7話(女性視点)
三蔵くんからもらった絵を笑いを堪えながら詩乃ちゃんの所に戻ると同じレーンの人達が手をふって迎えてくれました。
「お帰り穂香、随分と嬉しそうね。」
「うん、三蔵くんが私に絵を描いてくれたんだ。」
「え?アイツが誰かの為に絵を描くなんてスゲーレアだな。」
「ホントだよなぁ、描いた絵の中から適当になら有るけど滅多にないぜ、本当は機嫌良かったのかもしれないな。後で俺も頼んでみよ。」
水島さん達の話してを聞いてちょっとドキリとしました、だって滅多に誰かの為に殆ど描く事ないのを会ったばかりの私に描いてくれたのが凄く。
「穂香~顔紅くなってるぞ~?」
「え、えええ?!そ、そうかな笑いすぎたせいかもほら詩乃ちゃん見てスッゴク面白いよ。」
絵は時間がなかったから漫画のような表現になってました。
でもそれがとても面白いんです。
複数のボーリングのピンが原始人のような松明と腰布をつけて、慌てる探検家の服装をしたボーリングの玉を担ぎ上げてレーン脇の水が流れる溝に落とそうとしてるのをコミカルに描いてます。
「ぷ、これ卑怯よ右端の度アップのピンが得意げなのは。」
「どれどれ……お、おま、ぷくくボーリングしてる時にこの画ははまりすぎ、想いだし笑いするって。」
「すげぇな三蔵は、これでプロに成るつもりないとかもったいないよなぁ。」
「そうなんですか?何か理由があるんですか。」
生き物の絵を描けなくても擬人化が描けるなら十分だと思うんだけど。
「まぁ、将来目指す先と才能が一致する事なんてまれじゃねぇかな。」
「お、農家やりたいとかいってる、裁縫名人は言う事違うねぇ。」
「ばっお前言わない約束だろ?!」
「良いんじゃない?農家やりながら服をデザインしても、でも聞いただけだとおばあちゃんぽいのは確かね。」
詩乃ちゃん達は楽しそうにおしゃべりしてるけど私には三蔵くんの事でいっぱいになってました。
どうして凄く上手いのに自慢しないの?
どうして私はあの時泣いてしまったの?
どうして………。
「………どうして遠くから悲しそうに眺めてるの?」
笑ってるのにふとすると陰る笑顔をみるとどうしても気になって仕方ありませんでした。