5話(女性視点)
ちょと手が痛くなってたから休憩出来て良かった、う~ん次はもうちょと小さいボーリングの玉にしよ。
「えっと三蔵さんは…………。」
「ん?三蔵の奴さがしてるのか、アイツはたぶん外の景色が見える所にいるぞ。」
後から声を掛けて来たのは一緒にボーリングしていた水島さんでした。
「教えてくれてありがとう水島さん。」
「あいつイラつくと景色書く癖があるんだよ、いつもポケットにペンとメモ帳入れてさ。今行けば描いたの貰えるかもよ。」
やっぱり絵を描くんだ、どんな絵を描くのかな?
私はエレベーターの近くに窓があるのを想いだしそちらに歩いていくと思った通り三蔵さんがいました。
「はぁ、クラウド野郎まさかの人脈づくりとは……とはいえ良いことしてるのは確かなのがむかつく。」
すごい流れるようにペンを動かしてる、私でもあんなに速く描けないのに三蔵さんは凄いな。
「あの、三蔵さん大丈夫ですか?良かったらこれ飲んで下さい。」
「ん?ああぁ、ありがとう……でも何故俺に?。」
「えっと、落ち込んでいるように見えて気になって。あ、私は【川崎穂香】と言います、それであっごめんなさい名字知らなくて名前で呼んでました。」
三蔵って名前が印象的過ぎてつい呼んじゃってたけど、馴れ馴れし過ぎたよね。
「あはは、皆大概、三蔵って呼ぶから全然問題ないよ、【朝田三蔵】て言います。気に掛けてくれてありがとう、ジュース持って来てくれてうれしいです。」
「喜んでくれて良かったです、あの三蔵さんは絵を描くの好きなんですか?さっき水島さんに聞いて。」
私が三蔵さんの持つメモ帳をみると三蔵さんは苦笑してメモ帳を私に見せてくれました。
「そうだね、絵を描くのは好きだよ。でも本当に好きな事は上手く描けないけどね。」
「本当に描きたい事?でもとても綺麗に描けてると思うよ。」
メモ帳には即興で描いたとは思えないくらい綺麗で繊細な風景画が描かれています。
遊び心なのかアリスの不思議な国に出て来るような木や建物が踊ってる絵も有りとても素敵です。
でも何処か違和感を感じます。
「あれ?もしかして…………。」
「お、気付いた?恥ずかしい話し〖生き物〗が描けないんだ。描くと幼稚園児並みの下手さでさぁ。え?どうして川崎さん泣いてるの、俺何か悪い事いったかな?。」
「え?あれ本当だ。私泣いてるどうしてかな眼にゴミが入ったのかな。」
三蔵さんは少し残念そうだけど笑って話すくらい気にしてないのに、私もそう思ったのにいつの間にか頬を伝って流れる涙に気付き慌ててハンカチで拭いてごまかしました。