オレと私の紡ぐ物語
「キャーひき逃げよおおおおおお」
その日オレは、自分で言うのもなんなんだが嗚咽をもよおすような惨めな姿でこの世とお別れすることになったんだ………………
………………
長い長い眠りから覚めたような感覚。
………………
見たこともないような見事に黄ばみきった低い低い天井。
………………
寝起きのせいなのかボーと混濁する意識…………そしてなぜか氷のように身体が寒い。
トン!トン!
誰かが階段を駆け足気味でかける音。
「美琴!?倒れたってだいじょぶ!?」
元気よくけただましく開けられた扉、ここでオレは、初めてきずくここが押し入れの中だということに…………
「美琴!?美琴!?あんたまたあのアルカリのやつになんかされたんでしょ!?ねぇそうなんでしょ!?ねえ美琴!?」
またまたけただましくマシンガンかのような勢いでしゃべる赤毛の女。
「あぁ…………うん…………」
疲れてる?寝起きだから?なんかめんどくさいから?まぁとにかくおれは、そう答えた。
「でしょ!!!あの野郎とっちめてやる!!?」
その赤毛の女は、そう言うと、てめぇが開けたふすまも閉めずに来た階段をまた駆け足で今度は、転がるように降りていく…………
……………………
少しして今度は、足音もほとんど立てずに誰かが階段を上がってくる。
コンコン
さっきとは、まるで違いこんどは、柔らかく優しくノックされる私が再び閉めた押し入れの襖。
「はい…………」
私は、なぜか元気なくそうこたえた。
ーーーーーーーー
一時の音すらもなく静かに開けられる扉。
……………………
そこに、いたのは、年季のはいったシワを傷痕かというくらい顔中に蓄える短髪黒髪のパンチパーマババァ
「美琴さっきも聞いたけど何か食べる」
顔に似合わず優しく、さとすかのように言うババァ。
「ああ…………うん」
……………………なぜか私…………オレ?は、そう答えた。
それから数分…………オレは、著しく重い自分の身体を引きずるかのように、ようやく押し入れへと一歩足をふみだす。
……………………
なにもない和風のその部屋。
私は、開いたままのその和風の部屋の扉から一階へと
続く階段を降りていく………………