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憧れ

作者: ソラ1

すみません、ただの私事です

突然だが、事故にあった。なかなかのものだったらしい。【らしい】というのは、私自体全く記憶がなく気づいたら病院のベットで、家族がいたというまるでドラマみたいな状況だったからである。

名誉のために言うと、車の事故なのだが相手に思いっきりぶつかられたのである。運が悪いことに相手は大型車、私は軽自動車であった。悲しくも私の車は廃車、しかし骨などは折れておらず、打撲、むち打ちだけであった。骨折がないことや臓器が無事なことを医者は【奇跡】といい、運がいいといわれた。

今はドクターストップがかかり、仕事に行くこともできず自宅療養になっている。

はっきり言って暇だ。私には特に好きなことも趣味もなく、贅沢な話ではあるが時間だけはあるのである。

仕事に行きたいといえば医者に止められ、会社からも休むように言われ、もう散々である。

しかし鬱陶しいことに、精神的トラウマというものが残ってしまった。車の運転ができないのだ。これは致命的だ。突然ぶつかられたので、自分ではなかなかコントロールしにくいことになってしまった。まったくいい迷惑である。

今の私はまるっきり引きこもりである。出かけることもままならず、部屋でなんでもおこなう。また少々大きな事故だったので、家族は過保護になり怖いくらいである。

まるで昔読んだ小説みたいだ。

朝、着る服を選ぶのも面倒で(あまり人に会わないし)化粧をすることも減った。何をしていいのかわからず思わず座り込んでしまう。

まったく自分が社会復帰ができるのか疑うレベルである。

まあそれはどうでもいいのだけれども、時間があるので明石家さんまさんプロデュースのジミー大西さんのドラマをみることにした。まあこれが面白い。もともと、さんまさんもジミーさんも好きだったので贔屓目はあると思うが、笑ってこれまた泣ける。ジミー役の役者さんもさんまさん役の役者さんも素晴らしい。本当に素晴らしい。その話の中で【なにかに夢中になっていきてみろ】というセリフがある。

これを聞いたときに自分にはそのようなものがないことに笑いが込み上げてきた。

むかしから、夢中になるものや絶対に欲しいものなどなかった。もっと言えば、ほしいものはあるけれどいつも諦めていた。あの人にはあの子が似合うから。あれは値段が高いから。練習したってあのようにはなれないから。何かにつけて諦めてきた。だからこそ、ドラマの中の二人がまぶしくて、うらやましくて、思わず笑ってしまった。


女は愛嬌、というけれど笑えないひとはどうしたらいいのか。以前は無理やり笑う練習をして、楽しくもないのに笑っていた。そうすればいいと思っていたし、どこかで読んだ人生論にはそう書いてあった。

笑っていればいつのまにか本当になると。

でもならなかった人はどうなる。吐きたくなる胃痛と下手な世渡りのせいで私はいつのまにかやめてしまった。甘えるな、と言われたらそこまでだ。

もっと頑張れと言われたらそこまでだ。

普通になりたい。普通がほしい。でも普通ってなんだろう。そんなこと考える年齢はとっくにすぎたのに。

いつまで経ってもこんなんだから困る。

とにかく、何かに夢中になれることは当たり前ではないのではなろうか。夢中になるというのも才能であり努力の賜物だろう。

羨ましい、とにかく羨ましい。

さぁ車に乗る練習でもしようか。

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