~あるの~」
「なんでいきなり口調変えたんですか?」
「こほんっ! 実は私が魔物と人間を戦わせるシュミレーション的な世界を作ったんだけど。
ちょっと調整に失敗しちゃって。てへ☆」
このアトレアとか言う神かなり情緒不安定だな。
「ええっと、続きをお願いします」
「はい。調整に失敗したんですけど、人間の方を見捨てるのも嫌なので、外部から人間を召喚して投入したら面白いかなと思いまして」
「つまり、僕は貴方の遊びの為に呼ばれたってことですか?」
「てへ☆」
「殴ってもいいですか?」
「そんなこと怖いこと言わないで~いいでしょ~別にその世界で死んでもあなたは元の世界の戻るだけだし~、他の人間の100倍強くしてあげるから~。
そ・れ・に! あなたゲーム好きでしょ? リアルのゲームが楽しめるよ~あなたの世界でフルダイブのゲームができる日はいつかな~死んじゃう前に出来るといいね~」
こいつは人をいらつかせる天才だな。
「やっぱり、一発殴らせてください。
殴らせてくれたら行きますよ。リアルなゲームっていうのは面白そうだし」
「いいよ、いいよ。殴って殴って、ほらここ! ここ! 」
僕に向かって頬を出してくるアトレア。
僕はためらわずにアトレアの脚にローキックを放つ。
「痛い! そこ脛だって! 急所はだめ! マジで痛いから!」
アトレアは脛を押さえて転がり回っている。
ふう、最高に気分がいい
「さあ、早くリアルゲームっていうのに連れていってくれ」
「ふぅふぅ……そんなに焦らないでよ~楽しみなのはわかったから~。
先ずは貴方に与える力の話をするわね。
貴方には100倍の成長率と100倍のレベル上限を与えます。最終的に貴方は普通の人間の10000倍強くなります。どうすごいでしょ?」
「レベルは1から始まるのか?」
「レベルは1からです。ずるはいけませんよ。ちゃんとレベルを上げてください」
「何か最初に調整をミスって魔物が強いって言ってたけど、魔物はどれくらい強いんだ?」
「ふふふ、あなたよりは弱いですよ。安心してください。単体で貴方に敵う魔物はいません。……5体くらいしか」
「5体もいるのかよ! レベル10000に挙げても勝てない奴が5体もいるのにどうやって勝つんだよ! というか魔物はどれだけ強いのか答えてないぞ!」
「うう……怒らないでくださいよ~魔物は~大体~一番弱いので~人間の10倍程度ですよ~ちょっと強い人間ならちゃんと勝てますし~まだ~戦いが始まって~10年くらいしかたってないので~魔物側が~8割程度制圧したに過ぎないですよ~」
「もう負けてるやん! それ僕がレベル10000でいきなり突撃しても巻き返せないくらいに負けてるやん!」
「そんなことないですよ~ちょっと頑張れば~行けますって~」
「わかりました。家に帰らせてもらいます」
「ああ! ちょっとまって! わかりました。じゃあ成長率10000倍、レベル上限10000倍にしますから! お願いです! 待ってください!」
「いや、なんでそんな必死なんだよ。ゲーム好きの奴なんか他にいくらでもいるだろ?」
「こっちにも事情があるんですよ! 召喚できる人はランダムだし、そう何回もガチャれるほどお金がないんです!」
いきなり俗っぽいこと言い出したぞこの神様。
本当に神様なんだろうか?
「それなら最初からその条件にしろよ」
「人間側が大勝するとそれはそれで問題があるんですよ……お願いだからゆっくりと勝利してくださいね」
「まあ、その件はゆっくりと考えさせてもらう」
「お・ね・が・い♡」
「本当にイラッとさせるのが得意ですね。
もうわかったからさっさと連れてってくださいよ」
「わかりました! じゃあ行きます。それ~」
光が僕を包み混む、僕は目を開けていられなくなった。